兄、入院する

 午前中、休みをとり健保の診療所へ。前週に検査した心臓 CTの結果を健保の循環器医師より説明をもらうため。もっともCTをとった時の医師から粗方の説明をもらっているため、念のためのというところ。説明結果も検査したところでの医師の説明とほぼ同じ。心筋梗塞の疑いも晴れ、心臓に異常らしい異常もないとのこと。

 今後も健康診断で心電図に異常が出ても、心臓 CT検査を受けていますといえば多分、再検査はないとのこと。

 最後に医師に確認のために「無罪ですか」と聞くと、自信たっぷりにこう返事があった。

「無罪放免です」

 医師の診断、説明が割とすぐに終わったので、年の瀬ということもありすぐに会社に戻るつもりだったのだが、電車でふじみ野あたりにいた時にスマホに着信があり。車中のため電話にでず、登録のない電話番号のため念のためネットで検索すると、兄が透析を受けている病院であることが判る。こういうところがネット社会の強みかもしれない。主要な機関、会社、病院等の連絡先は簡単に検索できる。

 川越でいったん電車を降りて連絡をとると、案の定兄が透析に来ていないという。ただしいつもと違うのは病院が兄と連絡をとっているとのこと。なんでも兄から足が痛むので通院できないということらしい。病院は救急車を呼んで来るように指示したのだが、いまだに来院がないということだった。とりあえず自宅に行ってみると答えて電話をきった。

 急いで自宅に戻り車で兄の家に向かったが、道中毎度のことながら最悪のことを思い巡らした。

 兄の家に着くと女性が三人いて、兄は床い倒れて朦朧としていた。女性たちは包括支援センターのスタッフで病院からの電話で駆けつけたとのこと。すでに救急を呼んでいるという。女性たちの一人は兄のケアマネらしかった。

救急が来てからはもうてんてこ舞いといった感じ。救急隊は兄の状態を確認して、簡易の椅子のようなものに兄を載せて階段を下ろす。こういうときに5階建エレベーター無しという昔の公団住宅の作りは構造的な欠陥物のように思う。タンカだと下ろすのにも難儀するし、椅子のような形状のタンカは「避難医療用リフト階段椅子」というものらしい。

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 救急隊が自分に一緒に救急車に乗っていくかと聞くので、自分は後から車で行くと応えた。それから包括支援センターのスタッフに例を言ってから、部屋に戻り簡単な後始末と戸締りをしてから病院へ行く。

 病院はいつも兄が透析を受けているところで、透析医が救急の処置もしてくれていた。足は状態はというと蜂窩織炎という感染症。赤く腫れるやつで、兄の場合はかなり状態が悪くなっているようだという。

 蜂窩織炎というと、何年か前にうちのカミさんがやっているので割とあたりがつく。カミさんの場合は軽かったので、1〜2回通院しただけで快癒した。兄の場合はというと蜂窩織炎の状態も酷いのと、年末年始の人工透析のこともあるので、正月中は入院ということになった。

 しかし、こうやって病院から兄が透析に来ないという電話は何度目だろうか。多分3〜4回はあるのではと思う。一度は低血糖で倒れていて、自分が救急を呼んだ。その時も3、4日入院したのだと思う。一度は単に送迎のバスに乗り遅れただけで、自分が自宅に駆けつけた時にはすでに病院に入って透析をしていた。

 こうした連絡があると、いつも最悪の状態を考えながら兄の家に向かう。すでに父母がいない自分たちにとってはたった一人の血の繋がった兄弟でもある。とはいえ腎不全、重度の糖尿病、高血圧症、さらに心臓にも爆弾を抱えている独居老人の兄は自分にとっても、かなり負担な存在でもある。今の家を与えたのも自分、なにかあると医療費を払うのも自分でもある。身障者のカミさんを抱える身としては、こうした人生があとどれだけ続くのかとやさぐれる心持ちでもある。