- アーティスト:La Havas, Lianne
- 発売日: 2013/05/31
- メディア: CD
そして夜、じっくり聴いてみる。24歳という若さに似合わずスタティックな雰囲気。ネットでググった彼女のレビューでは、フォーキーという言葉が散見するが、フォーク調というよりも民族的という意味合いようだ。前回も少し触れたが彼女はジャマイカ人の母、ギリシア人の父の間に生まれ、イギリスで育った。そういうインターナシャルな出自が彼女の音楽のバックボーンにあるということなのだろう。とはいえレゲエやカリプソ的風味はほとんど皆無といえるかもしれない。
全体の雰囲気はこれも前回触れたようにどことなくデビューした頃のジャニス・イアンとかを想起させつつ少しブルージーにふった印象だ。ところどころの節回しには父親の出自につらなるギリシア風あるいはオリエンタルな風味もある。
それにしても彼女のヴォーカリストとしての才能は素晴らしい。CDを通して聴くにつけどんどんと引き込まれていく。演奏は彼女の弾くギターをメインにして、それに寄り添うようにしてギター、ベース、ドラム、バックコーラスなどにごく少数にとどめられている。そのへんの構成はYoutubeで見たのとほぼ同じだ。そういう意味ではスタジオレコーディングでありながら、ほぼライブみたいな雰囲気をかもし出してもいる。リアンはたぶんライブと同様に歌いながらギターを爪弾いている。アコギであれエレキギターであれ、彼女の奏法はほぼ弾き語り的な指引きのようだ。
1〜2回通して聴いただけではあるが、好みの曲はというとまず2曲目の表題作の「IS YOUR LOVE BIG ENOUGH?」がいい。サビの部分がまさに民族音楽的な特異な抑揚をもっていて聴くもの気持ちを高揚させる。ビルボードライブ東京ではこの曲をアンコールに持ってきたとも聞く。
そして一番気に入ったのが4曲目の「AU CINEMA」。このアルバムの中では一番ポップにふったような曲。ちょっとレゲエっぽくシャッフルするような感じで軽やかだ。この曲での彼女の歌い方はポップなソウルシンガー、そうなんとなくスティーヴィー・ワンダーを連想するような感じだ。ライブのレビューを読むと、この曲の途中でワンダーのマスター・ブラスターを取り入れちゃう遊び心をみせてくれるのだとか。納得である。
そして5曲目の「NO ROOM FOR DOUBT」、これはウィリー・メイソンとのデビュー曲なのだが、静かな静かな曲調の歌だ。ちなみにウィリー・メイソンはほとんど知識がないのだが、ググるとなんとあの大著『心理学』で知られる哲学者ウィリアム・ジェイムズの直系子孫なのだとか。
ウィリー・メイソン Willy Mason / ラジカル・ビスケット
さらに6曲目の「FORGET」。これもアップテンポでどことなくミステリアスな雰囲気を醸しだすナンバーだ。たぶんこの曲のサビの部分が一番、フォーキー、<民族音楽>っぽい部分を持っているかもしれない。
聞き込めばさらに書きたいことがでてくるかもしれないが今日はここまで。しばし愛聴盤としてはまりそうである。