米ボーダーズ、清算へ

http://www.asahi.com/business/update/0719/TKY201107190539.html
朝日の11面経済欄に載っていた(たまには経済欄も見ることもある)。バーンズ&ノーブルに次ぐアメリカのナショナルチェーンである。アマゾンなどネット書店の台頭、電子出版の隆盛の中で売上げが低迷したの主たる原因だという。
経営危機が取りざたされた時期に、電子出版だけが理由じゃないとするインサイドレポートも出ていて、けっこう興味深く読むことができた。
ボーダーズはなぜダメになったのか? « マガジン航[kɔː]
アメリカ第2位の書店チェーンがつぶれるという現実はやっぱり衝撃的ではある。元々少ないアメリカの本屋が一気に400店舗なくなるということ。さらには約1万7000人の従業員(書店人)が失職するという現実には、いちおう本を扱う仕事についている者としては胸がつまる思いだ。1万7000のなかには、もちろんいろんな人がいるだろう。でも多くは本に日々触れることをこよなく愛する人々、本を扱うことを天職とした本好きな人々だっただろう。
アメリカで第2位の書店チェーンである。単純に比較はできないし、こういった形で比較するのは失礼極まりないかもしれないが、日本的にいえば紀伊国屋だのジュンク堂だのリブロだのといった、それこそおなじみの書店チェーンが一挙に瓦解したに等しいわけである。
まあ様々な要因はあるにしろ、まずは本が売れないというのが一番。徹底した長期低落傾向の業界だから。収縮するマーケットの中で、ネット書店の台頭により、本はわざわざ本屋に行って買うものではなくなってきてしまっている。このへんがリアル書店の経営にとっては、けっこう致命的になってきているのだろう。
そういう背景に限っていえば、日本も同じような状況にあるわけである。あながち対岸の火事みたいにしてやり過ごせない事実なのかもしれない。すでに町の本屋はどんどんと消えつつある。彼らを淘汰させてきたのは、資本力に勝るチェーン店であったのも事実なのだが、そのチェーン店もまた競争力に劣れば、経営にしくじれば、簡単に破綻を迎えるということなのだ。おまけに書店経営に参入しようなどという資本もあまり考えにくい。実際ボーダーズにも再建に不可欠なスポンサーは見つからなかったと記事にもあるのだから。