不動産屋との専属媒介~中低層団地

 午前中に兄宅の団地で不動産屋と待ち合わせる。

 各居室を見て貰い、「割とキレイに使っている」と言われる。まあ遺品整理の後、ざっとだがこっちで掃除したからだとは思うけど、兄が10年住んだ後ということでいえば、そう言ってもらうのは有難いところ。

 それでもクロスと襖の張り替え、畳替えはどうも必須のようで最低限のリフォームは必要になるとのこと。本当は風呂の交換や畳の部屋をフローリングにしたいとも思うのだが、古い団地の売却ではリフォームしてもその費用分が持ち出しになる場合が多いのだとか。なので基本は現状渡しで、リフォームは購入者が行うというのが普通だということらしい。もしも賃貸にする場合は持ち主側でかなりのリフォームも必要になるとか。

 購入した時の不動産屋で、団地には一番強いところというイメージもあるので、一応専任媒介契約を結ぶ予定でいる。売り出し価格については購入したときの価格とも考えたが、それよりも20万くらい安い価格にすることに決めた。まあ買って10年建つし、基本は老朽化した団地ということもある。しかしコロナ禍で売れるのかどうか一抹の不安もある。

 これまで不動産の購入と売却はマンション、一戸建てとかで3~4回経験している。でも5~10年に1度くらいのことなので正直細部についてはほとんど忘れている。事務的な部分は覚えていないが、とにかく自分にとっては大金が右から左にすっと動いていくということだけが印象的だった。

 この団地5階の物件については、もしも中々売れなかったら、そのまま塩漬けにするかとかもちょっと考えている。自分のもってるガラクタ類、本とかCDやDVDとかを運んで物置代わりに使うかとかそんなことだ。とはいえ5階まで荷物を運ぶこととか、だんだんと自分も老いていくのに5階はちょっとキツイだろうとかいろんなことを考える。

 団地の5階エレベーターなしとかっていったい誰が考えたんだろうなとか思ったりもする。団地が盛んに作られた60年代、70年代の頃、当時はこんな高齢化社会のイメージがなかったのかもしれない。当時は住む人も若かったし、社会も国もこれからみたいな感じで若かったのかもしれない。しかしいずれは建物も住む人も年老いていく。

 もはや老朽化した団地やマンションは社会にとって不良資産化している。しかもエレベーターなしの中低層団地となると。不動産屋によるとこうしたエレベーターなしの団地は上にいくほど不動産価格が下がるのだとか。多分、多分だけど、新築当時は見晴らしとか上層からの騒音とかもないということで、上層階が一番高かったのかもしれない。新築マンションなんかはそういう傾向にあるとは何度も見聞きしたことだ。もっともそれはエレベーターがあることが前提かもしれない。

 全国に老朽化した公団団地がどのくらいあるのかわからないが、多分相当な戸数になるのではないのか。それをすべて立て直すのは多分難しいのだとしたら、延命化のためにそれ相応の予算をつけていくことも必要かもしれない。よく話題になることだが、例えば後付けのエレベーターを設置するだけで、一定程度高齢化世代にも対応ができるはずだ。こういうのは民間だけでは難しいので、やはり国が予算をつけてやっていくしかないと思う。

3-1 エレベーターの設置|高齢者対応|技術情報|共同住宅の再生のための技術情報提供サイト

 老朽化したとはいえ大規模な公団住宅はそれなりの社会的資源だと思う。そこに予算を投入して再生化するなんてことも必要かもしれない。

 話はそれた。とりあえず兄宅の団地のことだ。出来れば早期に売却してしまいたいと思っている。昔、家を探しているときに不動産屋が言った言葉をちょっと思い出している。

「売れない物件はありません。価格さえ下げればほとんどすべての物件は売れます」