Over the Rainbow


夕方、かなり強い雨と雷の音が鳴り響いていた。妻はしきりに買い物に行きたいとせっついてきたが、雨がひどいから今は駄目だと答えてのんびり過ごした。
雨がやや小降りになったかなと思い窓のカーテンを開いてみると、なんとなんと虹が出ているではないか。それもきちんと空にアーチを描いた見事な虹である。早速階下で勉強していた娘を呼んで二人でベランダに出てみた。
虹を見るのなんて本当に久しぶりのことだ。確か5年前くらいに二重の虹が埼玉南部で見ることができたことがあった。たぶんそれ以来のことだと思う。あの時も確か雨上がりだったか、車に乗っている時で家族三人フロントガラス越しに空にかかる虹を見ながら、キャッキャとしたものだった。
今回の虹は一本だけだったけど、夕焼けとあいまってとても美しかった。せっかくだからとカメラ片手に家の外に出て近所をうろつきながら何枚か撮った。あちこち家の中から家人が外に出て虹を眺めていた。なかには私と同様デジカメや携帯で写真撮る人たちもいた。こういう時に穏やかな、平穏な日常というものを実感しないわけでもないなと思う。忙しい生活のなかでも、こんな風に美しい自然現象に遭遇できる、それを素敵なことだと感じられる人達がたくさんいるということ。
なぜだか知らぬが美しい虹を見ていると、誰もがこんな風に虹を眺め、穏やかな気持ちでいられたらいいのにと、そんな思いを抱く。大いなる勘違いかもしれないけど、世界は少しずつ平和な方向に流れて欲しいと虹に願うような気持ちになるような。
なかなか見ることができない虹である。今日、あの綺麗な虹を見ることができた人は、ささやかな僥倖だったんじゃないかなと思う。