KDDI(au)の通信障害について

 携帯電話大手のKDDIは4日、大規模な通信障害が音声通話・データ通信ともに全国的にほぼ回復したと発表した。2日未明の発生から62時間以上かかった。全面復旧については5日夕方をめどに判断する。携帯電話の利用者にとどまらず、生活に身近なサービスにも影響が及ぶ深刻な事態となった。

通信全面復旧、今夕にも KDDI、障害62時間後「ほぼ回復」:朝日新聞デジタル

<経緯-朝日新聞より>

日付 時刻 経緯
2日 01:35am 通信障害が発生
02:52am HPに障害情報を掲載
03:04am KDDI総務省に一報。総務省は早期復旧と利用者への丁寧な情報提供を要請
深夜 総務省が幹部をKDDIに連絡要員として派遣
3日 10:00am 金子総務相が臨時会見、「重大な事故に該当すると認識」と発言
11:00am KDDI高橋社長が会見し謝罪
11:00am 西日本の復旧作業が終了
05:30pm 東日本の復旧作業が終了
4日 07:00am 全国的にデータ通信が概ね回復と発表。音声通話が利用しづらい状況は継続
04:00pm 音声通話・データ通信含め全国的にほぼ回復と発表

 

KDDIのお知らせ>

お知らせ一覧 | KDDI株式会社

 

 しかし通信障害発生から60時間余、これはさすがに長かった。自分の場合、仕事してないから、ほとんど影響はなかった。基本、家にいてWi-Fi環境にいたから普通にネットは使えた。通話は家族というか、カミさんと連絡取り合うくらいだから実はこれもほんど支障がなかったといえばなかった。

 2日にカミさんが夕方から一人で散歩に行ってしまったときは、さすがに迎えに行こうにも連絡がとれずにまいった。カミさん基本、車椅子なんで一人で出かけたときも必ず迎えに行くので。とりあえず駅前のスーパーまで行って、ネット繋がるのだからひょっとしてと思いLINEで通話してみたら、問題なく通じて落ち合うことができた。

 まあ今時の人なら、これは常識なのかもしれない。というか若い子は通話はほとんどしないで、連絡手段はLINE、ショートメールも通話もLINEというのが普通のようだから、通話ができないでも意外と困らないのかもしれない。

 多分、一番困ったのは電話で仕事をしている人かもしれない。通話できるようになったら早速、保険屋さんが電話かけてきた。そこで少し話した時に、auの不通は支障あったかと聞くと、キャリアがauだったので仕事にならなかったということだった。こういことが全国にあるはずだから、損失は計り知れないかもしれない。とにかく2日半通信手段が遮断されてしまったのだから。

 さらにいえば自分もその一人だけど、高齢者はやっぱり通話できないとなるとオタつくとは思う。自分は少しだけネットとかの知識があるから、状況把握とかできる方だとは思うけど、そういうのに疎い人はやっぱりショップとかに言ってしまうかもしれない。これを情弱と批判することはできないと思う。

 KDDIの対応については、社長が技術屋さんあがりだかで、記者会見での説明が良かったとかいう声がネットでは盛んに上がっていた。たしかに理路整然としているけど、自分なんかからすればなにか他人事っぽい感じがした。技術屋さんによくいるタイプだな。本人は誠実に状況を説明しているつもりだし、実際そのとおりなんだろうけど、なんていうか「申し訳なさ」みたいなものが欠けてみえるのね。

 スライドを使って説明も判りやすいといえばそうなんだろうけど、途中で本人も口すべらして「プレゼン」と言ってから訂正してたけど、もう一から十までプレゼンなんだよね。技術的な状況説明も必要だけど、それだけじゃないように思ったりもする。

 実際のところ、社長が技術面をすべて把握してエラいみたいに評価されるけど、そのへんは横に座っている技術担当役員に説明させればいいのであって、社長はハードではなくソフト面について、あるいはユーザーへの説明、社会インフラ事業のトップとしての社会に対しての説明なり謝罪を重視すべきだと思ったりもする。

 自分の拙い経験でいうと、会社のシステムが止まったときの対応についていえば、システム屋に対応を依頼、原因の把握と復旧等についての大まかな予定の確認、そして何よりも顧客にどう説明するかなんだな。自分はコールセンターとか運営していたこともあるので、システムダウンによって受発注業務ができないとか、そういうことの文言を作ってオペレーターに徹底させる。文言は時間単位で変わるし、オペレーターでは済まない顧客にはもちろん対応もする。そういう点では技術的なことよりも、いつサービスが復旧するか、通常化できるかをおおまかに説明できるかどうかだと思ったりもする。

 今回のKDDIは、復旧作業が終了とアナウンスしながら通話できない状況が1日以上続いた。その間も一貫して以下のようなアナウンスである。

全国的にデータ通信を中心として徐々に回復しているものの、ネットワーク試験の検証中につき、流量制御などの対処を講じているため、音声通話がご利用しづらい状況が継続しております。

 これ音声通話に関していえば、ずっと「ご利用しづらい状況」ではなくて、「ご利用できない状況」だったと思う。自分の場合は4日の午後2時くらいまではずっと通話不可の状態が続いた。これって復旧作業は終了したけれど、流量制御のためまだ「利用できない状況が継続していますがじょじょに利用できる状態に回復しています」ではないのかと思ったりもする。

 ようは悪い状況説明していて、それで通話できるようになればユーザー的には御の字みたいな心理的な部分あるのではと思ったりもした。「KDDIのアナウンスだと、まだダメっぽいけど、うちは回復したね」みたいな。

 もう一つ今回のことで思ったけど、IT技術屋さんたちの専門用語は一般ピープルには伝わらないとは思った。なんだよ「輻輳」って。まあ調べれば「アクセスが集中」とか「トラフィックが集中」とかそういうことなんだろうけど、だったらそういえばいい。しかし「輻輳」ってねえ。思わず広辞苑調べちゃったよ。

輻輳(ふくそう)

(輻(や)が輳(こしき)に集まるの意)

方々から集まること。物が一か所にこみあうこと。

広辞苑』第6版

 ちなみに輻(や)とは車輪の中心部から輪に向かって放射状に出ている棒。輳(こしき)は集まるの意らしい。

 輻輳って英語だとconvergence(コンバージェンス)のことらしい。その訳だとしたらちょっと頭が悪いというか、IT用語を翻訳したどこかの誰かは明治の西周みたいに優秀じゃなかったんだろうなと適当に思う。普通に「集中」「殺到」でよかったのではないかと。もしくはこれだけ国際化してきているのだから、無理やり古風な言葉に翻訳しないで、そのままカタカナで「コンバージェンス」でも良かった。こういうのは例の「冗長」とかあのへんで困った経験がある。

 大昔、勤めていた会社でシステム障害があって1日業務が止まったとき、対策として技術屋さんが提案したのが冗長化だったかな。この場合の冗長は多重化という意味で、ようは同じ機器をもう1セット用意して同じように運用させて、なにか障害があったらいつでも切り替えできるようにするみたいな話だった。とりあえず安心、安全のためバカ高いルーターだのなんだのを買うことになった。中小零細なのに三桁くらいはかかった記憶が。

 さらにいえばパソコンやってる人にはお馴染みの巡回冗長型エラーとかもね。表示されるエラーメッセージがCRCエラーで、調べると巡回冗長型エラーでますますわからなくなるというあれだな。

 冗長も普通にリダンダンシーでいいと思うし、日本語化するなら普通に多重化でいいじゃないかと思うのだが、なぜかITは横文字からいきなり意味不明な漢語になり、とにかく技術屋さん以外には意味不明な呪文になっていく。それでいて、技術屋さんはそんなことも判らないで俺たちの仕事じゃまするな的なオーラー出してくるから困るんだけど。

 まあ今回のことで、通信が社会的インフラとして大きなウェイトを占めていることを確認できた。そのうえで思うのだが、電気、水道、ガスにとともに通信という社会的インフレを民間事業者が担ってもいいのかということも考えていく必要があるかもしれない。電気だった、例えば原発のシビアアクシデントが起きたら、賠償にしろ事故対応にしろ、避難やらなんやらを民間事業者だけで対応するのは困難であることを、我々は11年前の事故で体験済みである。民間の通信事業者だって、いつなんどき過酷な事故が起きるわからないし、テロだのなんのだってけっして想定外じゃすまされないと。

 ネット社会は今後も一層加速化していくことは間違いないのだろう。通信インフラになにかあったときへの対応、国レベル、社会レベル、個人レベル、いろいろ考えないといけないし、多分遅れているはずの法整備も進めないといけないのかもしれない。

 

 繋がらない間に、いろいろぶつぶつとツィートしたことを見返してる。まあ基本、笑かしだしつまんないこと言ってるなとは思うが、一庶民のくだらない記録も考現学的にはありかもしれない。まあないけど。

2日 03:55pm 家でWi-Fiだから気がつかなかったけど、KDDIの障害かなり深刻だ。しかしなんか説明あったの?
08:16pm KDDIの株価、どのくらい下がるのだろう。指値で買い出してるやつが怪しいとか、くだらないこと考えた。
08:56pm 散歩に出かけたカミさん探しに行ってようやく落ち合えた。途中で試しにLINE通話して繋がった。LINEエライ。
08:59pm KDDIの障害、これだけ大規模なのにあまり騒いでない印象がある。なんか緘口令的ななんかあるの。
09:56pm au相変わらずアンテナ立たないね。そのうち通信機能のないサービスにするのでは。 「通話は?」 「LINEがあるでしょ」
11:09pm みんな繋がるようになってもウチはダメで、故障してたとかいうオチはないこと祈りたい。
11:11pm KDDIが原因は猛暑のせいと言ったら、なんとなくそれじゃ仕方ないなと納得するかもしれない。
3日 12:13pm まだau復旧してないのか。タイムラインも、なんか復旧にあたってる人への労いたか、au頑張れみたいなのがあって笑える。物分かりの良いユーザー多くてよかったね、au
05:58pm auまだアンテナ立たない。 復旧したら、#おめでとうau とか、#ありがとうau みたいなタグが出来るんだろうか。
08:29pm 相変わらずauのアンテナ立たないんだけど。なんかなし崩しに通話サービス終了とかないよね。
4日 12:29am au復旧してない。自分のはアンテナまったく立ってない。カミさんのはアンテナ立ってるけど繋がらない。社会インフラがこんな脆弱なままでいいのだろうか。
02:54am auの障害で、社会インフラをもっと有難がれみたいなツイート見るけど、なんか違う。技術屋さんからすれば、障害は日常茶飯であり得ることであっても、売る会社も、利用するユーザーもそんな説明しないし、受けてない。情弱扱いする技術屋の奢りみたいなこと感じる部分ある。
03:00am 昔からシステム屋さんや技術屋さんは、専門領域詳しいけど、説明下手多かったし、何より人間が担ってる業務全般への無理解が際立っていた。こうすりゃ簡単ですって言われても、顧客や取引先との関係では、簡単に出来ないことの方が多い。社内システムとか導入した時の拙い経験だけど。
10:08am KDDIは社長の会見説明、復旧にあたった技術陣、みんなよくやっている。障害3日目でも以前アンテナが立たず、通話が出来ないこと以外は。
10:43am 復旧作業終了、音声繋がりにくいは、楽観的かつ現実に即していないような。現に通話出来ない状況続いているのにね。復旧作業中、5日程度繋がりにくい状況続くぐらいのアナウンスの方がいいように思う。早まればいいだけなんだから。
11:39am 社会インフラを民間企業に任せていいのかという問題もありそう。水道、電気、ガス、通信とか。何かあった時に事業者任せで耐えて忍ぶ。まあそれも自己責任か。
11:52am いろんな仕事経験したけど、コールセンターの責任者みたいの10年くらいやった。一番拗れたクレームが回ってくるやつ。「これ以上おっしゃられると警察に通報させていただきます」みたいなの。システム障害とかで通常対応出来ない時もまあ大変。技術屋さんもシンドイけどユーザー窓口もキツいんだな。
12:04pm #au復旧してない 通話がしづらい状況、ここに期間を設定するか判断すべきか。最大3日とか5日程度とか。社会インフラとしては必要だと思うし、信頼性にかかわってくる。「わかんないよ」と居直れないと思うけど。
12:17pm 通信って民間事業者に任せていいのかしらね。なんか不安になってきた。
02:17pm どうやらau復旧したみたいで、通話okになった。通信障害60時間か。歴史に残るか、すぐに忘れらるか。
03:17pm 通信事業者の危機管理とかバックアップ体制をどうのこうのと言うより、個人でリスク回避のため複数キャリアの端末もつ必要とか、そういう自己責任論が出てくるだろうか。