日販持株会社へ移行

これもTwitterで流れてきた情報。

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 一般的に持株会社化は、分社化を推進して不採算部門ではリストラをやりやすくするといわれている。数年前にトーハンが物流部門を別会社化して、社員をほぼ強制的に移籍させたことがあったが、もっとドラスティックに物流部門での省力化を進めるのだろうか。

 一方で採算部門、収益事業については、売りやすくすることにもつながるという。持株会社は不動産管理に特化させる、儲からない出版物流は徹底的なコストダウンを図る。例のトーハンとの協業化もやりやすくなるのかもしれない。

 業界はある意味また再編が進むのかもしれない。しかし売り上げ的には業界一位にあるとはいえ、財務的にはトーハンに比べてかなり脆弱な体力となっている日販である。人によっては持株化による企業内再編どころか、解体化もあるのではないかといった声も囁かれているとも。

 本は死なない、本の物流もまた死なない、形を変えていくだけだ。ずっと自分が生きてきた出版物流の世界である。なんとか生き残って欲しいと思うのだが、今の出版業界の動きをみているとなんとも重苦しさを感じざるを得ない。

 マスとしての出版というビジネスモデルはかってのようには存立できないかもしれない。しかし本を愛る人々、コアな読者は少数とはいえ絶対に存在する。そうしたユーザーにきちんと商品としての出版物が届いていければ、この業界は絶対に死に絶えることはない。本はニッチか、多分そうなるだろう。本の定価は上がるか、多分そうなるだろう。本の流通なアマゾンの一人勝ちになるか。それは多分違うと思う。

 読者は本を手にとって、吟味したり、あるいは衝動的にそれを購入するかもしれない。今、死に絶えようとしているのは、広告に支えられた雑誌やマス販売を前提としたコミック、それに依拠して生きてきた書籍のビジネスである。出版社の優位性を元にした再販制と高正味、それらはもう通用しないかもしれない。

 早ければあと半年、よくてあと一年、自分のキャリアはそんなものだろうが、ほぼ40年過ごしてきたこの業界のことをもうしばらくは見続けていく。