7月の日誌的①

7月1日 (月)

 学習がまったく進まない。本を読んでもすぐに投げ出す。パソコンに向かっても目がショボショボして続かない。歳といってしまえばそのとおりなんだろうが。

 夕方、ディーラーと電話でやりとり。7月15日で車検切れとなるのだが、いまだに次の車の納車が決まらない。月も変わったので早めに連絡をと告げる。折り返しで電話があり、最短で5日には納車可能とか。さすがにこちらも準備もあるので、改めて日程を調整。

 ついでに確認していなかったが、荷室に車いすを積むので汚れても大丈夫なラゲッジマットが必要なこと、車いすを固定するためのフックについても確認。ラゲッジマットは急遽発注となる。

7月2日(火)

 またまた夜、昼が逆転するような日々になりつつある。よくない兆候。

 前夜も、夜中に映画を観てた。

 『アヒルと鴨のコインロッカー』。濱田岳と瑛多主演、伊坂幸太郎原作のミステリーもの。昔、DVDを借りてきて観た記憶があるのだが、記憶が断片的。テーマソングが吉田拓郎の『私は今日まで生きてきました』のような気がしていたのだが、ディランの『風に吹かれて』だったり、誰かがブータン人役だったのだが、それが誰かも忘れていた。いずれもこの映画のキモの部分なんだけど。

 映画の中で『広辞苑』がモチーフとして使われている。多分そのへんが仕事がらみで引っかかってきて観たのかもしれない。映画の中で描かれる本屋襲撃シーンは、その舞台となったのがブックスなにわ塩釜店だけど、この郊外店もすでに閉店している。21世紀前後にはけっこうチェーン展開していたこの書店も、今では会津若松の本店を中心に2店舗くらいしかないらしい。時代の流れかもしれない。

 この映画は2007年の映画だから17年前ということになる。濱田岳、瑛多はいまだ第一線で活躍している。ヒロイン役の関めぐみもまだ女優を続けているが、男優陣に比べるとキャリアは今一つな感じ。そして大塚寧々は今ではすっかり脇に回って渋い演技を見せる女優になっている。そのあともう一本映画観たはずだがタイトルが思い出せない。

 日中は寝不足のせいか、寝たり起きたり。夕方、妻の歯医者につきあう。

7月3日(水)

 前日のもう一本の映画を思い出す。『探偵マリコの生涯の一番悲惨な日』。

 NHKの朝ドラに主演している今、一番旬な女優伊藤沙莉が主演。新宿でスナックのママをしながら探偵業を続けている訳あり女性が主人公という設定。そこにさらに訳ありな落ちぶれたヤクザのヒットマン、親に無理やり仕込まれて殺し屋となった姉妹、ホストにのめり込む女と、仕事に疲れて厭世的なホストなどが絡むオムニバス・ストーリー。

 さらにそこに地球外生物をめぐるSFネタまで仕込まれる。映画としては可もなく不可もなく。いやどちらかといえば、いろいろ盛りすぎて失敗作かもしれない。観てすぐに忘れてタイトルすら出てこなかったくらいの映画なので、きっとすぐに観たことすら忘れてしまいそう。

7月4日(木)

 なんかこの日付に見覚えがある。なんだろう。そうだ、アメリカの独立記念日だ。大昔の大昔、横浜の山下町に住んでいた頃、山下公園で花火を見た記憶があるのだが、ググっても特に毎年開かれているような情報がああまりヒットしない。あれは何だったんだろう。

 多分。接収されていたみずほふ頭あたりで打ち上げていたような気がするのだが。もっとも60年以上前のことなので、親とかから聞いた話でそんな体験をしたような記憶を作り上げたものだったか、定かではない。

 

 東松山の原爆の図丸木美術館に行く。ここに来るのは通算で3回目くらいか。ここで収蔵している第一部から第十四部までのうちのほとんどが常設展示されている。第二部は現在愛知の大学で修復中とかで、複製品が展示してあった。

 《原爆の図》は重い思い。写実でありながら、デフォルメ化された被爆の惨劇の記憶。この美術館に来るのはどうにも身構えてしまう。

 1階では現代アートの松下真理子の個展「人間動物」も開かれていた。この個展は7日までということで、実はこちらを観ておきたいということで来た。

 

 美術館の後、妻のリクエストで川越の伊佐沼まで行く。一周約2キロを車いすを押して歩く。夕方ながら暑さが厳しく、ややバテた。

 
7月5日(金)

 外は猛暑のようなのでずっとエアコン効かせた部屋にいた。午後、洗濯物を干すのでベランダに出たら、モアっとした大気が顔のあたりに押し寄せてくるような感じ。天気予報だと36度くらいあるのだとか。

 妻の介護靴を二足洗って干す。多分、すぐに乾くだろう。

 翌日は出かける用事があるので、掃除をするこにした。しかし熱い。

 夕方、帰宅した妻と一緒に近所の日高屋で外食。なにか外食のパターンが日高屋サイゼリヤ、天狗の三択になっているとは、多分以前にも書いたかもしれない。

7月6日(土)

 前夜、割と早めに寝たのだが、そうすると早朝というか未明に目が覚める。今日は4時半くらい。

 昔の友人、知人と飯田橋で昼から会食。会の名称はスズラン会という。最初に務めた大学内の書店と、取引先だった取次の担当者と数年に一度集まる。

 なぜスズラン会というか、当時、書籍を梱包するためにスズランテープというビニールひもを使っていた。最初はテープをカッターで切っていたのだが、取次の人はそれを手で切る。テープをカッターなしで切ることができるようになると、とりあえず書店員としては一人前になるみたいなそんなことだったか。

 今となってはカッターで切ったほうが合理的かもしれないのだが、当時的にはカッター使うのはアマチュアみたいな意識があった。つまらないプロ意識、職人気取りみたいなものだ。取次のプロはスズランテープどころか、荒縄も手で切るみたいな話もあったが、実際にやっているところは見たことがない。あとで荒縄はふつうにハサミで切るよみたいな話を聞いた気もする。

 今回集まったのは、入社した当時にお世話になった取次担当の方が81歳と高齢ながら、出席するということだったため。ひょっとしたら最後になるかもしれないみたいな気持ちもあったのだが、実際お会いしてみると、まだまだ元気そうだった。

 会が終わったのは2時半頃。その後は都知事選の蓮舫の街宣を見るために自由が丘に行くことにする。なかなかに盛り上がっているが、まあ多分当選するのは現職だろうとは思う。

 その後は別の友人と会い、けっこう遅い時間が飲む。

7月7日 (日)

 前日の酒が残っていたせいか、寝たり起きたり。朝7時すぎに深夜に回した洗濯物を干し、妻のインシュリンを打つ。たぶんその後自室で本を読んだり、うつらうつらしたりしてしまい、気がつくと1時近くになっていた。

 遅そめの昼食は残り飯があったのでオムライスを作る。

 夕方、買い物のために外出。妻のリクエストで運動公園に行き、いつものコースを車いすを押して回る。5時を回っているのにまだまだ暑く、汗だくになる。とにかくTシャツは水をかぶったように汗で濡れてしまった。しかたなく近くのホームセンターで着替えように安いTシャツを購入する。

 都知事選は8時の開票と同時に現職が当選確実に。蓮舫は石丸にも抜かれ3着となる。残念なことだ。

 それにしても現職の強さと大都市の保守化傾向を改めて思う。そしてなによりも野党勢力よりも、無党派層、特に10代、20代の若い世代が、石丸というネット、特にYouTube動画を駆使した扇動屋に集中したことに驚いている。

 もはや若者の超保守化は目を覆うばかりである。もっとも彼らを作り出したのは、まちがいなく先行する世代である我々である。もう忸怩とかいっている場合でもないという感じがする。
 結局、教育のせいなのだろう。21世紀に入ってからの右回転した教育政策、特に第二次安倍政権が作り出した教育環境のもと、歴史意識をもたない層、社会に対する問題意識をもたない層が圧倒的に増えた。
 たぶん、この先にくるのは緩やかなファシズムだろうか。東アジアは左回りのファシズムとしての中国、北朝鮮と右回りのファシズムの日本の並行関係がほどよい緊張のなかで進むのかもしれない。多少の緊張関係であればこそ兵器が売れる。それぞれに軍備拡張を進める。小規模の衝突はあっても大規模なものにはならない。それはアメリカと中国がうまく調整していくということだろうか。

 もう先の短い人生だ。もはや政治的熱狂や改革などという夢は捨て去った方が多分いいのだろう。

7月8日(月)

 朝、7時過ぎに起きる。読みかけていた『《原爆の図》のある美術館』(岩波ブックレット)を読み終える。その後少しメモをとることにする。

 

 前夜はNetflixの話題の新作(ということらしい)、『ビバリーヒルズ・コップ:アクセル・フォーリを観る。

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 シリーズとしてはなんと30年ぶりの新作となる。さすがにエディ・マーフィも老いた。とはいえ経歴をみると1961年生まれの63歳。自分よりも年下なのだ。

 とはいえ、この人はエディ・マーフィーという看板、キャラクターを変えることができないまま年をとってしまったという印象が強い。

 二枚目俳優、アクション俳優、コメディ俳優たちもそれぞれ年齢とともに自分のキャラを変える。よくいう渋いわき役、性格俳優にチェンジしていく。そういう良い年の取り方ができない、もしくは許されることがないまま、還暦過ぎてもエディ・マーフィーというキャラクターを演じ続けなくてはいけない。スタジャンに身を包んだご老体エディ・マーフィーを見ながら、そんなことを考えていた。

 今回のアクセル・フォーリーは久々にビバリーヒルズを訪れる。昔の仲間も健在だ。そしてなぜかアクセル・フォーリーには別れた妻との間にできた娘がいる。娘はカリフォルニアで敏腕弁護士をしている。ずっと仲違いしてきた娘と心を通じ合わせることができるのか。アクションドラマの30年ぶりの新作にはこんな物語が織り込まれる。でもあのアクセル・フォーリーがいいオヤジになって親子関係を良好なものにするために腐心する。あんまりそういうのが見たくなかったかもしれない。ウェットになってどうするんだ、あのアクセル・フォーリーだぞ、みたいな感覚。まあいいか。この映画もすぐに忘れてしまいそうだ。