久々トーハク(東京国立博物館)に行って来た。
特段、企画展などがあった訳ではないが、ここの常設展示はまさにミュージアムという感じで、特に平日であると混むこともなく落ち着いて展示品を観れる。
ただし、例によって午後2時近くに上野に着き、いつものように上野パーキングセンターに車を止めた。3時間足らずとなるとゆっくり回れば時間が足らなくなるくらいなのに、出来れば西洋美術館の常設展にも行きたいという、これも例によっての欲張りぶり。結局、駆け足で回ることになった。
最初に平成館の方に回り、トーハクの西洋画というのを観る。
時代を語る洋画たちー東京国立博物館の隠れた洋画コレクション | 東京国立博物館創立150年記念特設サイト
日本、東洋の古美術コレクションのイメージが強い東京国立博物館。しかし、博物館の草創期から、欧米作家の作品も含む、制作とほぼ同時期に収蔵された洋画も収蔵しています。それらの洋画は、博物館がつねに同時代との関わりをもって活動していることを雄弁に物語ってくれます。
この展示では、創立150年の機会に、それらの洋画コレクションのうち、普段紹介される機会の少ない作品に焦点をあて、Ⅰ.世界とのつながり、Ⅱ.同時代美術とのつながり、Ⅲ.社会・世相とのつながり、の3つの観点から展示し、博物館の歴史における時代の証言者としての意義について紹介します。
明治期に各国から寄贈されたもの、購入したものなどが中心。最初に展示してあるのがこの作品。
一瞬、真筆かと思ったけど考えてみたら「夕日の港」はルーブルでしたね。これは19世紀の模倣作品。明治12年にグラスゴー博物館との産業見本の交換で寄贈されたものだとか。模造品も珍重された時代だったということ。
その他では、ロナルド・ロバート・マイクイアン、アルフレッド・ウィリアム・パーソンズなどあまり馴染のない画家さんの作品の他、日本人のものでは猪熊弦一郎などが展示されていた。展示期間は7月18日まで。
その後は本館の常設展示をざっと観て回る。
『紫式部日記』に着想を得たという作品。中宮彰子の初産の様子を描いたもので、悪魔祓いの米を撒く殿上人や女房たちが描かれている。この絵図は草薙奈津子の『日本画の歴史近代篇』に載っていて、一度観たいと思っていた。安田靫彦らしい緊張感ある歴史画だと思った。
その他では小林古径の作品が2点。
二点ともになんとなくソフトフォーカスな感じ。「出湯」は湯煙の雰囲気なんだろうか。女性の入浴シーンを画題としたものというと小倉遊亀の「浴女」を思い出すが、まったく異なる雰囲気。男性目線、女性目線という部分の相違あるかもしれない。古径のこの作品もいやらしい感じはまったくしないけれど。
伊能忠敬の日本地図初めて見た。縮図は21万6千分の1で、日本列島を8図で表したものの北海道の東半部だという。いつか全図を見てみたいものだと思う。
常設展示を駆け足で巡って外に出て何気に表慶館を見やると、その建物の建築様式とかが気になってくる。
大正天皇の御成婚(明治三十三年)を記念して計画された奉献美術館で、片山東熊の設計指導になる。石及びレンガ造、二階建で、ネオ・バロックの様式をもつ。円形と長方形を組合わせた平面の構成や大小ドームの取扱いなど巧みにまとめている。中央ホールのモザイクタイルを張った床は見応えがある。