トッド・ラングレン「With a Twist」

ウィズ・ア・トゥイスト

ウィズ・ア・トゥイスト

 トッド・ラングレンの1997年に出したアルバム。ボサノバを基調にAOR全開、1曲目に自らの大ヒットナンバー「I Saw The Light 」のボサノバアレンジ版を持ってくる。正直、トッド、AOR舐め過ぎだろうと、あらぬ疑惑ももたげてくる。
 とはいえ天才、音楽職人のトッドである、その完成度は高い。多分、当時流行っていたアンプラグド・サウンドAORサウンドを逆手にとり、俺がやればこんなにうまく出来るんだぜ的雰囲気を満載。とはいえ音作りはさすがで、まったく嫌味もない。
 全体の雰囲気としてはいっときのボビー・コールドウェル、そう「ジャマイカ」あたりを想起させたりもする。トッドはずっとハワイに住んでいるというが、この頃からトロピカルなものを志向していたのかなと思ったりもする。リラックス、スローライフみたいなイメージか。
 まあ何はともあれトッドである。イージー・リスニングとしては一級。適当に流していくにはなかなか渋いというアルバムだ。
 それにしてもこのアルバムも1997年、子どもが生まれた年。もう20年も前なのである。当時、トッドがこんなアルバムを出しているなどとは知ることもなく、ただただ仕事にあくせくしていたのだ。当時、これを聴いてもそのリラックスしたサウンドを享受できたかどうかは微妙である。
 今、遠に還暦を過ぎて、20年前のトッド・ラングレンのアルバムを楽しんでいる。