昨日の朝日の朝刊にデカデカと出ていた。
http://www.asahi.com/car/news/NGY200812220029.html
トヨタ自動車は22日、09年3月期連結決算の業績予想を大幅に再下方修正し、通期の営業損益が1500億円の赤字になるとの見通しを発表した。併せて、創業家の豊田章男副社長(52)が来年4月に社長に昇格する人事を固めた。渡辺捷昭(かつあき)社長(66)は退任する。豊田家出身者が社長を務めるのは、95年8月に退任した豊田達郎氏(79)以来、約14年ぶり。人心を一新し業績回復にあたる。
記事中にあるように「前期の営業損益は2兆2703億円の黒字」ということなので、わずか1年で2兆4000億もの減益となるわけだ。いや〜、貧乏人には想像も絶するというか、所謂一つの天文学的な額である。そこそこの規模の国家予算並みなのである。
日本にあって超優良企業であるトヨタがかくも巨大な損失を出すのである。その影響は様々な形で日本経済はゆうまでもなく、世界経済にも影響きたしていくのだろう。現にトヨタ赤字転落はニューヨーク株式市場にも影響を与えている。
http://www.asahi.com/business/update/1223/TKY200812230163.html
相当にやばくないかという思いがつのってくる。日本の基幹産業である自動車業界がほぼ全滅状態になりつつある。しかも国内景気をささえる屋台骨ともいうべきトヨタがこの有様なのである。来年はなんかこう未曾有の不景気、冬の時代が訪れそうな予感である。
今秋のアメリカの金融危機に端を発して、わずか数ヶ月で世界中が不景気の波に飲み込まれつつある。アメリカの自動車業界はさらにひどい状況で、それこそ破産寸前のところまできている。でもこの自動車販売の落ち込みの直接的な原因はというと、もちろん景気の落ち込みということもあるにはあるのだが、やはり今年初めからの原油の高騰=ガソリン高騰である。今ではリッター100円を割るかどうかと暴落しているが、一時期には200円までいくかというところまでいった。
これで自動車離れが加速したのだと思う。あの石油高騰はたしか投機筋の資金がまんま原油市場に流れ込んだためということだった。需給のバランスとはまったく別の形で高騰したわけだ。今秋のアメリカでの金融危機以来、そうした投機筋の資金はほとんど枯渇してしまったようだし、いっせいに資金が流出したために現在は下落の一途をたどっているということなんだろう。
しかし思うわけだよ単純に。石油上がれば当然ガソリンが値上がりする。それが半端じゃない値上がりとなれば当然自動車の使用や購入を控えようということになってくるではないか。だとすれば先進国は基幹産業の自動車業界が安定的に成長するために石油価格をコントロールすべきだったわけだ。国家単位でそれができない、市場に介入できないとするならば、巨大コングロマリットでもある自動車会社は原油市場の価格が投機筋に荒らされないように協調して価格の高騰を抑えるような手だてをすべきだったんじゃないか。
投機資金の流入で原油があがればガソリンが上がる。ガソリン上がれば自動車は売れなくなる。素人でもわかりそうなこの手の循環を英知が揃った巨大企業が予測もせず、なんの手だてもしなかったというのがどうにも腑に落ちない部分だ。
トヨタにしても今秋以降業績の下方修正を何度かしているようだが、これほどの損失を平然と発表するとはいったいどういうことなんだろう。などとクエッション的な部分が多々あった。で、ぐぐるとこんな面白い分析がでているではないか。
サーチナ-searchina.net
なるほどなるほどという感じで、それこそ目から鱗です。このご時勢に、ビッグ3が軒並み倒産寸前の中で、なまじ利益なぞ出そうものなら、アメリカ市場でトヨタへのパッシングは半端じゃないでしょう。それならとりあえず適当に赤字出しておけば、「トヨタよお前も大変なんだな」とまあそういう感じですかな。さらにいえばトヨタがとりあえず内部留保とかも含めてとりあえず前期割れとはいえトントンくらいの収支で今期乗り切ったりすれば、それこそビッグ3のどこかを救済合併みたいな形で押し付けられる可能性だってあるわけだ。
さらにS氏の分析のとおりだとすれば、今後の世界的な不況、恐慌に発展するかもしれない情勢を乗り切るために一大リストラ敢行するうえでも、今期のマイナス1500億という数字はある種ちょうど良い赤字なのかもしれない。それも前期からのマイナスは2兆円以上なのですから。
そこまで穿った見方をしていけば、なるほど日本の英知が揃った巨大基幹産業トヨタ。自らが生き残る道をしゃにむに突っ走り始めたということなんでしょう。でもかくも巨大企業の社会的責任は?雇用を守り、労働者の生活を維持していくこともまた必要な部分ではと思わないでもない。とはいえこの世界は資本主義社会なわけで、いくら巨大企業だとはいえ、一私企業にそういう社会的な諸々を求めても実はせんないことなのかもしれない。
しかし、社会は、日本はどんな風になってしまうのだろう。
あと個人的に思うのだが、いよいよもって株に手出してみるのもいい時期なのかもしれない。例えばトヨタの株は1株2780円である。100株で278000円だ。日本の基幹産業の雄でもあるトヨタの株をこれくらいで手に入れるというのはなかなかない機会でもあるかもしれないとも思う。現に今秋以降の株価の暴落にあっても個人投資家の買いはどんどん増えているとも聞く。それでも株価がどんどん下がっているのは単に機関投資家筋が一斉に売りに走っているからなのだそうだから。
とりあえず絶対につぶれなさそうな大企業の株を少しづつ購入する。少なくとも低金利の時代にあっては銀行に預けるよりも確かな方途かもしれない。問題は底値がどのへんかということ。さらには10万超える金額になるといきなりびびりまくる小心者の私に100株、1000株単位の売買とかができるかどうか、そのへんが微妙なわけなのである。