スノー・ロワイヤルを観る

 コロナで外出歩かないようにということで、正統的な家の過ごし方を実践すべくTSUTAYAでDVDを借りてくる。そのうちの一本がこれ『スノー・ロワイヤル』。あんまり期待もせずに観たのだが、これがなかなかに面白い。

 

スノー・ロワイヤル [DVD]

スノー・ロワイヤル [DVD]

  • 発売日: 2019/10/25
  • メディア: DVD
 

  リゾート地で除雪業を営む男が麻薬の密輸事件に巻き込まれて殺された息子の復讐のためにうってでる。息子を殺した犯人を追い詰め殺害していくのだが、マフィアはこれを対立組織の犯行と勘違いし抗争に発展する。マフィアの抗争と復讐鬼と化した男の三つ巴がある種のカオスの如く進行していく。

 復讐、抗争による殺人が淡々と行われていく。そこにはあまり情緒性がない。ある種の悪趣味な雰囲気はどことなくコーエン兄弟タランティーノを思わせる。

 これぞB級映画という感じがする。主人公にも、ストーリーにもなんというか共感、共鳴するものが何一つない。逆にいえば観る側のそうした思い入れを拒絶するようなタイプの映画だ。主人公のリーアム・ニーソンは子どもを殺された怒りを内に燃やしつつも、それを面に出す訳でもなくただただ苦虫を噛み砕いたかのようなしかめ面のままである。

 情緒性やエモーショナルな部分がないという意味でいえば、この映画は種のハードボイルド性を有している。人の死も、怒りも、すべてが淡々としている。そのへんの演出というかタッチが面白いと思う。

 主演のリーアム・ニーソンはアクション系の俳優さんのようだが、古くは『シンドラーのリスト』で主演を演じている。あとはスターウォーズアナキン・スカイウォーカー・サーガのシリーズでクワイ=ガン・ジンをやっていた人だ。一介の除雪作業員なのに兵士のごとくことを進める。ひょっとすると元海兵隊湾岸戦争あたりに従事したような経歴ではと勝手に想像してしまうぐらい手際が良い。アメリカにはこの手の元兵士みたいなのがゴロゴロといるのかと思わせるくらいにリアリティがある。

 ついでにいえばニーソンの妻役にあのローラ・ダーンが出ている。復讐鬼と化した夫の人事でないような雰囲気を察して、家を出ていくという役柄で映画的にはチョイ役的だ。彼女のキャリアからすればある意味、ゲスト出演なのかな思わせる。なんか観ていて、あれローラ・ダーンかな、でもこんな役やるかなみたいな感じである。

 多分、2度観ることはないと思うけど、この映画はちょいとばかり面白かった。