勢いずいてガトー・バルビエリのCDを買い続けている。そのうち80年代、90年代に主にコロンビアで吹き込んだCD3枚をまとめた廉価版セットがあったので、すぐにポチったのがこれ。
お得な三枚組である。その中で一番最初に聴いているのがこの「Qué Pasa」。ガトー・バルビエリが14年ぶりに録音した1997年の作品だという。
幾つかのサイトで調べたことでいうと、プロデューサーに当時流行したスムース・ジャズを主導したフランス人プロデューサー、フィリップ・セスが起用されている。全体として当時流行っていたイージー・リスニング系のムードっぽい曲調のサウンドだ。
とはいえアレンジがソフトなものになっていてもガトーはガトーだ。豪放にブローし、時に情緒あふれるエモーショナルなテナー・チューンは健在である。1997年というと1932年生まれのガトーはすでに65歳。ミュージシャンとしてはもう老境に入る時期だ。かっての荒々しさはないかもしれないが、一音だけでガトーとわかる。
曲はセスとガトーが半々らしい。全体として打ち込み系のリズムでメローなイージー・リスニング調だが、ガトーの曲には彼らしいラテン・フレーバーが溢れている。ほとんどの曲が心地よく響いてくるが、その中でも10曲目の「グラナダ」が出色の出来。ガトー・バルビエリ健在を思わせる。なんというか、聴いているうちに込み上げてくるものさえあるような、まさにガトー・バルビエリ的作品だ。