横浜の区役所へ

 妻の老齢年金請求書の手続きのため横浜の区役所に行って来た。

 62歳の誕生日の後に、年金事務所に請求手続きに行く。そのための必要書類として住民票と戸籍謄本などがいるらしい。もっとも請求しても今すぐ加算されることはなく、たしか65歳になってからとも聞く。とはいえ早くに手続きした方がいいと思った。来週、年金事務所に行くのでその準備。

 午前中、地元の市役所に行き住民票を取る。そして午後一番で横浜へ。神奈川区の区役所に行くのはだいたいにおいて戸籍謄本類を取りに行くときだけ。前回行ったのは、兄が死んだ後の手続きだったか。

 横浜から埼玉に引っ越ししたのは30年近く前。本籍地の場所は父が生まれた場所だが、そこにはもう自分のところの家とかそういうものは残っていない。以前、探してみたのだが、かなり分筆されているようで、宅地が数件建っていた。もっともそこが本当に父が生まれたところなのかも実は疑わしい。子どもの頃、ここで生まれたみたいに父が案内してくれたのは、同じ神奈川区でも高台にあるところだったが、本籍地の場所は東白楽の近くだったから。

 自分が生まれたところは、元町と中華街の間くらいの場所で、その頃父は本牧の米軍基地住宅相手のクリーニング屋をしていた。もちろんその場所にも家とかはない。随分と前に行った時は駐車場になっていたが、今は確かビルが建っていたようだ。

 そういう意味ではもう横浜にはまったく接点がない。埼玉に越してからマンション、一軒家の2回買い替えて住んでいる。一応持ち家に住んでいるのだから、埼玉に本籍を移すべきなんだろうが、なんとなくいつかは横浜に帰りたいみたいな気分のまま年月が経った。

 東京に住む横浜出身の友人とそんな話をした。彼もまた本籍を横浜に残していて、奥さんに「横浜まで書類取りに行くのが面倒だと」ずっと言われ続けているという。そして彼の友人にもそういう本籍を横浜に残したままというのが何人かいるのだとか。

 ぶっちゃけていえば今の横浜に何の拘りもない。観光地化した山下公園や元町、中華街などにも思いれはない。10代から30代まで多くの時間を過ごした野毛の町も、随分とキレイになってしまって、たまに行ってもなんとなく居心地が悪い。

 昔は飛鳥田革新市政があり、なんとなく反権力みたいな雰囲気がないでもなかったが、今の横浜は新自由主義の巣窟みたいな街になっているとも聞く。神奈川から昔的にいえば保守反動みたいな政治家が多数輩出されているし。

 まあ政治の話などどうでもいいが、横浜はかってのヨコハマ、ハマではない。そういうイメージは記憶の中でだけある。懐かしい伊勢佐木町や、馬車道の映画館、長者町や黄金町の二番館、三番館の映画館などなど。紅葉坂の図書館や青少年センターで勉強して、すぐ飽きては野毛のジャズ喫茶入り浸る。そんな子ども頃の記憶の中だけのヨコハマである。

 今回も区役所での要件はすぐに済んだ。区役所の近くの居酒屋がまだランチをやっていたので遅いランチを食べた。妻は生姜焼き定食、自分は竜田揚げ定食で、どうも魚が売りの居酒屋だったので、小鉢的な刺身を追加した。なかなか美味しかった。

 さてと、いつ本籍を移すか。ここ1~2年のうちに決めなくちゃいけないなと思った。そうなるとこの区役所に来るのも後数回のことなのかもしれない。