「ザ・シューター/極大射程」

ザ・シューター/極大射程 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

解説: “このミステリーがすごい!”の2000年海外部門で第1位に輝いたスティーヴン・ハンターのベストセラー小説を映画化。大統領暗殺計画を阻止すべく、元海兵隊の敏腕スナイパーが活躍する。監督は『キング・アーサー』のアントワーン・フークワ。主人公のスナイパーを『ディパーテッド』でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたマーク・ウォールバーグが演じる。骨太なヒーローを演じるマークの体当たり演技に注目。
ストーリー:元海兵隊のスナイパー、ボブ・リー・スワガー(マーク・ウォールバーグ)は一線を退き、広大な自然が広がる山奥で隠遁生活を送っていた。しかし、退役したアイザック・ジョンソン大佐(ダニー・グローバー)が彼のもとを訪問し、大統領暗殺計画が発覚したため、ボブの力を借りたいと言う。ところが、それは巧妙に仕組まれた罠だった。 (シネマトゥデイ
原題 SHOOTER
製作年度 2007年
製作国・地域 アメリ
上映時間 125分
監督 アントワーン・フークア
製作総指揮 エリク・ハウサム 、マーク・ジョンソン
原作 スティーヴン・ハンター
脚本 ジョナサン・レムキン
音楽 マーク・マンシーナ
出演 マーク・ウォールバーグマイケル・ペーニャダニー・グローヴァーケイト・マーライライアス・コティーズローナ・ミトラネッド・ビーティラデ・シェルベッジアジャスティン・ルイス 、テイト・ドノヴァン 、レイン・ギャリソン 、ブライアン・マーキンソン 、アラン・C・ピーターソン 、トム・バトラー 、レベッカ・トゥーラン 、レヴォン・ヘルム

いわずと知れたスティーヴン・ハンターの傑作小説の映画化だ。超人的スナイパーボブ・リー・スワガーサーガの第一作でもある。そういう予備知識がなしとしても、そこそこに楽しめるB級アクション映画だとは思う。そこそこにテンポもよくストーリーに大きな破綻もない。でも、やっぱり物足らないというか、なんというか。原作の面白さを知っている者としては、あまりになんでという感じの映画だ。
まず主役のマーク・ウォールバーグ。けっして悪いとはいわんけど、やっぱりボブ・リー・スワガーのイメージからかけ離れている。ガタイはいいけど背が小さ過ぎる。スワガーはもっと朴訥とした南部のタフガイというイメージだ。そのへんウォールバーグは田舎者に見えないのだよ。
『極大射程』の新潮文庫の帯には、「主演キアヌ・リーブスにて映画化決定」というコピーがあったのだが、あの企画はいつの間にかつぶれてしまい、回りまわってウォールバーグということになったのだろう。キアヌ・リーブスのスワガーはもっと興ざめしそうな感じだ。
それじゃ誰がいいかというと、すっとイメージがわきません。「夕日のガンマン」の頃のイーストウッドでもないし、しいていえば「駅馬車」の頃の若かりしジョン・ウェインあたりかな。あと、少し枯れてきた頃のリー・マーヴィンとか。ちょっと飛躍しすぎだけど。
この映画「シューター」の一番の問題というか、失敗は役者のミス・キャストもさることながら、まずは時代背景を現代にもってきてしまったことなんだろうと思う。アーカンソー州のウォシタ山脈でトレーラー暮らしをしているスワガーがインターネットを駆使して情報を得ている冒頭のシーンにまずがっかりだ。映画のところどころでインターネットやハイテク機器が出てくるけれど、本来的にスナイパーというのは、デジタル的な世界ではなく、もっと人間臭いアナログ的世界観に根ざしたものだと思う。
原作はベトナム戦争から湾岸戦争あたりを時代背景にしている。湾岸戦争でデジタルなハイテク機器が主流になりつつあるなかで、ベトナム戦争の英雄であった伝説的スナイパー、ボブ・リー・スワガーはある意味、過去の人、時代に取り残された人々の一人として描かれているのだ。そのアナログ的スナイパーがタフさと明晰な頭脳によって、ハイテク化しつつある世界に対して対決するという構図にけっこうしびれるものがあるのだ。
ベトナム戦争というアメリカにとって苦々しい敗北の記憶・体験、それとボブ・リー・スワガーサーガは切り離すことができない。それをエチオピア内戦に従軍した海兵隊員にしてしまうことは、原作のもつこの作品のカラーを抹殺することに等しいと思う。
まあ詮無いことだから、もういいや。ミス・キャストついでにいえば。スワガーに協力するヘマばかりしているFBIの支局員ニック・メンフィスをヒスパニック系のマイケル・ペーニャにしちゃったのも最悪だ。いくら「ワールド・トレード・センター」で好演したとはいえ、体力系のペーニャにメンフィスはあんまりだと思う。ニックはアングロサクソン系だし、人の良さとかが雰囲気からもかもし出されるようなタイプの役者さんにすべきだったんじゃないかと思う。イメージ的にはフレデリック・フォレストとか。本を読んでいる時は、正直に言うと「警部マクロード」のデニス・ウィーバーをイメージしていたんだけどね。
まあいずれにしても映画としては失敗作の部類かな。でもB級アクションだもの、まあこんなものなのかもしれないな。でも、ウォールバーグでこういう映画にしちゃった以上、もう次回作はありえないような気がするな。例えばこれでどうやって『ブラックライト』や『狩のとき』なんかにもっていけばいいのだよ。なんかオリジナルシナリオで「シューター極大射程2」とか作るのはぜひやめてもらいたいものだと思う。