伊東の保養所に一泊して翌日は下田まで足を伸ばした。途中、小室山のリッジウォークなるところに妻が行きたいというので小室山公園まで行ってみた。そこは一人乗りのリフトで山上まで行くと、展望施設や木製の遊歩道があるというのだが、生憎朝方まで雨が降っていて天気も良くない。雨はほとんどあがったが空は灰色の雲に覆われている。リフトも二人乗りではないのと、安全バーとかもない古いタイプのもの。係の人に聞いても、身体が不自由な人だと難しいかもと言われて断念することにした。妻はいつものように、一人でもリフトに乗れると言っていたが、あまり強くは主張しなかった。
その後、一気に下田まで足を伸ばした。これも妻が行きたいと言ってたのだが、なんでもしだれ桃がキレイな所があるらしいというのだ。まあ小室山もそうだし、前日の伊豆パノラマパークもそうだが、妻の「行きたいところ」はたいていテレビで仕入れたネタである。まあその都度、「行きたい」はころころ変わるし、新しいネタを仕入れるのだが、今回の伊豆旅行に際してはパノラマパーク、小室山、しだれ桃ということなので、それを叶えてあげるというのがある意味今回の旅行の主目的。ということで下田行ということにした。
下田に着いたのは昼少し前。ちょっと早目だけど道の駅の食堂で昼食をとる。下田は金目鯛の水揚げが日本一なのだとかで、食堂メニューも金目鯛がメイン。というわけでご当地ものということで金目鯛の煮つけ定食を食すことにする。
金目鯛はやや小ぶりだけど、小鉢に刺身も付いてこれで1600円だったかは、まあお手頃価格かとは思った。味はというとまあ普通に金目鯛で、美味しくいただきました。
蓮台寺しだれ桃
妻のしだれ桃の情報は下田ということだけだったので、軽くネットで調べてみると蓮台寺というところらしい。伊豆急だと下田の一つ前の駅で蓮台寺温泉があるところ。とりあえず蓮台寺とナビに入れておいた。
国道414号を下田から北上して蓮台寺温泉の方にそれる。しばらく行くとしだれ桃が美しく咲き誇っている一角があるのだが、駐車場が見つからない。行ったり来たりを繰り返していると橋のそばにおじさんが座っていて駐車場を案内している様子。どうも橋を渡って坂を上ったところに駐車場があるようなのだが、聞いてみるとこちらが車椅子マークをつけているためか、橋の横のところに車を止めてもよいという。ちなみに坂をのぼったところにある駐車場は無料だとか。
しだれ桃の里というのはというと、民家の前庭にしだれ桃が植えられていて、その中に花を見て回れるようなウッドデッキが遊歩道のようになっている。毎年この時期には「しだれ桃の里まつり」が開かれていて、屋台なども出ているようなのだが、今年はコロナのためまつり自体は中止。はなの鑑賞だけは出来るのだとか。
そして行ってみるとそこはけっこうあでやかなまさに桃源郷というか、百花繚乱というか、なかなか壮観な雰囲気だ。
民家の前庭ということでそれほど広いスペースではないけれど、なかなかに見応えがある。ウィークデイだが、何組かの観光客が来ているが、女性の方から口々に「わ~、キレイ」という声が上がる。自分も妻と二人で小さく「キレイだね」と口々に言い合う。30分くらいの時間だったが、なんだか心が豊になるような気がした。
絵や芸術品の鑑賞もそうだけど、やっぱり美しいものを目にすると心が和むし、満ち足りた気持ちになる。美しいものを受容するというのはけっこう重要なことだと思う。それが人工のものであれ、自然の造形であれ。