邦楽のこと、あるいはPUFFYのこと

邦楽のこととか

 和学ではなく和製ポップスとかそのへんのこと。

 聴いている音楽、持っている音源は圧倒的に洋楽である。ポップス、ロック、ジャズなどほとんどのジャンルにおいて。

 思い起こせばほぼ最古の記憶の中で、水原弘の「黒い花びら」や坂本九の「上を向いて歩こう」を家の前で口ずさんでいたとかそういうのが微かに。多分4~5歳くらいの頃のことだろうか。

 小学校の二年生の時にビートルズの洗礼を受けた。7歳上の兄の影響だ。その後は加山雄三をずっと聴いていた。中学校に上がるくらいまで。中学から高校にかけてはフォーク全盛だったこともあり、吉田拓郎、西岡隆、加川良六文銭など、かたっぱしから聴いていた。買ってもらったガットギターにスチール弦を張ってかき鳴らしていた。

 平行してビートルズ、当時流行りだしたブラスロック、そして次第にウエストコーストロックへと向かった。一方で兄の影響を脱して、自分でジャズ喫茶などに入り浸り始めた。そしていつの間にか日本のものはあまり聴かなくなった。アイドルものなどは映画やグラビアは見ても、音楽として享受することはなかった。

 iTunesの音源は多分15000曲超くらいあるだろうか。CDはどのくらいあるのだろう。ある時期まではカウントしてたけどもうやめた。収拾がとれていない。多分3000枚くらいはあるのでは。レコードはほとんど捨ててしまったのでせいぜい100枚あるかないか。そのほとんどが洋楽だ。

 邦楽で持っているは誰だろう。山下達郎ユーミンは20世紀の終わりまでは新譜が出れば必ず買っていた。達郎は多分なんだかんだで全部持っているはずだ。ユーミンはここ20年くらいで買ったのはベスト盤「日本の恋と、ユーミンと」くらいか。残念ながら達郎もユーミンも今はほとんど聴いていない。そういえば21世紀になってから竹内まりやもベスト盤を中心にけっこうCDを買ったけどこれも聴いていない。

 音楽を聴かなくなくのはなんとなくな場合もあれば、きわめて意図的な場合、ときには政治的な理由もあったりする。ユーミンはたしか数年前にユーミン夫妻と安倍元総理夫妻が会食をしたという記事を読んでなんとなく遠のいた。どうでもいいことかもしれない。でも例えば、ボブ・ディランがトランプの集会に現れたとか、スティーヴィー・ワンダーが飯を一緒に食ったとかそういうことになれば、なんとなく萎えるでしょう。

 山下達郎竹内まりやは今年話題になったジャニーズ問題だとは思う。よせばいいのに達郎は自らのラジオ番組でジャニー喜多川の才能を賛美し、恩を受けたことに信義の意を発した。達郎、まりやのビジネスパートナーである小杉理宇造がジャニーズ・エンターテイメントの経営者を兼務していたことなどもあり、山下達郎からすれば当然の発言だったのだろうが、完全に空気を読み違えた。黙っていればいいのにと思ったものだ。

 それ以来、意図的に達郎、まりやの音源を封印した。家でも外でも車の中でも彼らの音楽がかかることはない。まあそれで何か変わったといこともない。達郎、まりやのいない2023年、そういうものだ。

 邦楽はほとんど聞かないがそれでもCDが出れば必ず買うアーティストは他にもいない訳でもない。かなり減ってきたけど例えば土岐麻子なんかはほとんどもっている。ここ1~2年はもれがあるかもしれないけど。あとは一時期的にはまるアーティスト、グループもあることはある。

 スーパーフライは最初の数枚は持っている。けっこうハマッたクチだ。サンボ・マスタ ーも4~5枚は持っているだろうか。あのやたらと五月蠅いのに、こ洒落たコード使いはけっこうクセになった。クレージ・ケン・バンドもけっこうよく聴いた。CDもベスト盤を含めて10枚くらいはあるだろうか。

 50代くらいまでは新しもの好きな部分もあった。例えばperfumeもメジャーデビューした頃はけっこうハマった。友人たちにもperfumeって面白いぞと勧めたりしてた。16~17年も前のことになるのか。気がつけばメンバーはもうみんな30代中盤になろうとしている。あのクオリティはプロ意識の塊のようにも思えるけど、今はほとんど聴かない。

 そういえばゲスの極みとかも実は最初のCDを数枚持っているし、水曜日のカンパネラも2~3枚はあるかもしれない。知らない間にヴォーカルが変わっていて驚いた。あのコンセプトはコムアイでこそみたいな感じもしていたのだが。新しい子のことは知らない。前に子どもに篠原ともえみたいと言ったら笑われた。

 ジャズはどうか。大昔はナベサダ、ヒノテルはよく聴いたけど。ここ20年くらいのところではどうか。ほとんど知らないといいかもしれない。ケイコ・リーは出始めの頃は、ライブハウスなどにも聴きに行った。ピアノの上原ひろみは超絶技巧だけど、あれはジャズなのだろうか。まあジャズなんだろうけど。あと渋さ知らずもちょこちょこ聴いている。明るいファンキとフリーの融合みたいな感じだ。

 ここ10年くらいのことでいうと、もう邦楽がどうのではなく、新しい音楽が入ってこないような気もしている。テイラー・スウィフトはけっこう好きだし、もともとカントリー出自ということでアンプラグドなやつとかいいんだけど、積極的に聴かない。これもずいぶんと前になるけど、子どもがこれいいよとワン・ダイレクションを勧めてくれて聴いた。メロディ、サウンド、コーラスなど、けっこう心地よくいいノリしていた。でも車の中でかかるとなんとなく飛ばしてしまう。

 そうやってみると、なんだろう。最近は邦楽がどうのとかではなく、新しいものが苦手になっているのかもしれない。もうおジイサンなので新しい音楽を受けつけ難くなっている。そういうことだろうか。

PUFFYのこと

 ブックオフサンタナを買ったときに一緒に買ったのがこれ。

JET CD

JET CD

Amazon

 サンタナは110円だったがこちらは220円だった。

 これワゴンから見つけたときに、そういえばPUFFYは1枚ももっていないなと思った。収録曲を見るとヒット曲満載だ。大ヒットした「アジアの純真」が1996年、そしてこのアルバムは1998年。150万枚を超えるミリオンヒットを飛ばしたアルバム。PUFFYが快進撃を続けていた時のアルバムだ。

 「これが私の生きる道」、「愛のしるし」、「サーキットの娘」、「渚にまつわるエトセトラ」などなどヒットチューン満載である。PUFFY二人のスター性とともに、プロデューサー奥田民生の才能が全開したアルバムといえる。どこかけで聴いたメロディ、アレンジ、フレーズなど、60~70年代のポップス、ロックを様々な要素をコラージュしたような感じ。奥田民生の音楽的ルーツってこういうところなんだろうなと思わせる。ビートルズありクラプトンあり、イエイエ風ポップス、ソフトロックなどなど。

 それをPUFFYの二人がキッチリと自分たちの個性を失うことなく歌い上げている。こりゃ売れるよな、いや実際売れたよなと思う。そして多分このグループの音楽を受容したのは、当時30代~40代、一部50代のオッサンたちだったのではないかと思ったりもしないでもない。多分に奥田民生と同時代的に洋楽を享受してきた世代。

 それにしてもだ、このPUFFYの実質的なデビューアルバムは25年前のことである。とは音的にはさほど古さを感じさせない。のではあるが、プロフィールを確認すると大貫亜美50歳、吉村由美48歳。25年の歳月はアーティストも、聴く我々にも等しく年齢を積み重ねさせていく。そういうものだ。

 多分、ブックオフのワゴンで見つけなければPUFFYのことなど思い出しもしなかったし、曲を聴くこともなかった。でもこれからは車のiTunesでたまにかかったりすればなんとなく嬉しくなるかもしれない。


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