神奈川県立生命の星・地球博物館

今回は神奈川県立生命の星・地球博物館というところにいってきた。箱根登山鉄道入生田駅近くにある比較的新しい博物館だ。なんでも馬車道にある神奈川県立博物館の自然史部門を独立させたものだという。それでも1995年に誕生したというからすでに12年も経ている。今回宿に貼ってあったポスターを見るまでまったくその存在すら知らなかった。
http://nh.kanagawa-museum.jp/
もともと博物館は大好きだ。この博物館のもとになった神奈川県立博物館にも子どもの頃なんども足を運んだ。高校生くらいになってもけっこう一人で通ったものだ。半日くらいだったら楽に時間をつぶせた。そう、けっこう暗い青春時代を過ごしたガキだったんだな。
おまけに妻も実は博物館好き。新婚旅行でニューヨーク行ったときに、半日をアメリカ自然史博物館、半日をニューヨーク観光くらいに予定組んでいたのに、博物館に半端じゃないはまりかたして、結局ここで1日を過ごすことになってしまった。そのお陰で翌日一日をメトロポリタン美術館予定していたのに、半日しか時間とれなくなって駆け足見学になってしまった。まあ、アメリカ自然史博物館はとてつもなく面白いところだから、ここで一日はある意味じゃ普通かもしれないのだけど。
だもんで、博物館に行くというと目を輝かして興味しんしんの様子だった。そして娘はというと、そこそこに理科が好きなこと、最近DVDで「ナイト・ミュージアム」を見たばかりで、えらく気に入っていたので博物館に行くというとこれも大喜びだった。
この自然史博物館の常設展示は1階が地球展示室という地球科学、惑星科学ものと生命展示室という地球上の生命の進化と剥製や骨格模型の展示している。2階は企画展示コーナーと図書室、3階には常設展示室として自然との共生を考える共生展示室、神奈川の自然を考える神奈川展示室がある。この神奈川展示室がかっての神奈川県立博物館に一番近い展示物だったかな。とはいえ最近の博物館だから、展示についても新しい。普通博物館の展示というのは壁面にガラスで仕切られた箱型の展示が延々と続くというのが多いのだが、ここはまず天井に非常に高く立体的な展示が中心だ。なんか見せ方もずいぶんと変わったものだなと思ったものだ。

博物館といえば、なんといっても剥製と標本だ。ある意味では死骸を集積展示しているのが博物館だともいえる。その展示された骨や剥製から彼らの生と彼らの生きた環境に思い巡らせる。骨や死骸から想像力を喚起する場ということなんだろう。
村上春樹の代表作の一つである『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の中で登場人物の私の空想世界「世界の終わり」の中で「僕」なる人物は図書館で一角獣の頭骨から古い夢を読み取る夢読みという仕事につくことになる。博物館で骨格標本を見るということはある意味では、獣たちの古い夢を読み取ることなのかもしれない。もちろん象徴的な意味でだけど。
子どもの頃の将来の夢は幾つかあったけど、高校くらいによく思ったことは図書館司書か大学の研究員になりたいということだった。いずれも本や資料に囲まれ、ある意味本や資料を読み、分類するのが仕事だろうと思ったからだ。どっちも果たすことなくきてしまったけれど、今思うに博物館の学芸員という仕事もなにかしら素敵に趣がありそうだなとも思う。生まれ変わったらなりたい仕事のリストの一つにあげておこうと。

博物館といえば定番のティラノ君。基本ですな。いちおう娘にはお約束で、「こいつ夜になると動くんだよ。帰ったふりして隠れてようか」と。娘も「骨投げるとじゃれてくるんだよね、きっと」と応酬。
さらに博物館にはいかにも作り物っぽいけど、たぶんちゃんとした剥製標本である様々な魚や海老やら蟹やらが壁面に展示されている。この蟹がなにかしら心を動かすものがあるのよね。

なんでも蟹博士として有名な故酒井恒博士の蟹コレクションの寄贈を受けその一部を展示しているのだとか。酒井先生知る人ぞ知る存在だったのだろう。膨大なコレクションということだが、この人の家ってところせましとかに、かに、かにっていう感じだったのだろうか。作りかけの蟹標本とかってさぞや臭そうな気がするな〜。家族はけっこうブーイングしてたんじゃなかろうかな、などと想像する。でもこの蟹標本けっこう気に入ってしまいました。
なんにせよ小学生くらいのお子さんがいるところで箱根方面行くときは、ここは押さえておくべきおすすめスポットだとは思いますね。半日はきっちり遊べます。ほんでもっと子どもが生き物でもいいし、地球のこと、宇宙のこと、まあなんでもいいです。なにかしらに興味を持ってくれれば大正解なのではないかと。
思うに自分が子ども時代にしろ、自分の娘にしろ学校で博物館に見学みたいなことってあんまり聞いたことがないような気がする。そういうことに積極的な先生とかがいる学校だと校外学習みたいなことであるのかもしれないけど、どうなのだろう。もっとそういうことに積極的になってもよいのではないかと思うな。