埼玉紅葉巡礼2022~森林公園紅葉見ナイト

 物見山公園の後、妻が「森林公園も行きたいね」と言う。

 そう来たかと思いつつも、例年恒例だしどこかのタイミングで行かなくてはとも思っていたので勢い、行ってみることにする。

紅葉見ナイト2022 ~光と森のStory 第二章~ | イベント一覧 | 国営武蔵丘陵森林公園 | 全国で初めての国営公園 (閲覧:2022年11月19日)

 今年の開催は11/12(土)~11/27(日)まで。なんか記憶的には12月上旬くらいまでやっていたように思うのだがあと一週間くらいしかないわけだ。

 時間的には少し早いくらいだったので、高坂の子ども自然動物園近くの武蔵野うどんでやや遅めの昼食をとる。武蔵野うどんはフランチャイズのチェーン店だけど、この店は天ぷらが食べ放題になっている。店によっては別料金で単品ごとに料金払うところもあるのだけど、このへんはフランチャイズのオーナーのやり方なんだろうか。

 妻も自分も肉汁うどんで天ぷらも好きに取ることができるので、けっこうがっつり食べる。そしていざ森林公園へ。

 森林公園の中央口附近はけっこう混んでいて、メインの駐車場も満車状態。道路の向こうの駐車場を誘導されるのだが、誘導している係の方に「車椅子」と告げる、手帳の提示するように言われ、見せると中へ入れてもらえたが、障害者用スペースは全部埋まっていて、入り口からだいぶ遠いところに空きスペースがあったので辛うじて止めることができた。でも通常スペースだと妻は出るのにもちょっと難儀ではある。

 多分、紅葉の見頃の時期の土曜日ということで入り口付近もけっこう混雑していて、中に入るとけっこうな人出。時間も4時少し前だったので、イルミネーションにはちと早いので去年も行った山田大沼のあたりをぶらぶら。

 ちょうど遠くに鷺が飛んでいるところを撮ってみた。

 それから池づたいに渓流公園まで歩く。途中、平坦な遊歩道だったので、妻は杖でゆっくり歩くことにする。少しでもこうやって歩かないと、機能はどんどん落ちていくので、こういうのは必要だとは思う。

 発症当初は、良くて車椅子、悪ければ寝たきりといわれたのを、懸命のリハビリで短い距離を杖歩行できるまでにはなったけれど、多分10年前に比べれば、歩く距離もどんどん短くなってきているような気もする。四十代半ばで障害者となって最早還暦を過ぎたとなれば、それもしょうがないこと。

 渓流公園からは植物園を目指して上り坂。植物園の手前の紅黄葉樹園が紅葉見ナイトのイルミネーションの本チャン会場だけど、着いたときはまだ明るかったので植物園のあたりまで行くことにする。

 植物園前のベンチやテーブルには人が大勢いて、チュロスとかを売っているキッチンカーにも列がそこそこ出来ている。みんな暗くなるのを待っている感じである。何年か前にはここでフォーク系デュオのミニライブなんていうのもやっていたことがあったなと、妻と二人で話した。そういう意味じゃこの紅葉見ナイトも、多分片手以上は来ているかもしれない。まあそれだけ年とったということか。

 だんだんとあたりも暗くなってくる。

 そして紅黄葉樹園のライトアップされて。

 ところどころにオブジェらしきもの。

 というわけでライトアップされた紅葉を、そこそこに堪能しました。

 これで今年の紅葉巡礼も多分終わりだと思う。来年も元気でいれば見に来るのではないかと。まああとどのくらい続けられるか判らないけれど、健康でいたいとは思う。

埼玉紅葉巡礼2022~物見山公園

 多分、自宅から一番近い紅葉名所(?)、東松山の物見山公園に行ってみた。

 ここも昨年に続いてである。

埼玉紅葉巡礼 - トムジィの日常雑記

 去年は11月14日に行ったのでまだ色づき始めたばかりだったのだが、今回はそれよりも約一週間遅い。それだけでずいぶんと紅く染まり方が濃くなっているような印象。

 前回同様、平和資料館(埼玉ピースミュージアム)の駐車場に車を止めて、車椅子を押して上り坂をえっちらおっちらと登る。

 途中の広場のベンチには自分らより少し上くらいの老夫婦が二組いて、ちょうどお昼どきだからか仲良くおにぎりを食べている。こういうのも風情があっていいかと思う。

 ここでは妻も車椅子を降りて少しだけ杖で歩く。自分はすぐ後ろからついていく。

 去年も思ったが、この公園自体はどちらかというと広葉樹が多く、紅葉(もみじ)、楓類はところどころという感じ。それでもちょうど今が見頃という感じだったか。

 多分、時間にしては30分くらいいたかどうか。公園自体はもっと散策できるし、山づたいに巌殿観音の方にも行くことができる。とはいえそれは車椅子を押してというのは難しいので早々に切り上げる。

 去年と同様、平和資料館にも少し寄る。妻は展望塔の方に行き、自分は常設展示コーナーをブラブラ。日中戦争から太平洋戦争終結までの歴史をフィルムで辿るコーナーや戦争にまつわる展示物を見る。やっぱりなんであれ、戦争してはいけない。自衛のためといっても、戦争当事国にはそれぞれの理屈がある。結局のところ戦争回避は外交努力を通じていくしかないのだろうなと漠然と思った。

展示のご案内 | 埼玉県平和資料館

 展示コーナーには、多くの市井の人々が戦争体験を語ったビデオが閲覧できる「平和な時代への提言」があるのだが、こちらは去年もそうだったがコロナの感染予防のため利用できない。戦争体験は語り継がれ、それを後世の我々はきちんと見て、聞いて、次の世代に継承していかなくてはと、これも漠然と考えた。

埼玉紅葉巡礼2022~鳥居観音

 今年もふらふらと紅葉を求めて出歩いている。

 本日は、3日に果たせなかった鳥居観音に行くことにした。な~に、妻が行きたい、行きたいというので。地元から名栗は比較的近い。そして前回は休日だったので駐車場まで90分待ちだったが、さすがにウィークデイだとガラガラ。あと紅葉についても、ここはピークが過ぎているようだった。

鳥居観音

 麓の駐車場に止めると500円、車道を登って一番上の展望台近くまで行くには1000円の入山料が必要。下に止めて車椅子を押して登るのは物理的に不可能なので、当然車道を登ることにする。しかし途中の道は狭くて勾配がきつい。ほとんどぽつんと一軒家で山道登るあれである。空いていたので降りて来る車もなかったけど、もし遭遇してたらすれ違えない。場所によっては避難スペースまでかなりの距離があるというなかなかワイルドなところだ。

 頂上の駐車場に止めて少し戻って階段を上ると救世大観音が聳え立っている。

 

 しかしなんでこんな所に巨大な観音像が三体もあるのか。入山料を払ってときにもらったパンフレットによると、鳥居観音の開祖は平沼彌太郎という林業家、実業家で、家業の林業名栗村村長、埼玉銀行頭取、参議院議員を歴任した人物。観音信仰に篤かった母親の遺志を継いで、生まれ育った白雲山鳥居の地に自身が彫った聖観音菩薩を安置する小さな祠を建て、以後山を切り拓いて多数の仏像や建築物を建て、30余年をかけて観音信仰の聖地を創り上げたという。

 この巨大な観音像(33メートル)は1971年(昭和46年)に建立されたという。入り口にいた係の方の説明では、当時ヘリコプターで部分を釣り上げて運び組み立てたのだという。平沼さんという人、相当な財力があったのだな。

 救世大観音は胎内に阿弥陀如来不動明王、吉祥天、一万体観音などがが安置されている。さらに狭い螺旋階段を登ると展望台に上がることができる。ただし螺旋階段はじょじょに狭まり、一番上は梯子を登って小さな扉を開けて展望台に出るので、高齢者にはちとハードルが高いかもしれない。正直、死ぬ思いで登りましたけど。

 

 大観音から少し下ったところにあるのが玄奘三蔵塔。

 

 西遊記で有名な玄奘三蔵法師の霊骨を祭祀しているという。三蔵法師って唐代の偉いお坊さんで天竺(インド)から仏教の経典を中国に伝えた人。その遺骨がなぜに。パンフレットにはこんな記述がある。

玄奘は天竺を旅し仏典基礎を確立した大偉人。禅僧、水野梅暁から霊骨を分贈された鳥居観音は、霊骨を慰霊することは日中親善に役立つと考え、元総理石橋湛山吉田茂など政・財・宗界300名もの著名人を発起人として三蔵塔を建立しました。

 う~む、なぜ水野梅暁は三蔵法師の遺骨を持っていたのか。そもそも水野梅暁って誰だ。ググってもウィキペディアとかにもない。かろうじてコトバンクに記述がある。

水野梅暁とは - コトバンク

 戦前の禅僧、ジャーナリストのようである。

 また三蔵法師の遺骨についてはどうも日中戦争時に南京で見つかり、その頭蓋骨が日本に持ち込まれて、現在はさいたま市慈恩寺に安置されているという。本当だろうか。

玄奘塔 | さいたま観光国際協会

 もしもその遺骨が本当なら中国侵略時のドサクサに持ち込まれたようなものかもしれない。もっともかなり眉唾的な部分もあるのではないかとも思う。まあ西遊記三蔵法師の遺骨が埼玉に、しかも二カ所にあるというのもちょっと面白いかもしれない。

 

 さてとなんの話だっけ、そうだ紅葉である。鳥居観音の紅葉はかの北野武の映画「ドールズ」のロケ地になったという。あのポスターとかで有名なやつだ。

 かくもきれいな紅葉はというと幾分かピークは過ぎているようである。やはり標高とかの影響もあるのだろうか。このへんの紅葉は11月上旬、多分10日くらいまでなのかもしれない。救世大観音附近だとこんな感じである。

 そして玄奘三蔵塔付近は。

 麓の駐車場から本堂に上がったあたりから見ると。

 

 麓の本堂には七観世音菩薩が安置されている。中に入って撮影とかも普通に出来る。

 

 結論的には鳥居観音の紅葉は若干ピークを過ぎていたけどそこそこ楽しめた。ただしこの時期、土日・休日はかなり混むこと必須で駐車場待ち90分とかになるので、かなり朝早く行くかウィークデイに行くか。電車バスだと飯能からバスで40分とアクセスはあまりよくないみたい。

 正直、来年もまた来るかというとちと微妙かもしれないし、「ドールズ」のあの見事な紅葉に出会えるかというとそれも微妙かもしれない。まあ健康なら麓の駐車場に止めて山道をハイキングもかねて紅葉散策というのが一番いいかもしれない。

Nexus7 2013復活

 子どもの部屋を掃除していて机の本棚でNexus7を見つけた。

 ちなみに子どもは一人立ちしてかれこれ2年近くになるが、部屋はそのまま放置してある。一応、毎週の掃除機をかけている。そろそろこの部屋もこのまま放置しておくのもなんだなと思いつつも、ときどき帰って来たときにすぐに使えるようにしてある。

 Nexus7はもともと自分が買ってしばらく使っていたが、飽きて放置。それを子どもにやったのだが、子どももいつのまにか放置してしまった。まあタブレットもその後はiPadやiPad mini4などを遍歴しいずれも放置。今はAmazonのfire HDを時々使っている。

 ようはなんとなく欲しくて買うのだが、すぐに飽きてしまうというガジェットにありがちなやつだ。Nexusはいつ買ったのかと、この雑記の記録を検索すると2015年に買ったらしい。

NEXUS7 2013購入 - トムジィの日常雑記

 電子書籍とかが増えてきているので、タブレット端末にもあたりをつけておこうと、多分そんな動機で買ったようだ。Nexus7 2013は名前のとおり2013年に発売されたGoogleASUSが共同で開発したアンドロイドタブレットで、当時はコスト・パフォーマンスに優れた機器として評判が高かった。

 多分、Ipodよりも安価でそこそこ使い勝手がいいということで購入したんだと思う。当時は128ギガのUSBメモリーに映画を入れて視聴したりとか、飲み屋(バー)で一人で電子ブック読みながら酒飲んだりとか、ようするにミーハー的なことをやっていた。7年前、50代後半のオッサンがなにをやっているんだろうということだ。

 でも、結局のところタブレットで何がしたいのか、何ができるのか、そのへんが曖昧だったせいもありすぐに飽きた。まあ電子書籍読むのならkindleがあるし、音楽聴くならIpodがある。外で検索とかするならiPhoneがある。家や会社では普通にパソコン使っているから、タブレットなどどう考えても自分のライフスタイルには合わなかったんだな。そうしてお蔵入りしたのに、それから5年くらいして、今度はiPod mini4なんかに手を出してみる。

 なのでNexusのことはすっかり忘れていた。子どもの本棚の埃を払っているときに見つけた。一緒につけているキーボードの背面樹脂はなんとなくベトベトしているので外してみる。電源を入れてみるが当然反応なし。充電してみると一応例のアンドロイドの賑やかな画面表示があり立ち上がる。しかし9年前のタブレットが使えるのだろうか。

 立ち上がりにはパターンによる認証を行うのだが、どうも子どもが最初の認証パターンを変えているのか何度やっても認証されない。仕方なく工場出荷状態にしてから立ち上げ、Googleアカウントを設定してと。

 ネットでの検索やkindleでの電子書籍のページめくりなどは特に問題はない。Twitterも普通にできる。多少カクカク感はあるが問題はないか。とはいえアンドロイドもバージョンもかなり古いままで、最近のものはまったく対応していない。ネットで調べると、裏技はけっこうあるようだが、試してみる気もない。9年前の機種にしてはそこそこ使えそうではあるが、OS的にはセキュリティとかもありあまり使えそうもない。

 結局、どうしたかというと時計のアプリを入れて卓上置時計にしてみることにした。3年前に買ったFire7も即リビングの壁掛け時計にしてしまったが、あれと同じである。

衝動買いFire7 - トムジィの日常雑記

 とりあえず机の隅に置いてみたが、まあどこから見てもただの卓上時計だ。とりあえずNexus7 2013が置時計として復活した。

トーハク(東京国立博物館)に行って来た (11月10日)

 先週木曜日、トーハクに行って来た。9月に来ているからそれ以来。

 お目当てはもちろん話題の国宝展。

東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」 

(閲覧:2022年11月14日)

東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」 | 東京国立博物館創立150年記念特設サイト (閲覧:2022年11月14日)

 トーハクの創立150周年記念事業の一環として所蔵する国宝89件を一挙公開するという。かなりの人気を呼んでいるようで連日盛況という声をネットでもきく。さらに事前予約制(日時指定)チケットも取りにくい状況になっているとか。

 これはかなり厳しいなと思い、土日は絶対無理だろうとウィークデイで行ってみることにした。やはり9月に行った藝大美術館の「日本美術をひも解く」もかなり混んでいたのだが、その比ではなかった。藝大よりもはるかに広いスペースのトーハク平成館が人でごった返している。これはちょっと厳しいなとは思った。

 ウィークデイの美術館ということで、自分らと同じ高齢者が圧倒的に多いけど、けっこう若い人もいる。SNSとかでも有休とって観に行くみたいな声もある。やはり国宝一挙89件の力ということ。

 とにかく展示物の前は列になっているのだがこれが進まない。監視員や誘導員が「空いているところから自由にご覧になれます」と呼び掛けているけれど、みんな順繰りに観ていく。しかも最初にあるのは国宝の絵画群。絵のキャプションをじっくり読む人で渋滞、音声ガイドのあるところで渋滞、さらに何人もの人が単眼鏡を手にじっくり鑑賞される。ということでもう大渋滞に次ぐ大渋滞。これはもう「立ち止まらない」という案内が必要なのではないかと思ったりもした。

 ウィークデイでこうなのだから、土日はどうなんだろう。もう想像するだけでちょっとしたイヤっていう感じだ。こうなるともうあまり鑑賞モードにならず、空いているところを見つけてはちょっと観てみたいなことを繰り返すことになる。

 自分はあまり教養ないのとそっち方面の興味もないので、書跡、漆工、刀剣類には関心がいかない。なのでじっくり観たいのは絵画の方なのだが、一番最初にあるので一番渋滞している。そのへんもう少しどうにかならないかと思わないでもない。

 例えば書跡や考古を最初に持ってくるとかどうだろう。とはいえ書跡にもかなり興味を持つ人も多いようだし、考古は考古で人気だろうし。やはり展示総数150件、国宝89件はいかんともしがたいということか。

 

国宝-東京国立博物館のすべて

展示期間・展示リスト

 国宝89点だが、展示期間は細かく分かれており、その間での展示替えがある。そのためお目当ての作品を観るためには、事前にHPで出品リストをダウンロードして確認するなりが必要。とはいえ事前予約制のうえ予約もなかなか取れないということで、どの作品をみれるかは運不運みたいなところもあるようだ。

国宝89件一覧 https://tohaku150th.jp/pdf/list.pdf (閲覧:2022年11月14日)

<展示期間>

①10月18日(火)~23日(日)

②10月25日(火)~30日(日)

③11月  1日(火)~  6日(日)

④11月  8日(火)~13日(日)

⑤11月15日(火)~20日(日)

⑥11月22日(火)~27日(日)

⑦11月29日(火)~12月  4日(日)

⑧12月  6日(火)~12月11日(日)

 試しに絵画だけの展示期間を自己流でリストにしてみた。

No. 作品名 展示期間
1 十六羅漢像 一尊、二尊、五尊、八尊 ①~④ 10/18~11/13
1 十六羅漢像 十二尊、十三尊、十四尊、十五尊 ⑤~⑧ 11/15~12/11
2 普賢菩薩 ⑦~⑧ 11/29~12/11
3 孔雀明王 ①~④ 10/18~11/13
4 虚空蔵菩薩 ①~④ 10/18~11/13
5 千手観音像 ⑤~⑧ 11/15~12/11
6 扇面法華経冊子 場面替え ⑤~⑥ 11/15~11/20
6 扇面法華経冊子 場面替え ⑦~⑧ 11/29~12/11
7 地獄草子 ⑤~⑧ 11/15~12/11
8 餓鬼草子 ⑤~⑧ 11/15~12/11
9 平治物語絵巻 六波羅行幸 ①~② 10/18~10/30
10 一遍聖絵 巻第七 ③~④ 11/1~11/13
11 竹斎読書図 ⑤~⑧ 11/15~12/11
12 破墨山水図 (雪舟等楊) ⑤~⑧ 11/15~12/11
13 秋冬山水図 (雪舟等楊) ①~④ 10/18~11/13
14 観楓図屏風 (狩野秀頼) ⑦~⑧ 11/29~12/11
15 檜図屏風 (狩野永徳 ③~⑥ 11/1~11/27
16 松林図屏風 (長谷川等伯 ①~② 10/18~10/30
17 花下遊楽図屏風 (狩野長信) ①~④ 10/18~11/13
18 洛中洛外図屏風(舟木本) (岩佐又兵衛 ⑤~⑧ 11/15~12/11
19 納涼図屏風 (久隅守景) ①~④ 10/18~11/13
20 楼閣山水図屏風 (池大雅 ⑤~⑧ 11/15~12/11
21 鷹見泉石造 (渡辺崋山 ①~④ 10/18~11/13
134 風神雷神図屏風 (尾形光琳) (重文) ①~④ 10/18~11/13
135 夏秋草図屏風 (酒井抱一) (重文) ⑤~⑧ 11/15~12/11

 すでに展示が終わっていたのが2点、11/13(日)までの展示でギリギリセーフだったのが9点、これから展示が始まるのが13点。かなり微妙である。国宝89件すべて公開だけど、全部観るのはなかなか難しいということだ。結局のところ名品との出会いは一期一会、あるいは運不運、ある種の蓋然性に左右されているということだ。

第一部 東京国立博物館の国宝

絵画:21点、書跡:18点、東洋絵画:10点、法隆寺献納宝物:11点、考古:6点

漆工:4点、刀剣:19点

 気になった作品を幾つか。

雪舟等楊《秋冬山水図》
《秋冬山水図》 (雪舟等楊) 15~16世紀

 雪舟の代表作として知られ教科書などでもお馴染みの作品。もちろん初めて観る。もともと京都の曼殊院に伝来したものを1936年に購入した。右の「秋景」は画面手前に切り立った岩肌と見え隠れする道が描かれ、水辺の船待ちの茶屋、橋上で語り合う二人の人物、遠景に楼閣や遠山が描かれている。

 「冬景」は画面中央を分断してそそり立つ断崖、近景には船から降り立って山道を登っていく旅人が描かれ、その先には中景として楼閣が見えている。

 素人観からすると、どうもこの時代はまだ遠近感覚がきちんと表現されていないのだろうか、いずれも描かれる人物が風景に比して妙に大きく描かれているような気もしないでもない。

狩野永徳《檜図屏風》

《檜図屏風》 (狩野永徳) 1590年

 桃山美術、信長・秀吉に仕え天下人の絵師と称され大障壁画を描いた狩野永徳(1543-90)の作品。美術の教科書等で見たことはあるが、実作に触れるのは初めて。永徳の作品が置かれた城の消失なので現存作品は多くないのだとか。この作品は明治期に皇室所蔵だったものがトーハクに引き継がれたという。

久隅守景《納涼図屏風》

《納涼図屏風》 (久隅守景) 17世紀後半

 これも美術の教科書でよく見る作品で《夕顔棚納涼図》とも呼ばれている。久隅守景は江戸狩野の祖狩野探幽の高弟だったが、同じ絵師だった長男彦十郎の不行跡*1や娘雪信の駆け落ちなどにより狩野派から破門され、後年は加賀前田藩の庇護を受けた。

久隅守景 - Wikipedia (閲覧:2022年11月14日)

 この絵は一日の労働を終えた夫婦と子どもという農民一家を描いたものとされるが、図録ではこの絵を武士が自らを戒める「鑑戒画(勧戒画)」として描いたもの解釈しており、寝そべる男には武士の気概や精神性があるとしている。さてどうだろうか。

 《納涼図屏風ー部分》
渡辺崋山《鷹見泉石像》

《鷹見泉石像》 (渡辺崋山) 1837年

 愛知の田原藩の家老であり谷文晁に師事した文人画の人。蘭学者としても知られ、高野長英らともに知識人グループ尚歯会の中心メンバーだったが、のちに蛮社の獄連座して訴追された。この人についての知識はみなもと太郎の漫画『風雲児たち』で知った。田原藩は貧乏藩だったため、少年時代から画才のあった絵によって家計を助けたといい、それは家老になってからも続いたのだとか。

渡辺崋山 - Wikipedia (閲覧:2022年11月14日)

(左が高野長英、右が渡辺崋山

 渡辺崋山は谷文晁とともに江戸文人画の代表的画家とされるが、この絵のように陰影に富んだ写実性のなかに、人物の精神性さえも活写した作品も多い。とくにその顔の描写は西洋画に学んだともいわれている。この絵は11月13日までの展示だが、崋山の肖像画はトーハク常設展にも展示されている。

佐藤一斎像》 (渡辺崋山

 佐藤一斎は江戸期の大儒学者で、渡辺崋山儒学を鷹見星皐に学んだが星皐が亡くなったあと一斎の門弟になっている。
 《鷹見泉石像》(国宝)、《佐藤一斎像》(重文)が同時に観れたのは偶然とはいえ運が良かったのではないかと思う。

第二部 東京国立博物館の150点

 第二部では、明治五年(1872年)に創立された東京国立博物館の歴史を三期に分けて、それぞれの時代に収蔵された展示物を通して展開している。

第1章 博物館の誕生

展示:21点 (重文:7点)

第2章 皇室と博物館

展示:55点 (重文:9点)

第3章 新たな博物館へ

展示:18点 (重文:11点)

 気になった作品。

砲弾(四斤山砲)

 旧幕府軍薩長軍が戦った上野戦争の時の遺物で焼け野原となった寛永寺境内から見つかったものだとか。砲弾が木の柱にめり込んだ生々しさが残っている。いわれてみれば博物館や美術館、動物園のある上野は、154年前には戦場であり、多くの兵士が死んだ場所でもあったということだ。こうした記録が保存されるのも博物館ならではということだ。

キリン剥製標本

《キリン剥製標本》

 この剥製標本は科学博物館に所蔵されているがもともとはトーハクに展示されていたものだという。明治40年ドイルから輸入され上野動物園で公開されていたが、翌年に死んで剥製標本となったキリンの「ファンジ」。 

赤坂離宮花鳥図画帖
淡紅鸚哥(いんこ)に科木 (渡辺省亭) 《秋草に鶉》 (荒木寛畝) 1906年

 明治42年に完成した迎賓館の「花鳥の間」「小宴の間」を飾る七宝の下絵として描かれた作品で採用されたのは渡辺省亭のものだったという。全16点が展示される予定だが10月18日~11月13日まで8点、11月15日~12月11日まで8点と展示替えがされるようだ。ざっと見た印象では写実に優れているのは寛畝、色彩感覚に勝るのが省亭みたいな感じだろうか。宮殿内の装飾画としてはそのへんも考慮されたのかもしれない。

金剛力士立像
金剛力士立像》 平安時代12世紀

 2022年に購入された新収蔵品でこの立像撮影可となっている。

 もともとは滋賀県蓮台寺の仁王門に安置されていたが、昭和9年(1934年)の室戸台風で門とともに倒壊して大破したという。そのバラバラになった部材のまま長く保管されていたが、昭和43年(1968年)に公益法人美術院が研究資料として購入、昭和45年(1970年)に京都国立博物館で仮組みの状態で展示された。

 近年になって美術院で約二年をかけて修理し今回トーハクで購入展示となったという。高さは約3メートルと巨大で、中は空洞となっている。ある意味、未来の国宝となるのだろうが、それ以前に継ぎ目もまったくない見事な修復の技術に驚かさえる。

 この仏像の来歴等についてトーハクは動画として公開している。


www.youtube.com

常設展

 人でごった返す企画展に比べて本館の常設展示は落ち着くというか、なにかホッとするような感じになる。こちらも前回行った9月とは展示替えがなされている。気になった作品をいくつか。

山水図屏風
《山水図屏風》 (狩野探幽) 17世紀 
《山水図屏風》 (呉春) 18世紀 

 江戸狩野の祖狩野探幽と四条派呉春の《山水図屏風》が同じ間にあるという贅沢さを感じた。ウィークデイ4時台のトーハク常設展示の至福のひとときみたいな感じ。この2点を同時に観ることができるのはいつまでなんだろう。

四季山水図(雪舟等楊)
《四季山水図(冬)(春)》 (雪舟等楊)

 雪舟が中国に滞在中に描いたとされる重文作品。

富士川大勝》 (竹内栖鳳

富士川大勝》 (竹内栖鳳) 1894年

 富士川源頼朝率いる源氏軍が平維盛率いる平氏に大勝した富士川の戦いを描いた作品。水鳥が飛ぶのを源氏軍の来襲と勘違いして平氏が大混乱に陥ったところを源氏軍が攻めあがったのだとか。竹内栖鳳による戦絵というのはどうなんだろう、自分的には珍しいものに思えるのだが。

《老猿》 (高村光雲

《老猿》 (高村光雲) 1893年

 高村光雲というと光太郎の父親という印象が強い。もともと仏師高村東雲に師事して木彫修行を積む一方、明治の新しい彫刻表現を求め苦闘し、西洋風の写実表現に取り組んだ。明治初期には廃仏毀釈の時流のため仏師はみな失業状態だったという。

 明治22年(1889年)に岡倉天心に乞われて東京美術学校の彫刻家教授に就任、この《老猿》は明治26年1893年)にシカゴ万博に出品した作品。鷲と闘いとり逃したようすが表現されていて、左手には鷲の羽が握られている。

 トーハクでは何度か観ている作品だが、改めて観るとその気迫とも気概ともいうべきものがひしひしと伝わってくる凄い作品だと思う。

トーハクの園庭など

 トーハクの園庭にもじょじょに秋の色が増してきている。今回は国宝展の人混みとこれでもかこれでもかという国宝に圧倒されつつ、常設展に癒され、お腹いっぱいの状態で園庭をぶらぶらとした。美術作品を思い切り浴びたというか、そんな気分にもなった。

*1:悪所通いにより佐渡流罪

皆既月食

 442年ぶりの皆既月食と天体食-天王星、そして次回の天体食は土星食で322年後ということで、朝からテレビで盛んに天体ショーについて報道している。

 別に天体観測とかそういうのはほとんど興味もない。記憶を辿っても星を見たとか月食や日食を観測したとかそういうのがほとんどない。う~んと昔のことでいえば、小学生の多分低学年の頃に、クラス全員で校庭に出て日食を見たのをなんとなく覚えている。たしかガラスの板だかにロウソクの炎をかざしてススをつけて見たような記憶が。

 かれこれ60年近く前のことなので、いろいろなことがごっちゃになっているけれど、当時購読していた学研の学習誌には、日食や月食を見るための紙製のメガネが付録でついていたことがあった。多分、そういう天体ショーがあるときについてきたのだろう。紙で出来ていて、レンズの部分は色付きのセロファンかなにか。でも、その付録メガネで日食なりなんなりを見た記憶が残念ながらない。

 子どもが小学生の頃、夏休みの自由研究はたいてい親がかりでやっていた。毎年、毎年、親が子どもに希望を聞いてからネタを用意してみたいなことだったか。子どもの自主性とかそういう点ではまったくダメダメなのだが、数少ない親子での共同作業みたいなことで許してもらうしかない。

 この日常雑記にもいくつか記録が残っている。懐かしい子育ての記録みたいなものだ。それでどうのと言われても、多分そういうものだ、としか答えられない。子どもにとっては黒歴史に類するものかもしれないが、親的には懐かしい記憶、思い出だ。

夏休みも終了 - トムジィの日常雑記

2006年、卵を酢につけて作る浸透圧の研究。

10円玉実験 - トムジィの日常雑記

2007年、10円玉をいろいろな液体(酢、ジュース、牛乳などなど)につけて変化をみる酸化銅の研究。

顕微鏡クイズ - トムジィの日常雑記

2008年、USB顕微鏡でいろいろなものを拡大する顕微鏡クイズ。

 

 あまり科学的向上心に結び付くものではないようなものばかりだった。みんな短時間でできる安直なもの。だいたいこういう自由研究も、夏休みの最終週とかにギリギリになってやったものばかりだった。子ども的にはあまりそういうのに興味もなく、夏休みの宿題も可能な限り放置するタイプだった。誰に似たんだか。

 2007年は本当は天体観測をやるはずだった。子どももそのつもりでいた。たしかその年の夏も皆既月食があったのだったが、生憎当日が雨降りで急遽10円玉実験になった。その時の記録を見ると、どうも5000円程度の玩具のような天体望遠鏡を買って、それにデジカメを据え付けてということにしようと親子(主に親が)で計画していたみたいだ。皆既月食の日の準備のために、親はその週は天体望遠鏡にデジカメを装着して撮影の準備とかをしていたみたいだ。そうやって準備していたのに、残念ながら当日雨だったとか。

皆既月食は雨で・・・ - トムジィの日常雑記

 そのときに自分の人生でも多分初めて、そして最後とでもいうような、割と大きな月の写真を撮った。たまに昔の写真を見ていて、この写真に出っくわすと、よくデジカメでこんな写真が撮れたなと思ったりもしたのだが、玩具とはいえ天体望遠鏡使ったんだった。

2007年8月の満月

 そして話は2022年に戻る。

 妻がデイサービスに行く前から今日は皆既月食を見に行きたいと話していた。そして午後、帰ってくるなりに「月食見に行くよ」と声かけてくる。その気はないのだが、テレビで報道されるうん百年ぶりとか、次は三百うん年先とかいう喧伝についその気になる。

 月食を見るとなると選択肢は、家のベランダ、ご近所散歩、ちょっと開けたところへ行くとそのくらいになるのだろうか。ちょっと開けたところだと、この近辺だと運動公園の駐車場とか川島の平成の森公園とか、いくつか頭の中で巡らしてみる。でも出来れば星とか月を見るとなると、低地よりも小高い丘系の方がいいかもしれない。基本、車椅子だしあまり辺鄙なところもうよくない。トイレとかのことも。公園のトイレはあまりキレイじゃないし、夜とか使うのはどうか、などなど。

 ということで高速のSAがいいかと思った。駐車場は広いし、トイレもキレイで完備されている。SAだと街燈類がけっこう多くて明るいから月を見るに適しているかどうかはわからないが、まあ基本はなんちゃって天体観測である。近所のSAというと関越道の高坂か圏央道の狭山のどちらか。帰りのことを考えて高坂をチョイスする。狭山SAだと帰りは入間で降りて下道、高坂だと東松山。どっちでも同じようなものかもしれないけど。

 高坂SAではトラックが沢山止まって待機している。時間調整、仮眠など諸々。ご苦労様である。このトラックの群れが日本の物流を支えている。ここだけは自動化、無人化できない。それでいて運転手の収入はずっと下がり続けている。少子高齢化、3Kのトラック運転手の成り手が多分減少しているはず。5年後、10年後はどうなっていくのだろう。ずっとそんなことを考えているのだけど。

 駐車場内を1~2週回ってからレストランから少し離れた所に車を停める。高坂SAは上りと下りが隣接しているのだけど、下りの方が少し高台になっていて坂戸の町とかを見下ろせることになっている。このSAをチョイスをしたのはそんなことをもあってのこと。

 月はじょじょに満ち欠けている。近くでは夫婦と思われる二人連れで男の方が小さな天体望遠鏡を設置している。そのベンチにこちらも座ってとりあえず月を見る。スマホで写真を撮るが望遠にしてもちょっと大きな丸い点みたいにしか撮れない。いちおう双眼鏡を大きいやつとコンパクトのやつと二つ持ってきていたので、そちらで覗いてみるとそれなりに月が欠けているのがわかる。ついでに8倍光学レンズ付きとかいう昔買ったデジカメの方で撮ってみる。手持ちだとブレることブレること。なかなかうまく撮れない。月とか星を撮るなら三脚は必須だなと、当たり前といえば当たり前のことを思う。

 

 ほぼ月が地球の影にすっぽりはまった段階でもデジカメレンズだとこんな風に写る。

 

 妻は車椅子に乗ってiPhoneで撮影するのだが、うまく撮れないねと言っている。まあそんなものだ。

 なんだかんだで小1時間、月を見て過ごす。長く外にいるとそこそこに寒い。妻に缶のコーンスープを買ってあげると、時間をかけて全部飲んだ。いつもだと二人でシェアするのだけど。

 その後は、また月が上弦の方から欠けて戻ってくる。さすがにそれをずっと見ているのもしんどい。夕食も取ってないし。ということで撤収して東松山PAで降りて下道で帰宅する。途中でスーパーによってカットされたカボチャ(半額)と安いベーコンを買う。帰宅してカボチャとベーコンのチーズ焼きみたいなのを作る。カボチャをレンチン、ベーコンと一緒に炒めてから粒状のシチューの素をパラパラと入れ牛乳も足して混ぜる。それから皿にもって溶けるチーズを載せてもう一度チンして。まあ適当だわ。

 料理の前に二階のベランダに出てみるとまだ月は欠けたまま。試しに三脚出して数枚撮ってみた。

 とりあえず天体観測は終了。

 何回か生まれ変わって、そして運よく人間に生まれ変わって、うまいこと322年後にも人間やっていたら、また月食と天体食に巡り合うことができるかもしれない。

グッド・ナース

https://www.netflix.com/jp/title/81260083

 これは文句なく面白かった。病院を舞台に過酷な勤務に従事する看護師たちの物語。シングルマザーで心臓病を抱えるエイミーは過酷なICU勤務で疲弊している。心臓病はいつ発作を起こすか判らない。契約で1年経たないと医療保険に入れない。一回の診察代が950ドルと高額。そんな彼女の部署に、親身になってくれるベテラン看護師チャーリーが入ってくる。病院での深夜勤務での会話のなかでチャーリーと打ち解けていくエイミー。チャーリーもまた離婚経験者で、判れた妻はなかなか子どもにも会わせてくれないとエイミーに悩みを打ち明ける。

 チャーリーはプライベートでもエイミーの子どもの面倒をみてくれたりと、じょじょに二人の距離は近づいていく。そんなとき病院内で患者の不審死が相次ぐ。警察はチャーリーを容疑者として捜査を進め、エイミーにも捜査の協力を求める。エイミーは以前チャーリーが勤めていた病院に自分の知り合いがいたことを知り、話を聞きに行く。するとその病院でも不審死が相次いで起こっていたこと、チャーリーが辞めると同時にそれがおさまったことなどを知らされる。

 エイミーは捜査に協力し、チャーリーに本当のことを話すように求めて行く。

 医療現場での疲弊していく看護師の物語。それぞれに問題を抱える二人の看護師の孤独な魂。そういう人間ドラマがじょじょにミステリー的な展開へと移っていく。それでもどこか靜的な感じで、ドラマティックに観る者を惹きこんでいく、みたいなそういう映画ではない。どこまでオーソドックスに、静かな展開。

 医療現場にありがちな不審死と殺人の疑い。よくできた話だと思ったら、これは実際にあった事件を基にしているのだとか。

チャールズ・カレン - Wikipedia (閲覧:2022年11月8日)

 看護師として勤めた16年間に本人が自白しただけで40人近くの患者を殺害した男。本人がよく覚えていないもの、自白していないものをあわせる400人近くの殺害の可能性もあるという。病院を転々としながら、患者に薬品を過剰投与して殺害する。病院は薄々カレンの犯行を疑いながら、遺族からの訴訟リスクや病院の評判が落ちることを恐れ通報せず、カレンは看護師不足ということもあり次々と病院を渡り歩く。とんでもない猟奇殺人事件である。

 主役はいずれもオスカー俳優のジェシカ・チャスティンとエディ・レッドメイン。二人の押さえた演技のぶつかり合いは見事である。この映画は2022年制作なので、ひょっとするとオスカーに複数ノミネートされるかもしれない。チャスティン、レッドメインがそれぞれ女優、男優でノミネート、受賞となれば、それぞれが二度目となる。受賞に十分値する演技だ。

ジェシカ・チャステイン - Wikipedia (閲覧:2022年11月8日)

エディ・レッドメイン - Wikipedia (閲覧:2022年11月8日)

 オーソドックスで靜的なストーリー展開、ある種たんたんとしていて、過剰なスリリング感もない。それでいてダレ場がなく123分を一気にみせる。監督はデンマーク出身のトビアス・リンホルム。おそらくハリウッドでは初めてメガホンをとったようだが、今後活躍が期待される。

 この映画もNetflixによる制作映画で、劇場公開もされたという。ネット配信メインで制作される映画も良質な作品が増えているということなんだろう。