OPUS

OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜(通常盤)

OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜(通常盤)

  • アーティスト:山下達郎
  • 発売日: 2012/09/26
  • メディア: CD
遅ればせながら最近になって購入。ずっと聴いている。すぐにiPod Touchに入れ、車のNANOにも入れる。さらに車のナビHDDにもダビング。ある意味達郎漬けの日々である。
でも、考えてみれば達郎のほとんどCDを持っている。すでにどのiPodにも入れていたはずだ。かなりの確率で曲ダブルなと後になってから気がつく。
しかしこうやってベスト盤を通して聴いていると、いつもいつもどこにいても山下達郎を聴いていたんだなと改めて気づく。
かって矢作俊彦ジョン・レノンの死を通して「我々にはまだ沢田研二がいる」というギャグを飛ばしてくれた。まあギャグとしではなく、半分真顔になって「とりあえず我々には達郎がいつもいた」ということは言えるかもしれんとも思う。
最初に山下達郎を聴いたのはいつだろうか。多分、多分だけど、深夜放送、おそらくパック・イン・ミュージックの2部、今は亡き林美雄のそれか、馬場こずえのいずれかだろう。さらに記憶をだどると多分後者の方だと思う。
深夜、4時とかそんな時間、真っ暗な部屋で布団の中でイヤホンを通して聴いたのがシュガーベイブの「SHOW」「DOWN TOWN」だったと思う。まだ十代の暗い暗い青春時代ってやつですか、みたいな頃だ。
そして二十代、とりあえず達郎とユーミンの新譜だけは必ず買うというのがモットーというかポリシーというか、まあそういうものだ。三十路を過ぎてユーミンからは遠ざかったけれど、達郎だけは常に聴き続けてきた。次第に仕事だの家庭だの育児だの諸々のせいか、聴きこむなんてことはなくなった。それでも惰性的、達郎のアルバムだけはたいてい聴いてきた。ここ数年のものはとりあえずゲットして1〜2回聴いて終了みたいなものもあったようにも思う。「COZY」あたりからその傾向が強くなったか。
今回の3枚組でいえば1枚目、2枚目の曲はお馴染みのもの、私的には定番チューンといえる。それに対して3枚目は聴いたことはあるけど、妙に新鮮な感じしている。それこそ車の中なんかだとこればかりになる。「いつか晴れた日に」なんて最初聴いた時はえらく通俗的な曲みたいに思ったもんだが、改めて聴くと心にしみるというか、ずっと口ずさんでいたくなるような感じやね。「君の声に恋している」もいい曲だと再認識するし、カンツォーネを意識したという「忘れないで」もいい。う〜ん、カンツォーネというか、50年代の哀愁バラード的ともいえる。そしてなによりもこの曲調、歌詞の展開、なんか弾厚作作曲、岩谷時子作詞みたいな感じもしないでもないな。彼もこういう曲を時々作って歌っていたんだよな。そういや岩谷時子はまだ存命なんだよな、まあどうでもいいことだけど。
そしてこのDISC3の個人的な白眉をなすのは、昔の曲を2003年にリミックスした「2000トンの雨」だ。この曲は好きだな昔から。昔、神宮前の出版社に勤めていた頃だったか、よく渋谷から会社までの道程をウォークマンの音量最大にしてこの曲聴きながら通った。もう仕事がつらくてつらくて、なんか意識を高揚させようとしたのだろうかね〜、このフィル・スペクター・サウンズてんこ盛りの曲(だよな?)で病みつつある精神の均衡を図ろうとでもしてたんのかな。よくわからん、でもある時期ほぼ毎日この曲を聴いていたから、思い入れがとりわけ強かった。
たぶんこれからしばらくは達郎漬けの日々が続くような気がする。まあいい、とりあえず山下達郎というミュージシャンと同時代にいることをお空の上の誰かさんに感謝したいとそんな心持でいる。
補足的に、カバーのイラストはとり・みきである。ブックレットにも様々な達郎君の愛らしいイラストが満載である。密かに「タツロウ君」なる絵本でも作ってみてはと思うほど、このイラストがいい味を出している。