毎日かあさん 黒潮家族編

毎日かあさん 5 黒潮家族編

毎日かあさん 5 黒潮家族編

出たばかりの新刊である。はや5作目になる。発売予告をアマゾンからメールで受けていたこともあり予約を入れておいた。かなりすごい売れ行きのようでアマゾンでは現在2位にランクしている。
きけばこのシリーズはすでに累計100部を突破する大ヒットにもなっているという。西原は最早女流ギャグ漫画家の頂点にまで上り詰めた感さえある。毎日新聞にとっては唯一の売りみたいな存在なのではないかとさえ思う。西原のこの大ブレイクにさらに拍車をかけるようについに「毎日かあさん」はアニメ化も決定したという。
http://mainichi.jp/life/kaasanchi/news/2008/12/418.html:TITLE
そして本作についてでいえば、西原のギャグはまったく衰えることを知らない。昨年3月に夫鴨志田譲を亡くした後、三ヶ月仕事を休んでいた頃のエピソードもこのマンガの中にはある。鴨志田を亡くしたことは西原にとっては相当なショックだったのだろう。しかしそれを克服したのは一にも二にも彼女の家族の存在だった。
彼女と二人の子どもとの日々の生活がこのマンガの中にはちりばめられている。成長していくお兄ちゃんと妹。思えばこのシリーズの1作目では4歳だったお兄ちゃんもすでに小学5年生なのである。兄弟はある時はけんかし、ある時は団結する。落ち込んでいるお母さんを一生懸命なぐさめるのもこの小さな兄弟たちなのだる。
夫を亡くして傷心の日々を送る西原が実人生に復帰しえたのは、子どもと共に生きることによってであり、またそれをこうしてマンガ世界に描くことで仕事にも復帰しえたのかもしれない。この生活マンガは子育てを通じて癒されて再生していく西原の精神が凝縮されているともいえるのかもしれない。
彼女の子育て友だちたちもいつものように登場する。5人の年子の男の子をもつお母さんむぎちゃんの生活を描くむぎちゃんファイブ。その子育てのコンセプトは「一人も死なせない」には笑える。そのむぎちゃんが西原と二人で酒を飲みながら話をする時の会話がとてもいい。

西原「よくも一人も死なずにここまで育てたよ むぎちゃん えらい」
むぎちゃん「ありがとう〜 でも笑わないでN」
むぎちゃん「実はまだもっと欲しいの〜 生協の食費が月30万かかるのにさ〜」
西原「ほしいよね ふかふかのやわやわのうまれたてさん。うんうん」
むぎちゃん「うぶ着がね〜 白いうちが」
西原「色物着るともう除外」
子育てしたお母さんは知らない間になっています。
うまれたてマニア

こういうのが子育てに参加したお父さんの私でもすごくわかるのだ。子育ては大変だった。うちも妻はもう一人欲しいとさかんに言っていたけど、夫婦共稼ぎだった我が家では一人で十分と私なんぞは思っていた。妻が病気になったこともあり、結果としては一人で良かったと思う部分もある。妻が入院している時とかに娘の下にもう一人いたら正直アウトだったようにも思うからだ。
それでも私なんぞも生まれたての赤ちゃん、二歳くらいまでの子どもとかにはもうめっぽう弱い。よちよちの子どもとかを外で見かけるとたいてい微笑んでしまうあやしいオヤジになってしまうのだ。先日も義理の弟夫婦に初めての赤ちゃんが生まれたので早速長野まで合いにいった。ほんの少しだけ生まれて一週間くらいの赤ちゃんを抱かせてもらったが、本当にふかふかやわやわなのである。一度あれを味わうとうまれたてマニアになるというのは本当にわかる。
このマンガの中で西原と二人の子どもたちとの交流を眺めていると、どこかでうちにももう一人いても良かったかなと思う部分もある。子どもたちとの生活で大人が得ることもたくさんあるのだろうと思うからだ。以前にも何度も書いたとだし、ある種の持論でもあるけど、子育てを通じて大人たちも様々なことを学んでいくんだと思う。このマンガがベストセラーになっているのも単なるギャグマンガを超えた部分、子育てを通じて人間西原が癒されて成長している部分とかに共鳴できるからなのかもしれない。