美術館巡りの時はだいたい妻も一緒なので、美術鑑賞も好きになってきている。観るのが印象派系が多いので、そのへんについてはけっこう詳しくもなっているし、次はどこの美術館へ行こうかと、彼女から持ち掛けてくることもしばしばだ。でも、自分のように美術館一辺倒ということではなく、あくまで観光メイン、名所名跡を巡ったりや美味しいものを食べるというのが好きである。さらにいうと身体が不自由なのになぜか吊り橋を歩くのが大好きである。本人的にはちょっとしたチャレンジみたいな気分もあるのかもしれない。これまでにも日光や那須などの吊橋に何度か行っている。
3日目もまずは観光をということで、伊東近辺で何かということで検索して出て来たのが橋立吊り橋。城ケ崎で有名な吊り橋というと門脇吊り橋があるけど、ここには4月に行っている。調べると門脇吊り橋から割と近くにもう一つあるというので、そこへ行ってみることにした。場所的には伊豆高原駅から徒歩圏内で、駅の近くに無料の専用駐車場もあるという。
田舎吊り橋 Vol.13 静岡伊東「橋立吊橋」【ぶんかびと】
駐車場からはそこそこの距離を歩くらしいのだが、クチコミだと整備された遊歩道を行くということらしいので、多分車椅子押してでも行けるかなと甘く考えていたのだが、どうしてどうしてけっこう凄いところだった。
駐車場は午前中10時台だというのにほとんど満車状態。身障者用スペース1台分だけが運よく空いていたのでそこに入れる。まずは駐車場から道路を渡ったところに川沿いに遊歩道があるのだが、まずその入り口が階段なのである。仕方なく妻は階段を降りてもらい、自分は車椅子を担いで降りる。そこから延々と緩やかに下る遊歩道を歩いて行く。ゆるやかでも下りということは帰りは当然のごとくゆるやかに登ることになる。これはよくある「行ぎは良い良い帰りは・・・・・」のパターンだ。
川沿いの遊歩道は延々600メートルくらい続いている。
川は最終的にはちょっとした滝のようになって海に流れていくみたい。
遊歩道が途切れた行き止まりのところで右側の自然道(山道)が吊り橋方面で約200メートル。左は展望台の方に向かうようで、ここからは滝が見下ろせたりするらしい。
しかし自然道(山道)の200メートルは健常者でもけっこうしんどいものがある。ここを杖歩行の妻には難しいかと思ったが、以前那須の回顧の吊橋へ行ったときもそういう道程をなんとかこなしたことがあったので、まあ行けるところまでみたいな感じで行く。
山道を基本的に下っていくのだが、時折平らで柵というか手摺がある部分もあるが、ほとんどが岩や木の根などが見えているデコボコの道。杖での自立歩行は難しいので、自分がほとんど手を引いたり肩を貸したりしてゆっくり進んだ。
木々の間、時折開ける海の景色はとても美しい。
ようやくたどり着いた吊り橋はこんな感じ。長さは60メートルで門脇吊り橋(48メートル)よりも長い。
橋の下は海ではなく岩場になっていて、両側ではロッククライミングをやっているグループがいた。
門脇吊り橋の方が堅牢な造りであまり揺れない印象があったが、橋立吊り橋はけっこう揺れる。吊り橋の中に入ると、高所に弱い私よりも山道ヘロヘロになって歩いてきた妻の方が元気だったりする。
帰りはまた二人ともヘロヘロになりながら、山道を今度は登ることになる。残り30メートルくらいで妻が少し根をあげた感じで「あとどのくらい」と聞いてくる。その質問をしたかしないかくらいのところで、なんとなく車椅子を置いておいたT字路が見えてくる。
そしてまた来た道、遊歩道を延々600メートル車椅子を押してゆるやかに登る、登る。
途中ですれ違う人、追い抜いてもらう人たちと挨拶を掛け合うのだが、ニコニコしながら声をかけてくれる人もいれば、呆れ顔というか、よくこんな所へくるわねみたいな表情の夫人とかいろいろ。まあ自分が逆の立場だったらそんなこと思うかもしれない。
健常者だと往復でも1時間かからないくらいの所だったが、我々はというとゆうに2時間以上かかった。駐車場に戻ったのは1時をだいぶ回った頃で、次の目的地があるので前日と同じく昼食は抜きになってしまった。