「AK‐47 最強の銃 誕生の秘密」を観る

 別に軍事オタクでも武器マニアでもないけど、いちおうAK-47カラシニコフソ連制式のアサルトライフルであることくらいは知っている。さらにいえばなんとなくではあるが、このライフルが名機であるということも知っている。とはいえそれ以上のことはまったく知らない。AK-47カラシニコフの「カラシニコフ」がなんなのかも実は知らなかった。ただしこのライフルが長いこと使われていることもなんとなく知ってはいた。なぜなら小説や戦争映画なんかでこのライフル名が出てくることが多い。それが例えば自分が学生時代の頃にも出てくるし、中年以降になっても相変わらず出てくる。

 ということでたまたまAmazonプライムの字幕映画のタイトルをつらつら眺めていてこの映画を見つけた観てみた。

 カラシニコフってAK-47を開発した銃器設計者だったのね。

AK-47 (2020 film) - Wikipedia

AK-47 - Wikipedia

ミハイル・カラシニコフ - Wikipedia

 カラシニコフは子どもの頃から機械いじりや発明が大好きな少年だった。赤軍に入隊して出征、戦車に搭乗するも負傷する。そこで赤軍将兵が使っている小銃が故障が多かったため自ら自動小銃の開発に乗り出す。ただし専門教育を得ていないため、なかなか周囲から認められないが、それでもじょじょにその能力を評価され、武器開発に携わるようになる。

 第二次世界大戦が終わってもカラシニコフの小銃開発は続き、1949年に正式採用される。単発と連射が可能、単純な構造で水没や砂まみれになっても故障しないなどの耐久性を兼ね備えており、ソ連だけでなく東欧や中国でライセンス生産された他、その高い能力と耐久性からアラブ、アフリカ、南米などの紛争地でも使用され、開発から60年以上経過してもまだ現役で使われている。

 純朴で愛国心と発明の機知にとんだカラシニコフのライフル開発物語をうまいことまとめたのが本作である。さまざまに省略はあるにせよ、カラシニコフの人柄もたんたんと描いている。また制式な教育を受けていないため設計図を書くことができないためカラシニコフのために設計図をひく、のちに妻となる女性技術者なども事実に即して描いている。

 第二次世界大戦とその後の冷戦時代、ソ連は国内的にはスターリニズムの粛清の嵐が吹き荒れていたはずだが、そのへんうまいこと省略されている。ただし軍人としてはAK-47開発までは軍曹という下士官で技術者という立場だったので、そのへんはうまいことすり抜けることができたのかもしれない。

 映画的には110分と短くテンポ良く進むので、ある種あっという間に観終える。ダレ場もないしなかなか面白い映画だったと思うし、AK-47がいかに開発されたのか、そして開発者のカラシニコフの生い立ちからなんやらもけっこうすんなり理解できる。この映画はなんていうか、武器マニアでも戦争映画ファンとかでなくても結構面白く観ることができるのではないかと思う。

 主役のユーリー・ボルソフも好演している。なんていうか若いときのジャン=ルイ・トランティニャンみたいな雰囲気がある。ある種ひょうひょうとした感じとでもいったらいいだろうか。

 ロシアの戦争映画だと、最近は観たのは300人以上を射殺したという女性スナイパーリュドミラ・パヴリチェンコの自伝映画「ロシアン・スナイパー」を観たことがあるけど、あれもけっこう面白く観ることができた。その他にも「1941 モスクワ攻防戦80年目の真実」とかいろいろあるようなので、少しずつそのへんも観てみようかと思っている。