昨日の朝日の朝刊一面の記事である。
内閣支持率20% 政党支持は民主が逆転 本社世論調査
2008年05月01日22時30分
ガソリン税の上乗せ法案の衆院再議決を受けて、朝日新聞社が4月30日夜から5月1日夜にかけて実施した全国緊急世論調査(電話)によると、上乗せの復活に「賛成」は22%、「反対」は66%だった。福田内閣の支持率は20%で、発足以来最低だった前回4月19、20日調査の25%からさらに下落した。不支持は59%(前回60%)だった。
政党支持率でも自民が24%(同26%)、民主が28%(同22%)と逆転した。民主が自民を上回るのは、安倍内閣時代だった参院選後の昨年8月以来だ。「いま投票するとしたら」として聞いた衆院選比例区の投票先でも、民主が39%で自民の22%に大差をつけた。今年2月の時点では、投票先は民主32%、自民30%で接近していた。民主は弱いとされてきた女性の支持が増えている。
政府・与党は今回の再議決に続き、ガソリン税を道路整備に使うための法案も再議決で成立させる方針だが、これについても「妥当だ」が28%、「妥当ではない」が59%と否定的な見方が強い。一方、道路特定財源を一般財源化することは、「賛成」が67%と「反対」の22%を大きく上回り、支持されている。
一般財源化に賛成する人にガソリン税上乗せについて聞くと、「一般財源にするなら上乗せはあってよい」と「廃止した方がよい」がともに44%で、意見が分かれた。今後、一般財源化の議論に加えて、税率をどうするかも焦点になってきそうだ。
福田首相の問責決議案の参院提出を検討している民主党の姿勢を「評価する」は42%、「評価しない」は40%。問責決議案が可決された場合に福田首相はどうするべきかについては、「衆院を解散して総選挙をする」が60%で多数を占めた。「辞職も解散もする必要はない」は25%、「辞職するべきだ」は9%だった。
この他各紙の調査でも20%を割り込む情勢になりつつある。
毎日新聞 18%
http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20080503ddm003010087000c.html
共同通信 19.8%
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp3-20080503-355316.html
日経新聞 21%
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080502AT3S0101U01052008.html
ガソリン税上乗せ法案の衆院再議決の直後、ガソリンが130円前後から160円前後に一気に値上がりしたばかりだから、この数字はある意味当然かもしれないのだろう。また読売、サンケイがガソリン税が上がった(戻った?)この時期にあえて支持率調査を実施していないのは、2紙の内閣あるいは政権党自民党に対する温度差みたいなことか。読売の場合は主筆のナベツネの意向とかもあるのかもしれないな。
しかし支持率20%割れはかなり危険水域というか、内閣としては末期症状なんではないかいう気もする。大昔の記憶をたどっても田中角栄の頃だって支持率20%前後で総辞職していないか、みたいなことを考えた。ほんでもってそういう内閣支持率の低下について歴代内閣がどんなことになっていたかを一望できるようなサイトがないかぐぐってみると、以下のようなものがありとても参考になった。
2008-05-02
けっこう20%割れしている内閣あったんですな。しかも末期には10%をきった内閣なんていうのもあったわけだ。竹下さんとか宇野さんとか。しかしたいていの場合20%割れした内閣はすぐに総辞職している。そのへんが自民党政権のなかでもコンセンサスができていたというか、政権党のモラルみたいなことだったんじゃないかと思っている。かっての自民党には多数の派閥があり、内閣が総辞職しても次の総理候補がきちんと揃っていた。しかもそれなりの対抗軸となるべき政策的な相違みたいなものもあったんだと思う。
積極財政が破綻した場合には緊縮財政政策をとるとかその逆とか。外交的にもハト派とタカ派が交互にしのぎあったりとか。ようするにずう〜っと一党独裁が続いているようでいて、自民党内での政権交代みたいなことがあったということだ。
そのへんが崩れだしたのは多分ここ10年くらいか。それがある意味森政権あたりからかぶってくるようにも思う。森内閣は支持率が20%割れしてからも1年近く居座ったというが、この清和会系の直系である福田内閣があとどのくらい政権に居座り続けるのか、結局自民党がこの頃からある意味での政治的モラルハザード状態になっているということなんだろうと感じている。
同じ朝日の4面政治欄にはこの内閣支持20%の後追い記事として、自民党執行部の一人から「しばらくは選挙ができない」とのコメントもとりあげられている。さらに自民党三役経験者からは「ますます解散はなくなった。当面は死んだふりでいくしかない」という発言まででている。
これらの発言は政権政党として完全にモラルハザードにあるといえるのではないか。そもそも現在の自民党政権の議席は例の小泉郵政解散によるものだ。あれは"参院で否決された"郵政民営化法案を国民に問うためにわざわざ衆院を解散して国民に問うという異例のかたちでの総選挙だった。そのうえで郵政民営化というワンアイテム・イシューだけによる小泉劇場選挙で勝ち取った圧倒的多数議席である。それにより様々な法案を通してきた自民党政権の末期の姿が今あるわけなのだ。
負けることがはっきりしているから選挙ができないというのは政治戦術としてはわかる気がする。しかし内閣支持率20%、自民党支持率24%と民意が離れてしまった現状なのである。かっての自民党だったら即刻内閣総辞職して別の首班をたてるだろうに、今はそのタマもいないということなのだろうか。
おそらく福田政権は7月のサミットで政権浮遊にかけることになるのだろう。これで支持率低下傾向に歯止めがかからなければ総辞職ということになる。次は比較的国民的人気のある麻生あたりをもってきて解散総選挙。現在の議席は確実に減るだろうけれど、その下げ幅をいかに抑えるかみたいなことなんだろう。まあ政治ウォッチャーとしてはそのへんが定説みたいなことになっているのだとは思う。