成川美術館再訪  (8月17日)

 彫刻の森美術館の次に訪れたのが元箱根の成川美術館

 ここを訪れるのは6月以来。

 日本画中心の私設美術館。今回、メインで訪れる予定のポーラ美術館でも日本画の企画展をやっているので、なんとなく頭の中を日本画モードにするみたいな感覚もあり。

成川美術館|開催中の企画展|収蔵名作展 日本画の煌めき (閲覧:2023年8月20日

 

黒光茂明

 開催されていた企画展はまず黒光茂明の個展。一階の1室、2室を使って開かれている。ただし黒光茂明という人、初めて名前を見聞きする。金島桂華、福田平八郎に師事した日本画家黒川茂樹の次男というが、そもそも黒川茂樹を知らない。1946年生まれなので77歳になる。京都画壇の重鎮ということらしい。

 

 美しい、見事な絵。ただなんとなくキレイな絵でおわっているような感じもしないでもない。多分日展とかで出品されていたら、かなり目をひく作品なんだろうけど。それよりもこの人は大きなものも美しいが、意外と掛軸ものなど小品がいいかもしれない。キレイなだけでなく、どこか凄みを感じさせる。

 
清水操

 二階の1室で行われていたのが清水操の個展。当然、この人も初めて知る人。女流画家で1955年生まれなので自分より一つ上か。プロフィールをみると平山郁夫に師事しているとある。

清水操|プロフィール|HMV&BOOKS online (閲覧:2023年8月20日

 今回の個展では、沖縄とその海を題材にしたものが多かったみたい。

 

《微風》 清水 操 2003年 160.0✕215.0cm

《かりゆしの海》 清水 操 1987年 165.0✕205.0

 この2点は心に残る。特に誰も乗っていない小舟を俯瞰で捉えた《微風》は、色遣い、構図、たしかに少しまで誰かがいたことを思わせる人の不在、素敵な作品だと思った。

収蔵名品展ー日本画の煌めき

 二階の一室では収蔵名品展。平山郁夫加山又造、堀文子、平松礼二など、成川美術館の豊富なコレクションの中でも顔となるような作品揃いで、これだけを観に来る価値があると思う。

《猫》 加山又造 1976年 87.2✕120.2cm

 

《ある日》 牧 進 1994年 65.5✕90.5cm

 この人の絵は高崎市タワー美術館で何度か観ている。川端龍子内弟子で、龍子の死後青龍社の解散後は兄弟弟子の横山操についていたが、どこの団体にも属さないという。たしか川端康成の知遇を受け、二人の川端から大きな影響を受けたみたいなことが解説文にあったように思う。川端龍子の影響による派手な作品もあれば、こうした落ち着いた写実性と抒情性をうまく溶け合った作品もある。

 

東福寺の秋》 岡 信孝 1993年 80.3✕116.7cm

 初めて知る人だが、岡信孝は川端龍子の孫。1932年生まれなのですでに90を超える。

 

《紅葉讃 モネの池》 平松礼二 2013年

 町立湯河原美術館で知った人。『文藝春秋』の表紙絵を長く務めたとも。現代の琳派みたいな感想を持ったことがあるけど、とにかく見事、豪華賢覧。

 

 とにかくこの美術館の雰囲気はいい。

 

 そしてこの美術館はテラスからの眺めが素晴らしい。この日は生憎曇り空だったけど、それでも見下ろし芦ノ湖の景色は気持ちがいい。



 ちなみこの美術館は二階に上がるには昇降機を使う。彫刻の森美術館でもピカソ館にも設置してあったので、この日二回目の昇降機。

 

 成川美術館はアクセスしやすいし、とにかく雰囲気が抜群にいい。箱根に来たら寄る定番の場所になりそうだ。