2023年にやめたモノとその後

 訳あって2023年に二つのモノ、コトをやめた。いずれも長く自分の生活の一部だったようなモノ、コトだ。

 一つは山下達郎の音楽を聴くのをやめた。多分、去年の7月くらいからだろうか。理由はまあ単純で、彼が昨年大きく問題となったジャニー喜多川氏による性加害問題について、喜多川氏を擁護したことからだ。

 彼は自分のラジオ番組で、自分にとって一番重要なことは「ご縁とご恩」であり、ジャー喜多川氏から受けた「ご縁とご恩」を大切にしたいと語った。そして自分のそのような立ち位置を批判する者には自分の音楽は必要ないのだろうと言い切った。ようは自分を批判するなら自分の音楽を聴く必要はない、聴くなということだったろうか。

 その時点(2023年7月)では、ジャニー喜多川氏の性加害は、BBCによるドキュメンタリー報道が問題になっていたが、まだ噂段階だった。しかし9月にジャニーズ事務所が性加害があったこと認め、その後の報道などではその被害は数百人にのぼるという、たった一人の有力なプロデューサーによる広範囲な性加害という、世界的にも類をみないような大事件でもあったことが判ってきた。結果としてジャニーズ事務所はその看板をおろし、別会社として出発することになった。

 いまではとりあえずジャニー喜多川氏がとんでもない性加害者であったということについては、それを否定するものはいない。一方で、山下達郎は昨年7月のラジオ番組以降はその問題について沈黙を守っている。

 まあ普通に考えれば、ちょっと勇み足したかなと思ったりもする。その後の情勢を考えれば、あんな発言をするべきではなかったのだろう。彼の周りにはきちんとしたスタッフがいなかったのか。もっとも彼のスタッフ、マネージメントに携わっていたビジネスパートナーと彼がいう小杉理宇造が、ジャニーズの業務全般を担っていただけに、ジャニーズ擁護をせざるを得なかったのだろうか。

 それ以来、彼の音楽は一切聴かない。もしもかかることがあれば止めてしまう。彼とはシュガーベイブ以来のつきあいだから、50年近くずっと聴いているのだろう。当然、レコード、CDもほとんど持っている。それこそ何かあれば、冗談めかして「俺たちは達郎がいる」みたいなことを宣っていた。かってジョン・レノンが死んだときに、矢作俊彦がエッセイ集のなかで「俺たちにはジュリーがいる」と宣った。あれと同じような感じだろうか。

 しかし長く聴いていた音楽を聴かなくなると、どういう変化が起きるか。実はなにも起きない。iTunesに入っている音源が12000曲から500曲かそこら減るくらいのことでしかない。山下達郎的なニューミュージックをなんとなく全般的に聴かない傾向はあるけど、まあそんなところだ。

 同じ頃かそれよりも少し前から、ユーミンの音楽も聴かなくなっている。なんでだろう。まあいろいろな意味で歳をとったからなんだろうか。

 iTunesでは基本ジャンルとプレイリストで音楽を管理している。プレイリストはジャズ、クラシック、ロック&ポッポス、ボサノバあたりが基本。他にアーティスト別でビートルズトッド・ラングレンローラ・ニーロジョニ・ミッチェルイーグルスマイルス・デイヴィスビル・エヴァンスなどなど。

 山下達郎も当然プレイリストを作っていたが、それは削除した。あと彼の楽曲のジャンルをそれまでのポップスからtaturouに変えた。ユーミンもジャンルをyumingにした。それで車やオーディオにつないでいるiPod classicに同期されない。ということで音源こそ削除していないが、すべての端末類から彼らの音源は消えた。音源自体を削除しないのは一抹の未練みたいなものだろうか。

 結論的にいえばアーティストの一人や二人の音楽を聴かなくなってもなにも生活は変わらない。そういうものだ。ひょっとしたらビートルズバート・バカラックなんかも聴かなくなればそれはそれで普通のことになってしまうのだろうか。いや、多分それはないだろうなと思ったりもする。

 例えばポール・マッカートニーが急に耄碌して差別主義や露骨なイスラエル賛美をしたらどうだろう。多分聴かなくなるかもしれないが、これまでのことを考えればその可能性はほとんどないような気がしないでもない。

 まあ音楽なんてそんなものなのかもしれない。

 

 もう一つやめたもの。それはまあバクチというか、パチンコの類だ。パチンコもまた大昔からやっている。多分、パチンコ屋に通うようになったのは高校生くらい。そして大学生の頃はけっこうはまった。社会人になってからもけっこうやってたな。仕事がけっこう遅くまであっても、それこそ9時過ぎからうちにいくみたいなこともあった。

 40代くらいの頃に、よく冗談半分にこれまでパチンコで負けた金額は、マンションの頭金くらいあるかもしれないなんて話していたが、あながち嘘ではないかも。まあ真面目に計算し始めたらきっと死にたくなるだろう。

 さすがに結婚して子どもができてからやる頻度もへったし、かけられる金もなかった。そういう意味では40代半ばからはほとんどやってないも同然だったかもしれない。それでもたまにやっては負ける、たいてい負ける。ごくごくたまに勝つこともあり、そうするとまた行くようになるが、負ける。まあバクチの類で儲かるなんてことはまずない。トータルすれば絶対にマイナスだ。

 去年、9月にiPhoneを新しくした。といっても8をすでにその時点で二代型落ちの13にした。それでも夫婦二台分だと20万近い買い物だ。年金生活の高齢者の生活なのでけっこうこれは痛い。ということで自分に誓いをたてて、せめてパチンコは金輪際やらないと決めた。感覚的に一か月1万とか2万負けているとすれば、一年やらなければiPhone分くらいはなんとかなるかみたいな、まあ適当な思いつきだ。

 そしてかれこれ9ヶ月くらいやっていない。もう店の前を通っても、何が面白いんだろうねくらいの感じで普通にスルーできる。タバコをやめて何年かしたら、もう近くで臭いをかぐだけでダメとなったが、それに近いものがあるかもしれない。

 こういうのもなんだ、結局は歳のせいなのかもしれない。さてと今年はなにかやめるモノ、コトあるだろうか。