高崎市タワー美術館「彩・色を楽しむ」 (12月12日)

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 高崎市タワー美術館の企画展「彩・色(さいいろ)を楽しむ」を観てきた。

彩・色を楽しむ/高崎市タワー美術館 | 高崎市

 ここは今年になっていき始めたところで今回で4回目となる。前回も書いたことだが、この美術館はヤマタネ・グループが所蔵する作品を多数寄託されていて、そういう点ではある意味で山種美術館の姉妹館的性格もあるような気がする。まあ山種美術館は私立美術館で、こちらは高崎市が運営している公設美術館ということでまったく異なるといってしまえばそうなのだが。

 少しネット等で調べたのだが、もともとは山種コレクションで有名な山崎種二の三男である山崎誠三氏の日本画コレクションの収蔵・展示を目的とした私設美術館「高崎タワー美術館」だったが、集客が思うように増えずに2001年6月に閉館。その後、高崎市が運営主体となり、収蔵作品も高崎市に寄贈もしくは寄託されることで再館したという。高崎タワー21 - Wikipedia

 この美術館は高崎駅の真ん前にある複合ビルの3階、4階にある。なんとなくイメージ的には八王子市夢美術館に似た雰囲気がある。埼玉からだと関越道一本で行けるため、道路が空いていれば45分程度で行くことができる。駐車場も駅近のヤマダ電機の駐車場を利用すればいいのでアクセスしやすい美術館ということで、なんとなく気軽にいける美術館、しかも日本画の名品が揃っているということでつい行く回数が増えている。

 さて、今回の企画展「彩・色を楽しむ」である。チラシの開催概要にはこうある。

日本画の作品の画質をよくみると、砂状できらきらとしていることがあります。これは、岩絵具と呼ばれる画材のマチエール(質感)です。この岩絵具の他、日本の絵画では墨、胡粉、染料などの画材が伝統的に用いられており、その色や質感はそれぞれ異なります。本展覧会では、こうした画材自体の色の美しさと共に作品をご覧いただきます。

色はその組み合わせや、塗り重ね方によって、同じ色でも、まったく違う見え方をすることがあります。また、作品の中において色は、現実とそっくりに表現されるとは限らず、そこから、作者の制作意図やモチーフに対する感性を感じ取ることもできます。作品をみながら、色の世界をお楽しみください。

「彩・色を楽しむ」チラシより 

https://www.city.takasaki.gunma.jp/docs/2021102300025/files/SaiIro.pdf

 そしていきなり大画面のこの作品。

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『イグアス 天地の詩』(部分) 松本哲男 2000年 

 松本哲男は栃木県在住の画家(1943-2012)で、ナイアガラ、ビクトリア・フォールズ、イグアスという世界三大瀑布を描いた作品が有名だとか。この「イグアス大地の詩」も横幅12メートルという対策である。オレンジがかった空の美しさに目を奪われるが、滝と樹林は細密に描かれていて圧巻。

 

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『月山秋燿』(奥田元宗) 1996年

 元宗の赤と称される燃えるような赤だ。この人の作品は奥入瀬の紅葉を題材にした大作を水野美術館で観た。たしか川合玉堂の弟子である児玉希望に師事していた人と聞いている。

奥田元宋 - Wikipedia

 

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『薊』 (上野瑞香) 2019年

 最近の作品である。上野瑞香は群馬県富岡市出身とご当地の画家である。2000年に芸大を卒業、活躍している女流画家のようだ。

上野瑞香公式ホームページ

 画像では伝わらないが、実物画面は全体がキラキラしている。粒子の粗い方解石を使っているためとはHPにある。

岩絵の具、なかでも粒子の粗い方解石の光を反射してキラキラ光るところが好きで、それを多く使って作品を描いています。 HPより

 美しい、観る者を魅了する絵である。きちんとピンクと緑の補完関係を計算した色遣いになっていて、ドギツサ、毒々しさをギリギリ抑えたような印象がある。この絵の横には女流画家の大家片岡球子の『寒牡丹』があるのだが、インパクトの度合いでも片岡作品を凌駕している。もちろん美しさにおいてもだ。

 

 この他では、上村松園、上村松篁、横山大観、土田麦僊、冨田溪仙、小林古径、上村松篁など大家の作品などを含め49点が出品されていて、小1時間至福の時を楽しめた。

<出品リスト>

https://www.city.takasaki.gunma.jp/docs/2021102300025/files/Sai-List.pdf