町立湯河原美術館 (11月18日)

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湯河原町 | 美術館

 まず最初に行ったのは町立湯河原美術館。ここはもともとは竹内栖鳳が晩年を過ごした旅館天野屋の別館があったところを湯河原町が買い上げて、当初は「湯河原ゆかりの美術館」として開館、2006年に現在の「町立湯河原美術館」に改称した。

 メインは『文藝春秋』の表紙画を長く務めた日本画平松礼二の記念館だが、常設展示には竹内栖鳳作品も多数出品されている。これは旅館天野屋が所蔵していた栖鳳作品を町に寄贈したものらしい。天野屋は晩年を過ごすことになった京都画壇の大御所竹内栖鳳のタニマチというか支援者だったのだろう。わざわざ逗留する栖鳳のためにアトリエ兼居室となる別館を建てたのだという。そのため栖鳳は多数の作品を天野屋のために描いていたいたのだとか。

 この美術館を知ったのは7月にMOA美術館で開かれた「竹内栖鳳展」を観たとき。展示作品に湯河原美術館所蔵品が多いことを知り、この美術館の由来、栖鳳との関係とかも知り俄然興味を覚え、一度は行ってみたいと思った。

 展示作品の多くはMOAで観たものが多く、主要な作品を貸し出したものだったことが改めてわかった。

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『行秋』(竹内栖鳳

 描かれている小鳥はシジュウカラだとか。動物や小鳥を描かせればその匂いや鳴き声まで聞こえてきそうな竹内栖鳳の画力がさりげなくも見事に表出されている。

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『山海珍賞』(竹内栖鳳
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『喜雀』(竹内栖鳳

 

 平松礼二についてはほとんど知らなかったけれど、現在の日本画を代表する人らしい。

平松礼二 - Wikipedia

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『月下梅宴』(平松礼二

 この鳥は雀で、なんでも若冲の描く雀にインスパイアされているのだとか。

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『花富士海図』(平松礼二

 様々な技法にチャレンジし画風を変幻自在な感じなのだが、この手の絵は加山又造を想起させるというか、現代の琳派という感じだ。

 美術館の3階に平松礼二の公開アトリエがあり、画家の使用している岩絵の具や絵皿なども展示してある。日本画は岩絵の具を膠で溶いて使うだけに絵皿が沢山必要だし、そもそも鉱石を細かく砕いて粉にするところから始まったりもする。なかなかに手間のかかる芸術なのだということが改めて実感される。

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 湯河原美術館内にはカフェ(MUSEUM CAFE and garden)が併設されている。ここは豆腐・ゆば専門店「湯河原十二庵」がプロデュースしているところでヘルシーな食事をとることができる。ちょうど昼時だったので豆乳スープのセットなどをいただいた。大変ヘルシーで、こういうのが好きな妻は「美味しい」を連発していた。肉好きの自分には若干物足りない部分もあったが、確かにこういう食事を取っていれば健康的かなと思うところもある。

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 豆乳スープの中に入っている具がちょっと鶏肉ぽい見た目だったのだけど、これは油揚げでした。まあ当たり前か。