ロニー・スペクター死去

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ザ・ロネッツのリード・シンガー、ロニー・スペクターが78歳で死去 | NEWS | MUSIC LIFE CLUB

「Be My Baby」で知られるロネッツのリード歌手、ロニー・スペクターが78歳で死去(Rolling Stone Japan) - Yahoo!ニュース

 ツィッターのタイムラインに流れてきて知った。7

 ほぼ1年前、彼女の夫だった有名な音楽プロデューサー、フィル・スペクターがコロナで獄中死した。フィル・スペクターのいわゆるウォール・オブ・サウンズを体現したのがロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」だったこととかを書いた。

フィル・スペクターとBe My Baby - トムジィの日常雑記

 二人の結婚は5年かそこらで破綻したのだが、後にロニーの自伝によれば結婚生活はかなりハードなもので、ロニーはフィルのDVに苦しめられたという。フィルの死に対して寄せたロニーのツィートにはこう記されていた。

He was a brilliant producer, but a lousy husband.

 それから1年、今度はロニーの訃報に触れることになる。とても淋しい気分だ。

 ロニー・スペクター(ヴェロニカ・ベネット)はロネッツのリード・ヴォーカルとして、ポップスのクラシックともいうべき「Be My Baby」「Walking in the Rain」で知られている。

ザ・ロネッツ - Wikipedia

 ロネッツはヴェロニカと姉のエステル、そして従妹のネドラ・タリーによるガールズ・グループだ。ヴェロニカとエステルのベネット姉妹は母親がアフリカ系とチェロキー系のハーフで父親は白人、従妹のネドラ・タリーは母親がアフリカ系とチェロキー系のハーフで父親がプエルトリコ系。ニューヨーク出身の彼女たちはある意味、他民族国家の申し子とでもいっていいのかもしれない。しかし50~60年代のアメリカにあって、母親がアフリカ系とネイティブ・アメリカンのハーフという出自はけっこうハードだったかもしれないなと思ったりモスル。デビュー前に彼女たちがアポロシアターに出演しているというのも、有色人種という出自で歌手を目指すという意味では当然だったのかもしれない。

 パンチの効いたヴェロニカの歌唱力と三人の容姿、ロネッツは多分今日的な意味でいえばアイドルだったのだと思う。キュートなベネット姉妹と美人のネドラ・タリー。特にヴェロニカはオキャンで相狂おしいタイプ、ネドラ・タリーはとびきりの美人である。白人からも黒人からも受け入れられる。さらに三人のファンキーな雰囲気は意外と若い女の子にも人気があったと思う。実際、当時の映像を見ると客席は若い女の子ばかりの印象もある。


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 しかし本当にヴェロニカ=ロニー・スペクターは可愛らしい。

 

 ロネッツ解散後はロニー・スペクターはソロで活動や新たなメンバーをバックにロネッツとしても活動した時期もある。しかしヒット曲に恵まれず、どちらかというと懐メロ的な歌手として過ごしていたようだ。それでも2007年にはロネッツとしてロックの殿堂入りを果たし、レジェンド的な存在でもあった。ロックの殿堂入りに際してプレゼンテーターを買って出たのは、ロネッツのファンであることを公言していたストーンズのキース・リチャードだった。

 ポピュラー・ミュージックのレジェンドとしてのロニーの活躍は多数の動画が残っているので、彼女がレスペクトされる存在だったことは確認できる。


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 この1988年のテレビショーでのパフォーマンスでは、ゴーゴーズのボーカル、ベリンダ・カーライルとジェファーソン・エアプレインのグレイス・スリックを従えての熱唱である。サックスで参加しているのはクレランス・クレモンズである。なんというかクレランス・クレモンズが小僧のようでさえある。

 

 ビーチ・ボーイズの「I can hear music」はもともとフィル・スペクターが作りロネッツが歌ったものをカバーしたものだ。それを知ったうえでこの2000年代の動画を見るとなんとも味わい深いものがある。


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 ロニー・スペクターは結局のところフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドを体現した曲「Be My Baby」を歌ったロネッツのリード・ボーカルという括りで語られていくのかもしれない。それほどこの曲は多くの者に愛され、歌われてきた。そしてこれからもきっと歌い継がれていくのだろうと思う。ロニー・スペクター=ヴェロニカ・ベネット、ロネッツのリード・ボーカルにして60年代の愛狂おしいアメリカン・ポップスのアイドル。

 ご冥福を祈ります。

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