神奈川県立近代美術館葉山館 (7月15日)

 子どもと金沢八景で別れてから、まだ時間があるということで急遽東京湾沿いから相模湾沿いに移動。葉山にある神奈川県立近代美術館に行くことにする。

葉山館 | 神奈川県立近代美術館 (閲覧:2023年7月20日

 ここを訪れるのは1年半ぶりくらいだろうか。2021年の暮に平塚市美術館を目指して行ってみたら休館だったので、急遽出かけて以来のことだったか。

 

 今回やっていた企画展は、ちょうど初日だったのだが、「挑発関係=中平卓馬×森山大道」展。

挑発関係=中平卓馬×森山大道 | 神奈川県立近代美術館 (閲覧:2023年7月20日

 

 森山大道中平卓馬も一応名前は知っている。なんなら作品のいくつかは目にしている。というのも岩波から出ていた『日本の写真家』全44巻だったか、あれのかなりの巻を持っていたことも一応一通り日本の著名な写真家のことは見知っていた。以前は集英社で出していた『世界写真全集』も持っていたし、一応写真ファンであった時期もあるにはあった。

 『世界写真全集』の方は横浜から埼玉に越してきた頃に、『日本の写真家』は今の家に越してきた時に処分した。大判の全集や写真集の類を所有するには、家が小さすぎるという住宅事情がある。八畳とか十畳くらいの書庫が欲しいと思ったけれど、今世ではどうも無理だったようだ。

 まあ最近の口癖だが、妻が例えば島根の足立美術館に行きたいと言えば、「来世で」と答える。たまには銀座で美味しいものが食べたいと言えば、やっぱり「来世で」となる。もっとも来世があるとして人間に生まれ変わって妻と出会う確率がどのくらいあるかというと、まずあり得ないような偶然性、蓋然性の問題のようにも思う。

 それ以前に、自分がなにかに生まれ変わってもきっとゾウリムシかなにかではないかと思ったりもしている。

 

 森山大道中平卓馬、二人とも所謂「アレ・ブレ・ボケ」と形容される作風で有名だ。もっともいずれもある時期の作風がそうだっただけだが、やっぱり初期のその作風が作家を規定してしまうということなんだろうか。この二枚の作品はパンフレットからなのだが、まさに「アレ・ブレ・ボケ」である。

 

 いずれも60~70年代、そういう時代性を感じさせる。

 

 葉山館は天井の高い、開放性のある展示室でゆったりとした気分で作品を鑑賞できるところだ。しばし時間を忘れて、20世紀的なモノクローム的世界に浸った。

 

 同時開催されていた企画展「加納光於 色(ルゥーバ)、光、はためくものの」。

加納光於 色(ルゥーパ)、光、そのはためくものの | 神奈川県立近代美術館

(閲覧:2023年7月20日

 加納光於は初めて目にする作家。抽象画の油彩、エッチング、楽器をモチーフにした造形(たぶん)など、作品は多岐にわたる。

加納光於 - Wikipedia (閲覧:2023年7月20日

 90歳、長いキャリアをもつ存命の作家さんである。多分、これまでにもどこかの近代美術館で観ているかもしれないが、心に留めておきたい人だ。

 《serpentinata》Ⅰ 油彩・キャンヴァス 2004年

 

 

 3時過ぎに入ってほぼ閉館までのんびり過ごした。最後はおきまりの海方面の景色とイサム・ノグチ