小林勇『一本の道』読了。岩波書店の編集、経営を担った稀有の出版人の自伝。面白かった。小学校卒で店員として入った著者が編集者として成功を遂げ、それがそのまま岩波書店の発展と重なる。その人脈の豊富さは著者筋だけでなく、時の首相吉田茂にまで可愛がられる。一種のジジイ殺しの才に長けた人。
小林勇は二十歳になるかそこらで文豪幸田露伴に可愛がられ、生涯にわたって公私の隔てなくつきあったという。そういうのは才能なんだろうな。昔、やはり若い時分に里見紝に可愛がられ鎌倉に出版社作った編集者を知っていたが同じなんだろうな。編集者には著者の懐に入り込む才が必要なんだと思う