高齢者は謙虚であらねば

  先日、ユニクロでのこと。

 妻がマネキンが着用している服が気に入ったみたいで、探して欲しいという。女性ものなので見当もつかないので、近くにいた店員さんに聞いた。

「これって、どこにある」

 なんか、これって上からのタメ口風である。あまりこういうのって良くないなと思い、すぐに言い直した。

「ごめん、ちょっと失礼ですね。どこにありますか」

 すると店員の女性、真顔で「大丈夫ですよ」と対応された。そしてすぐに洋服の場所を教えてくれた。

 まあ、一応客だし、若い女性店員からすれば、明らかに年長だし、多少くだけた上から目線的なため口も特に問題ではないかなとは思う。でもやっぱり気をつけないといけないのだろうとは思う。

 よくカスハラとか、傍若無人で迷惑な老人のことが俎上にのる。そのときに必ずでてくるのが、仕事でふんぞり返っていた時の癖が治らないのだとか、偉そうな上司面をいつまでしているのか、などなど。

 おっしゃるとおりですね。キャリア晩年はちょっと偉そうだったかもしれないな。直属の部下とかにはけっこうつらく当たったりすることもあったかもしれない。ごめんなさい。でも、若い人とか、パートさんには出来るだけ、さんづけして、敬語で接するようにとかはしていたつもりだったんだが。

 たぶんに余裕がない日々送っていたからだろうけど、わりとピリピリしていたみたいで、けっこう怖い人だったみたいだ。これもごめんなさい。

 とはいえ職場ではまあ業務執行やらざるを得ない立場だったし、多少上から目線はあったかもしれないが、あくまでそれは職場での立場、ロールプレイングみたいなものなわけで、職場以外ではただの市井の人でしかない。なので上から目線的な物言いは多分ダメなんだと思ったりもする。

 もうひとつだけ言えば、上から目線発言や、偉そうな発言でストレス解消する人もいるかもしれないが、自分はちょっとそういうのダメだったりする。あとで反省じゃないけど、なんとなく「ああいう物言いは本意じゃないのに」みたいな感じで引きずることもある。ようは小心者なんで内省が入る。でもって、それがまたストレスになったりもする。

 今は市井の、隅っこに暮らしている、半分引きこもりみたいな高齢者だけど、逆に人との関係性、軋轢みたいなところでストレス感じることも少ないし、それでいいと思っている。さらにいえば謙虚で、低姿勢でいれば、なにごともやり過ごせるようで、これもストレスフリーだったりもする。

 なのでお客さんではあっても謙虚さは忘れないようにと自戒もしている。最近はスーパーのレジに買い物カゴ置いたときにも、小声で「お願いします」とつぶやいている。たぶんそれでいいと思う。

 以前、アメリカに行ったときにスーパーのレジやってた大柄な白人女性みたいに、レジ打ってやるから、有難いと思えみたいなあからさまなのを経験したことがある。あれはさすがに如何かなとは思う。おまけに明らかな打ち違いがあったので、指摘しても、「あたしは間違ってない」と主張する。

 結局、黒人男性のマネージャーがでてきて、商品とレシートみて、明らかに間違っていることが判り、謝罪して返金対応もしてくれた。その間、レジの女性は、あたし悪くないからね的ポーズをまったく崩さなかった。

 しかし片言英語でよくやれたよと今さらに思う。そしてアメリカでは客は謙虚にしていてはダメなのかもと思ったりもする。

 でもまあ日本ではね、高齢者は謙虚にしていた方が多分いいとは思う。いや、これは高齢者だけに限ったことではないのだろうが。