軽井沢へ行って来た④ 千住博美術館 (4月14日)

 今回の小旅行では美術館巡りはパスするつもりでいた。

 軽井沢には小規模な美術館は幾つかあるけれど、なんとなく食指が動くものがなかったというのもある。そんななかでもし行くならここかなと思っていたのがここ。

軽井沢千住博美術館 (閲覧:2023年4月16日)

 千住博はいちおう名前は知っているし、多分何点かは作品は観ているはず。でもあまりよくは知らない。でも日本人で初めてヴェネツィアビエンナーレで名誉賞を受賞するなど、おそらく存命の日本人画家、日本画の画家の中では最も有名な人の一人でもある。

 美術館は18号線沿いにある。実は軽井沢タリアセンの前にこちらに寄った。

 左側はショップとカフェが併設された建物で、右側が美術館。他に駐車場の奥にギャラリーがある。

 内部や作品は撮影が禁止なのだが、内部の雰囲気はこんな感じ。

                   (ポストカードより)

 いやなかなかに凄い、素晴らしい。まさにアート空間という感じである。外側がすべて大きなガラス窓という意匠と展示作品が見事にマッチしている。

 ただしこの美術館、わざわざ傾斜させて作っているので、全体的になだらかに下っている。これも意匠の一つなのだろうが、これはちょっとね、車椅子とかだと大変。まず自走が難しい。うちの場合、妻は美術館では自走して彼女のペースで鑑賞するのだが、これがちと厳しい。さらに一番下まで行けば、戻るのはゆるやかとはいえ坂を登ってくるのである。これは押している自分が厳しい。

 ということで今一つ作品に集中できなかった恨みがある。お洒落なコンセプトもアートには必要だろうけど、やっぱり美術館はフラットにして欲しいものだ。

 そして作品はというと、千住博の代名詞ともいうべき、滝をモチーフにしたシリーズ「サ・フォールズ」、「ウォーターフォールズ」、ハワイの景観をモチーフにした「フラット・ウォーター」シリーズ。さらには絵本『星の降る夜に』の原画(?)などなど、千住博の世界に浸ることができる。小1時間、美的な刺激を享受できる感じだ。

 たしかに千住博の作品は人の心に働きかける。色遣い、小さな水のしぶきまでの微細な表現、滝を題材にしてここまで見事に制作する美的構想力。多分、日本画の現代的な意味での到達点を確認できるのではないかと思ったりもした。

 たぶん軽井沢をまた訪れる際にはまた訪れたいとは思う。傾斜は確かに問題だけれど、それを補って余りあるような素晴らしい作品を目にすることができる。

         《ウォーターフォール》 2004年   (ポストカードより)