兄の退院後の受け入れ施設を探さなくてはならない。兄がどのくらい入院していられるかわからないが、退院後もあのエレベーターなしの5階の住居に住むことは難しいだろうと思う。足の壊疽は確実に進行しているので、いずれ近い時期に右足は膝下かへたするともう少し上の方からの切断が必要になる。左足の親指にも一部壊疽がある。
もし今回の入院で、また以前と同様に歩行が可能になったとしても、いずれ手術をすれば多分それからはずっと車椅子の生活となる。なので兄の受け入れが可能な施設を見つけるか、低層の住宅を探すということを出来るだけ早くにやらなければならない。
老人施設ということでいえば、老健施設やサービス付き高齢者住宅、あるいは老人ホームということになる。いずれも利用料はピンキリなのだが、年金以外に収入のない兄にとってはキリの方で施設を探さなければならない。そのうえでもっともやっかなのが兄が透析患者だということだ。週に3回人工透析を行わなければならない。透析患者を受け入れる施設は少なく、たいていが高額な利用料だし、そしてほとんどが満室である。
預貯金もほとんどなく、年金だけで暮らしている兄の場合、理想的には特養が一番いいのだが、特養に入る必須要件は介護度が3なのである。現在介護度が1であり、先日更新のため調査を受けたとはいえ、おそらく介護度はそのままか2になるかというところだ。親指を切除する以前の兄であれば、いちおう歩行には問題はないので介護度1は妥当かもしれない。けれど現在の状態はというと、自分からみれば介護度3の妻よりも明らかに悪い状態だ。なのでケアマネには介護認定されて介護度が現状、もしくは2だった場合は区分変更を申し立てる旨を伝えた。とにかく介護度が3にならない限りは、兄にとってはなんの改善にもならないのではと思わざるを得ない。
ネットでもいくつかの施設を見つけ問い合わせたが、何十人も待機しているというところが多かった。病院のケースワーカーにも相談して、いくつか施設のパンフレットなどをいただいた。その中で一件、病院の施設内にある老健施設で、透析患者を積極的に受け入れているところがあった。電話をすると現在のところは空きがあるという。そこでアポをとり話を聞きに行った。
施設は本当に病院の隣にあり、利用者は透析に行くときは車椅子に乗り病院に行くことができる。兄のような人間には理想的なところだった。ただし利用料についていえば、かなり割高でひと月に25万から26万程度かかるという。身障者や低所得者で住民税が非課税の場合は一定の減免が受けられるのだが、それでも19万強はかかるという。
年金収入がひと月にすると15万程度の兄の経済状況ではかなり無理がある。ただしここ以外に受け入れ施設がない場合は、自分が相当程度負担をしなければならなくなる。施設の担当者はけっこう親身になって説明をしてくれた。小1時間の面談の後、いろいろと検討してみますとして施設を後にした。