都内周遊 (3月22日)

 胃カメラのんだ後、さてとどうするかとなる。もしもポリーブなどで組織をとることがあったら、その日は酒が飲めないということだったのだが、それもない。無罪放免だからといっていきなり昼酒というのもなんだし、それほど無頼でもない。実際のところ最近はとんと昼酒とかもしない。

 いつものようにお茶の水丸善で少し時間をつぶす。これも何度も書いているけれど、最近は本屋に入ってもなにも買わないで出ることが多い。今回もそうだった。

 昔は、本屋に入れば何かしら本か雑誌を買っていた。まあそれが本屋への礼儀でもあるし、とりあえず何か読みたい、読んでみようかなと好奇心をそそるものがあった。今はそれが皆無に等しい。

 プロフィールに子どもの頃から本屋が遊び場と書いている。実際、小学生くらいの頃から毎日にように本屋に通った。大書店にいけば何時間でも過ごすことができた。読んでみたい本、今度買いたい本、いつか読みたい本、そういうのが沢山あった。本棚を上から順に眺めていれば時を忘れることができた。

 本屋好きが高じて、本の仕事についた。以来40年、とにかくなんらかの形で本に接する仕事を続けてきた。そして本の業界自体が大きく揺らぎ、商売として成立しなくなることが明確になった頃に、仕事をリタイアした。

 多分その頃からだろうか、本屋にあまり足を運ばなくなり、行っても手ぶらで出てくるようになった。

 

聖橋

 丸善を出てこれもいつものように聖橋を渡る。

  聖橋の上からお茶の水駅を見下ろしてみる。ちょうど出てきた丸の内線とお茶の水駅に止まる中央線のツーショットを撮った。別に鉄ちゃんでもなんでもないが、なんとなく嬉しい。昔、交通図鑑みたいな本には必ず、トンネルから出てくる丸の内線と中央線か総武線がクロスする絵が載っていたのを思い出した。

 

湯島聖堂

 道路を横切って久しぶりに湯島聖堂に行ってみる。徳川綱吉によって建てられた孔子廟。幕府直轄の学問所である。林大学頭とかそんな文字が頭の中をよぎる。幕府の公式の学問が朱子学だったか。

湯島聖堂 - Wikipedia

神田明神 

 次に向かったのは神田明神。ここを訪れるのもずいぶんと久しぶりだ。

 

 

 

 神田明神といえば甘酒だったっけ。まあいいか。それから新宮本公園を通って新妻恋坂に出て少し進んで中央通りにぶつかったところで左折。たしかそのまま行けば池之端に出るはずだと勘を働かす。実際のところまさしくピンポンである。

 前日の6時過ぎからなにも口に入れていないのでかなり腹は減っているはずなのだが、さして空腹感がない。年を取るとなにもかもがどうでもよくなるようで、食事をとるのも億劫になるのかもしれない。そのまま池之端を少し歩くと横山大観記念館に着く。前回、このへんを歩いたときは月曜日で休みだったので入ってみることにする。

横山大観記念館

公益財団法人 横山大観記念館 - YokoyamaTaikan Memorial Hall

横山大観記念館 - Wikipedia

  五浦の住居が消失した1908年、東京に戻った大観が建てた住居で、亡くなる1958年まで住んでいた家を改築した美術館である。現存する建物自体は1954年に建て替えられたものらしい。

 この家で大観は毎朝5時に起床。すぐに風呂に入り、それから二階にある画室に入って、筆をもつこともなく思索にふける。8時少し前に階下に降りて朝食。その後は新聞を読んだり、手紙に目を通したりして過ごし、10時に再び二階の画室に向かう。興にのると昼食をとることもなく画業に励み、夕刻5時頃に仕事をやめて階下に降りる。

 大観は自然光の中でしか絵を描かず、夜、電球のもとのでは仕事をしなかった。夕食後は囲炉裏のある第二客間「鉦鼓洞」に座り、大好きな酒を嗜んだ。

 1階の客間には《梅図》の習作が展示してあり至近から鑑賞できる。完成品は香淳皇后昭和天皇の皇后)の父、久邇宮邦彦王の邸宅に飾られたものだという。記念館にある作品が習作となっているのかについて、係の人が説明していたが、扇と扇を並べたところ松の枝にずれがあったからなのだとか。いわれてみれば確かにずれていた。

 

 

 

 大観記念館の入館料は800円。近代日本絵画のチャンピオンともいうべき大家を偲ぶという意味ではまあ普通かなと思う。たまに寄ってみるのもいいかなと思う。

不忍とアメ横周遊

 大観記念館を出てから道路を渡って不忍池のぐるりを巡る。穏やかな午後という感じだろうか。

 

 

 不忍池には水鳥もたくさんいる。しかも慣れているのかなかなか逃げない。

 柵の上に止まったカモメも全然逃げる様子がない。

これはカモメ?

こっちは多分ユリカモメかスグロカモメ

こっちはキンクロハジロ? 目つきが悪いな

 不忍池を半周してから、そろそろ遅めの昼食をと思いアメ横に向かう。いつも前を通るだけの摩利支天にも寄って参拝してみる。祈るのは毎回同じで、妻と子どもの健康。

 

 アメ横はウィークデイでもかなりの人混み。やっぱり外国人が多いみたい。さてさてどこへ入ろうかとうろうろと歩き、ガードをくぐって反対側に。こっちは完全な飲み屋街だけど、昼からけっこう盛況だ。とりあえず安めで一人で入れそうなところを見つけてガソリンを入れることにした。

 

 小1時間、生2杯、ハイボール1杯、つまみ3品でほろ酔い。とりあえず胃の健康を祝してみる。それから上野の山へと向かった。