政局雑感〜普天間

政治

なんか鳩山民主党政権の有り様が日々、先細り的になってきているようだ。衆院で多数を占める安定政権であるはずなのにいったいどうしてなんだろう。やはり衆参のねじれが一番の問題なのだろうか。参院で過半数を占めることができないために連立政権をせざるをえない。そのため小政党に振り回されるている。
思えば自民党政権の末期も同じような状態だった。小泉の郵政解散で衆院に多数を占めたにも関わらず、その後の参院選で敗北し民主党に参議院での多数を許してからというもの、衆院での圧倒的多数の利をまったく生かすことなく、どんどんと先細り状態に陥った。鳩山政権の有り様を見ていると、いつか来た道ではないが、当時の自民党政権と同じような形になってきつつある。
鳩山政権の致命傷になりつつある沖縄普天間基地問題。本来ならこの問題、外交、防衛イシューの一つでしかなく、それが政権の主要政策、主命題になるようなことではなかったはずだ。もともと普天間基地の移設の話が出たのは橋本龍太郎が総理だった頃のこと、たしか1996年くらいのことである。それから10数年にわたって自民党政権が放置してきた問題である。それを政権交代があったからといって一気に解決させる必要などはなかったはずだ。さらにいえば簡単に解決できるような問題であれば、いくらなんでも自民党政権でもこれほど放置してはおかなかっただろう。
なぜこれだけ放っておかれたのか。基地問題が防衛、日米関係、その他もろもろのデリケートな問題、基地利権、防衛利権のしがらみ、そうした事柄が複雑に絡み合っているからなのである。それを短期間に整理して解決するのはたぶん難しいを通り越して、ありえないことだったのだろう。
いったいなにがいけなかったのか。それは一にも二にも鳩山首相の政治的センスの欠如ということに尽きるのだろう。沖縄という言葉は悪いが辺境の地の基地問題をことさらにメインテーマにしてしまったこと。そのうえで複雑な問題を簡単に解決できるかのように安請け合いして5月末までに代替案をなどと自ら宣言してしまったこと、まあそれに尽きる。
鳩山首相個人にはどうにも悪い印象を持ちことができない。生来の人の良さというか、とにかく世間知らずの金持ちのボンボンというイメージそのままの人だからだ。この人の話しぶりをみていると、少なくともこの人は悪事に手そ染めることは絶対にないだろうと思えてくる。政治家にありがちな私欲のための政治やら、私服をこやすとか、そういうこともないだろう。とにかく一般市民からすれば天文学的な資産をお持ちの方だからだ。
とはいえこの人には政治家としてのセンスが感じられない。人は良いが、政治家としての主義主張、ステーツメントみたいなものが一切見えてこない。さらにいえばとりあえず総理大臣にまで上り詰めたのではあるけれど、この人に権力欲みたいなものも上昇志向性みたいなものも感じない。いったいぜんたい、この人はなんで政治家をやってきたのだろうとある意味不思議な思いさえ覚える。
でも、今民主党政権の支持率が極端に下がってきているのは、とにかくこの人の政治センスのなさ、リーダー・シップの欠如、まあそのへんに全部収斂されてしまうようにも思う。小沢の傀儡ならば傀儡なりに、ちゃんとマリオネットを演じてくれればいいのに、その演技力もない。操る側としてもこれほど素人っぽく、演技が下手では嫌になるのではとさえ思う。
とはいえ国会での論戦の場で自らを愚者と称してしまうところなどは実は嫌いではない。この人の育ちの良さ、人の良さ、その素人っぽさがそのまま受け入れられるような、より牧歌的な世界であれば、この人は立派に総理大臣を務めることができるかもしれない。でも日本では無理だと思う。この国は鳩山総理が務めるには値しないくらい、実は堕落し、懐疑や欲望が蔓延した世界だからなのかもしれないから。
たぶん5月末、普天間でにっちもさっちもいかなくなって鳩山総理は退陣されるのかもしれない。そういう流れだろう。その後はというと、小沢は次のマリオネットとして、いらつかなくなった管あたりを持ってくるのだろうか。でも、思うわけだよ、もういいから小沢よ、あんたが前面に出てくればいいだろうと。悪いけど操つる役として、闇将軍としてのあなたの才能は実は今ひとつだと思う。裏から支配するのにあんたの悪党面が表に出すぎる。せっかく鳩山をマリオネットにしたてあげたのに、自らマリオネットの足を引っ張るようなことばかりしている。
たぶんね、人間性の問題なんだろうね。小沢という人は実は自尊心なり自己顕示欲なりが人一倍強かったりするのだろう。だから裏方に徹することができないのだろう。だからね、せっかく衆院で多数を占めているのだから、小沢さんよあんたが前面に出てきて政権運営したらいいのではないかと、そう思うわけだ。そうすれば普天間も高速道路の無料化、その他民主党が掲げたマニフェストはすべてうまく遂行されるんじゃないだろうか。幹事長室で偉そうに忠犬たちに指示したりしてないで、きちんと責任を果たしたらどうだろうと、なんかそう思う。民主党の党首として、そして総理として得意の選挙を、参院選の陣頭指揮をとったらどうだろうか。