メリー・ポピンズ リターンズを観た

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 ようやっと「メリー・ポピンズ リターンズ」を観てきた。

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 前作「メリー・ポピンズ」(1964年)から54年ぶりの続編。かくも長き歳月を経て続編が作られるのもディズニーらしい。もっとも前作がディズニー映画として不朽の名作的を地位を確立し、この映画がデビュー作にしてアカデミー賞主演女優賞に輝いたジュリー・アンドリュースの代表作だけに、その続編というのは誰しもが考えつつも躊躇するところだ。

 それほどにこの映画のジュリー・アンドリュースは嵌まり役といえる。思えば彼女にはブロードウェイ・ミュージカルでい「マイ・フェア・レディ」のイライザという代表作があり、スクリーンではさらに「サウンド・オブ・ミュージック」のマリアというあたり役がある。

 ジュリー・アンドリュースは「サウンド・オブ・ミュージック」以来、ずっとあのショート・カットがイメージ化されてしまった。大ヒットした当たり役で成功するとそのイメージから抜け出せないままキャリアを終えてしまう役者は多くいる。彼女もその一人だが、しいていえば彼女の場合は、メリー・ポピンズ、マリアという二つの代表作があり、さらには舞台での「マイ・フェア・レディ」という顔がある訳だ。

 「メリー・ポピンズ」といえばジュリー・アンドリュースというイメージ、それは50年経っても揺るぎないものがある。今ではDVDとしてそのイメージは薄れることなく増幅化されている。そんな中での続編である。どんな女優が演じるにしろ、当然のごとくジュリー・アンドリュースと比較されてしまう。

 そして今回の「リターンズ」である。メリー・ポピンズを演じたのはイギリスの女優エミリー・ブラント

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 36歳という年齢ながら気品のある美しさがある。メリーポピンズがバンクス家を去ってから25年後という設定であることからすれば、かえって若々しささえ覚えるくらいかもしれない。ちなみに前作のジュリー・アンドリューは29歳でのハリウッド・デビュー作だった。

 映画が妻を失い、三人の子どもと暮らしているバンクス家のマイケル一家の苦境を救うためにメリー・ポピンズが降臨するというストーリー。前作で狂言回し役を務めたバートと同じ役柄を点灯夫ジャックとしてリン=マニュエル・ミランダが努める。

 そのバート役だったディック・ヴァン・ダイクカメオ出演しているのも嬉しい。前作でバートと銀行の頭取の一人二役を演じた彼は、頭取役の老人を見事に演じていたが、その時の老人そのままで現れ、踊る姿には懐かしさと嬉しさを感じた。

 そう、この映画は徹底した全作へのオマージュを紡いで作られているのだ。前作を愛したファンはそこに特別な思いを感じてしまう。なので、作品としての評価などはどうでもよくなってしまう。ただただメリー・ポピンズの世界を再び訪れることができた幸福に浸るだけなのである。

 そういう意味では、メリー・ポピンズが凧とともに空から降りてくるシーン、彼女が現れたファースト・シーンで正直破顔した。あとはもうミュージカル・クリップのたびに涙、涙なのである。

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 この映画は特別な映画だ。ジュリー・アンドリュース版とともにウォルト・ディズニーの良質な夢の世界に包まれる、そういう体験は実はあのテーマパークに行っても味わえるものではないのだが。

 出来れば劇場で前作との二本立てで観てみたいと思う。そうすることでより一層楽しい時間を過ごせそうだ。DVDが出れば多分当然購入することになる。前作も持っているので試してみたいが、出来れば劇場での二本立てを望みたい。

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