仁義なき戦い

f:id:tomzt:20210203152611j:plain

 9月から10月にかけてDVDとかで観た映画のタイトルとかを幾つか。

 まず『仁義なき戦い』シリーズ。これはTSUTAYAで借りてきて二週間くらいの間に全5話をすべて観た。『仁義なき戦い』、『仁義なき戦い 広島死闘篇』、『仁義なき戦い 代理戦争』、『仁義なき戦い 頂上戦争』、『仁義なき戦い 完結篇』の5作だ。

 いずれも菅原文太扮する広能昌三狂言回しとなって繰り広げられる広島ヤクザの抗争劇なのだが、今でもかなり面白く観ることができる。とはいえ70年代になぜこの映画が熱狂的に受けたのかというと、なかなかに微妙な部分もあるにはある。様々なシーン、演出などすべてにおいて歴史的限界を感じる。

 なんていうのだろう、リアリズムとしてもやや中途半端だし、スターシステムにのっとった虚構ハードアクションとしてもこれも時代がかかった部分がある。これでも当時としてはドキュメンタリー色の強さが売りだったのだろうけど。

 作品としてはヒットマン山中正治にスポットライトをあてたスピンオフ的色彩の強い第二作『広島死闘篇』の評判が良かったのだが、今見返してみるとそれほどでもないという印象。山中を演じた北大路欣也や荒くれヤクザを演じた千葉真一が好演がなんとなく覚えていたのだが、今回はさほどのインパクトを感じなかった。まあ首尾一貫して梶芽衣子のいい女という印象だけは変わらなかったが。

 そしてシリーズを通して狂言回し役であり、主役である菅原文太の存在感は今更ながらに凄いとは思うのだが、今となってみるともう一人の主役は小狡くて、小心者、スケベで、金に汚い、それでいて部下を籠絡する親分金子信雄、こいつこそシリーズの主役だったのではないかと、つまらない結論に至った。