宇都宮美術館「20世紀アートセレクション」 (8月8日)

 もう10日も前のことだけど思い出しつつ感想をまとめる。

 宇都宮美術館で開催されていた「大川美術館コレクションによる20世紀アートセレクション」展を観た(この企画展は本日開催が終了)。

宇都宮美術館|企画展 (閲覧:8月18日)

 

 大川美術館は2018年に一度だけ訪れたことがある。群馬県桐生市の水道山公園の中にある。山の斜面にへばりつくようにして建っているような印象の割とこぶりの美術館だ。ダイエーの創業者中内㓛の懐刀的存在で中内を陰ながら支え、マルエツダイエーオーエムシーの社長を歴任した大川栄二が設立した私設美術館である。

 大川は美術コレクターとして松本竣介や野田英夫の作品を中心に、日本の現代美術を収集していたとは聞いていた。実際、訪れたときにも松本竣介の企画展が開かれていたし、松本のアトリエが再現されてもいた。でも大川のコレクションは日本の作家にとどまらず、海外の作品、特にピカソやミロ、モディリアニ、さらにベン・シャーンなどにも広がったいた。今回の企画展は特にその海外作品を中心としたものとなっている。

 今回の企画展、実はあまり期待していなかった。大川美術館の規模だと質はともかくとして、量的にはあまり期待できないかなとなんとなく思っていた。でもエッチングリトグラフなどの小品中心とはいえ、かなり豊富な展示作品がありけっこう楽しめる内容になっていた。特にアメリカン・シーンはベン・シャーンリトグラフを中心にかなり濃い内容になっていた。

 まず宇都宮美術館の展示室はまず中央ホールに入って企画展用の展示室2、展示室3がある。それとは逆側に常設展示室1がある。その中央ホールの壁面はガラス張りで外の景色と融和しているのだが、今回その中央ホールには現代アートの代表的な人物のポートレートが拡大展示してある。

左からモディリアニ、ピカソアンドレ・サルモン(詩人) 1916年

 

マックル・エルンスト 1961年

 

 《連邦緊急救済局の前で仕事を待つ求職者たち》 撮影:ベン・シャーン 1935年

 

《テート・ギャラリーにてマリリン・モンローの二つの肖像の前に立つ
アンディ・ウォーホル》 1971年

 そして気になった作品群。

《エビと水差し》 パブロ・ピカソ 1948年 油彩・カンヴァス 50.0×65.0cm

 虫のような、虫のような、これがエビか。キュビスム新古典主義シュールレアリスムを経て、この頃のピカソは陶芸を始めた時期でもある。簡素化され児戯のような具象。ピカソだという以外になにを語ればいいのだろうと思ったりもする。

 

《女性の半身像》 マリー・ローランサン 1930年代 油彩・カンヴァス 45.5×38.0cm

 

《サン・モリッツで冬を過ごしたいと願う愛すべき宇宙飛行士》 マックス・エルンスト 1968年 油彩・コラージュ・金属 50.5×43.0cm

 

《牛》 国吉康雄 1922年 クレヨン・紙 20.3×29.2cm

 

ゴエスカス》 ベン・シャーン 1956年 グワッシュ・紙 98.5×64.8cm

 

《なぜ?(ラッキー・ドラゴン・シリーズ) ベン・シャーン 1961年 
グワッシュ・紙 49.5×64.8cm

 

《多くの人々を》 ベン・シャーン 1968年 リトグラフ・紙 
リルケ『マルテの手記』より:一行の詩のためにはー

 

《愛にみちた多くの夜の回想》 ベン・シャーン 1968年 リトグラフ・紙 
リルケ『マルテの手記』より:一行の詩のためにはー

 

《少年の日の想い出を》 ベン・シャーン 1968年 リトグラフ・紙 
リルケ『マルテの手記』より:一行の詩のためにはー

 

《無題1》 サム・フランシス 1958年 水彩・紙 35.5×51.2cm

 

《YORK FACTORYⅡ》 フランク・ステラ 1974年 シルクスクリーン・紙 34.0×102.0cm