みかん狩り

伊豆といえばみかん狩りである。どこが?
よく話に聞いてはいるのだが、実際にみかん狩りというものがどういうものか、システムを含め全容がほとんどわからない。みかん畑というのはたいてい山の斜面にある。そこに入ってみかんをもぎ取り食す。あるいはお土産用にする。まあそういうものなのだろう。
よくみかん食べ放題みたいな文言を聞くことがある。でもみかんというもの、そんなに沢山食べれるものだろうか。あれは冬のコタツでぬくぬくとしながら、なんとなく手持ち無沙汰にみかんを食す。気がつくとけっこうな量を食べていたみたいなもの。極めて受動的というか消極的というか、まあ結果として他にすることもないのでみかんを食っていたみたいなものなのである。
それをわざわざみかん山に行って、さあ食べ放題だ、食うぞという積極的な展開というのはどうにもイメージできない部分がある。とはいえ今回の伊豆旅行ではあまりやらないこと、行ったことがないところということで、なんとなくみかん狩りがあがってきた。妻も娘もみかん好きといえばみかん好きである。休みの日などは気がつくと5〜6個食べていたなんていうこともある。それでみかん狩りやってみたいかと聞くと二人ともけっこう興味津々なのである。
しかし問題はみかん狩りがたいてい山の斜面にあること。そう車椅子はまず想定外なのである。そこで駄目元でネットでぐぐると、いや〜あるものですね、伊豆で一つだけみかん狩り、バリアフリーでヒットするものがありました。それがこれです。
<小坂みかん共同農園>
小坂みかん共同農園公式ホームページ | 小坂みかん共同農園
そんでもって伊東に泊まった翌日行ってみました。

駐車場からして斜面になっていて車椅子を押すのも難儀ではあったが、案内されるままに入園料を払い車椅子用のみかん山に入りました。ちなみに駐車場には何台もの観光バスが入れ替わり立ち代り入ってくる。けっこうメジャーなみかん狩り園らしいのである。
バリアフリーコースはというとなんとか車椅子一台が進めるだけの舗装路があり、その両側にはかなり低い部分にもみかんがなっていて実際車椅子でもみかん狩りができるのである。たいしたことないといえばそうなんだけど、でもこういう風に障害者でもみかん狩りが体験できるように工夫してくれているということに素直に感謝したいなというのが感想でした。

それでもっていざ食べ放題の成果はというとですが、やっぱりあんまり食べられません。料金は一人400円で予めネットで割引券印刷してもっていったので3名で1080円だったか。まあけっこうチープといえばチープなのである。妻と娘はみかんの皮をきちんとむいて白い筋みたいなのもきちんととって食している。そうなるとあんまり量はいかない。私はというとみかんは乱暴な食べ方をするタイプ。ふだんから皮をいい加減にむいて小さいものなら丸ごと、大きいものなら半分、あるいは四分の一くらいをポイと口に含み、かじって果汁を食す。後は大胆にぺっとやってしまう。その要領でやるとかなりの量がいける。気がつくと私は10個以上食していた。
娘も途中から同じような食べ方をしてかなりの量を稼いでいた。妻は相変わらず律儀に片手できれいに皮をむいてなのでせいぜい5個くらいしか食べれていなかった。
途中で私と娘はみかん山の上の方にも行ってみた。普通のお客さんはみんなこっちでみかん狩りをしている。上の方のみかんは小ぶりなものが多く、それも子どもの背たけより少し上のあたりに集中してなっている。たぶんこっちがメインだから低い部分はとっくに狩られているのだろうと思った。
そこでかなり上の方になっている小ぶりのみかんをとって口に含むと意外と甘く美味しかった。後で係りのおじさんに聞いてみるとみかんは小ぶりなほうが美味しいのだという。そうするとバリアフリーコースで低い部分になっているみかんなのだが、こちらはけっこう大きいものが多かった。食べて最初に思ったのは酸味はそれほどでもないがやや大味というかぼけた感じもしないでもなかった。バリアフリーコースはあまり利用されないのだろうから、仕方ないのかなとも思った。
まあ細かい部分をいろいろ指摘すればいろいろあるだろう。でもとりあえず車椅子でもみかん狩りができるということが重要なのだと思う。私も妻も娘もみかん狩りなどというものは生まれて初めての経験である。晩秋の穏やかな午後のひと時、自然の中で新鮮なもぎたてみかんを食す。まあまあ楽しい時間だったと思う。