さよなら大塚国際美術館

 健保が契約していたホテルを利用して19回淡路島旅行をしてきた。そしてこれまでに15回大塚国際美術館に訪れている。理由は定かではないけれど、健保とホテルの契約は9月いっぱいで切れたのでもう格安で利用することが叶わなくなった。そうなると淡路まで足の延ばすのは難しい。

 さらにいえば御年66となると、毎回1500キロ強のロングドライブは相当にしんどいものになる。もとより関東から車で行くところではないのだろう。それでは普通に宿をとって電車や飛行機を使ってということも考えないではないが、荷物と車椅子の妻と一緒での交通機関での移動はかなりハードルが高い。

 そういうことで一応、今回の旅行が淡路旅行、そして大塚国際美術館に訪れる最後になるだろということになる。年齢的にもそういう潮時だったのではないかということだ。ということで個人的記録ということで訪館記録を更新しておくことにする。まあよく通ったものだと思う。

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 最後に陶板名画の出来るまでを大塚国際と大塚オーミのそれぞれのHPのリンクを貼っておく。

陶板名画美術館|大塚国際美術館の特徴|大塚国際美術館 - 四国 ・ 徳島県の美術館 観光施設 - (2022年10月5日閲覧)

陶板名画ができるまで|大塚オーミ陶業株式会社 (2022年10月5日閲覧)

 かなり細かく細微な行程が続く。それでは一枚の陶板名画の費用はどのくらいかかるのだろう。大塚国際美術館には大塚オーミのブースが設けられており、陶板複製画の制作工程や名画以外の様々なオブジェや企業での受注例などが写真等で展示されている。また大塚国際美術館は西洋絵画専門にやっているが、幾つかのプロジェクトで日本画の複製画も行っている。その作例として《風神雷神図屏風》の左隻が展示されていた。

 そこで常駐している係の人にざっくり費用を聞いてみると、この風神雷神は金も使っている特注なのでアバウトに700~800万円くらいかかっているという。なので二曲一双で約1500万円くらいとなる。通常の複製画だと1枚150万から200万くらい。大型のものだと相当な金額になるようだ。

 となると大塚国際美術館の展示点数は約1000強ある。1枚200万見当で試算すればざっと20億円である。実際には大型の絵画だと数枚から数十枚の陶板を組み合わせているのでもっと金額は跳ね上がるだろう。とはいえポーラ美術館がリヒター1枚を30億円で落札するご時世である。オリジナルを購入することを考えればはるかに安上がりだとは思うが、それでも相当な費用がかかっているということだ。

 油彩絵具は比較的保存に向くとはいえそれでも劣化する。それ以上に日本画は保存が難しく劣化も早い。陶板複製画に向いているのは実は日本画ではないかと密かに考えている。さらにいえば陶板の盤面は屏風絵や掛軸のサイズと近似性もある。鳴門に西洋絵画専門の陶板複製画の美術館があるのだから、どこか別の場所で日本画、東洋画専門の陶板複製美術館ができないものかと思ったりもする。とはいえ1枚で150万~200万というとそう簡単にはいかないだろうとは改めて思ったりもした。

 もう一つ、大塚国際美術館を訪れていてよく思ったのは、自治体が複製画の美術館を作ってはどうかということだった。特に人口減で学校が閉校となることも多くなっている。学校施設の有効活用として、陶板複製画の美術館を作れば子どもたちの情操教育にもなるし、地域でも文化にも貢献するはずだ。

 陶板複製画であれば保存や管理にもオリジナルに比べればはるかにたやすい。そして50年、100年経っても劣化がない。そういう形で陶板複製画の普及が図れないものかなどと適当に夢想していた。しかし1枚150万以上となるとなかなかそれも難しいかもしれない。まあなんにしろそう簡単にはいかないということなのだろう。

 これからも自分は細々と近隣の美術館巡りを続けていくのだろうとは思う。でも年に1~2度訪れていた大塚国際美術館には多分今回が最後になるのだろう。でも人生の第四コーナー回る頃になって、この美術館で多数の複製名画に触れることで、絵画鑑賞という趣味ができたのは僥倖だったのではと思う。

 さよなら大塚国際美術館。そんなことをつぶやきつつも、意外と来年あたり、あるいは2~3年先にまた行って来たみたいなことをここで書ければいいなと思う。どうなるかなあ。