日光東照宮 (1月4日)

 宿を10時くらいに出て神橋方面に下ると午前中ということもあり、まだ道路は空いている。東照宮駐車場に入る坂にも車の渋滞もない。右にそれて坂道を登る。レストラン明治の館の前の駐車場も空いているが、ここはそのまま進み突き当りを右にそれてさらに登ると東照宮美術館前の駐車場に入ることができた。駐車料金は600円なり。

 そこから東照宮美術館の前を通って坂道を登ると東照宮の入り口に出る。なのだが、その坂道がけっこうシンドイ。まあ健常であればなにも問題のない坂道、さほど距離もない。しかし車椅子を押してとなると話が違ってくる。いつもならこういう坂はS字を描くようにくねくねと登るのだが、参拝客がそこそこ並行して歩いているので、それも出来ずまっすぐ登る。これが応える。

 この坂道は多分3~4回くらいは登っているのだが、今回は一番堪えた。歳だな~とつくづく思う。66歳、今年は67歳になるのだし。さらにいえば運動不足とかもあるかもしれない。最近はウォーキングとかもサボっているし。

 登り切ったところで息が上がった状態で、しばし立ち止まる。その横を参拝客が通り過ぎていくけど、何人かはこちらを見て「大丈夫かしら、このオジサン」的な眼差しをくれていく。「大丈夫、大丈夫、でも大丈夫じゃない」と小さくつぶやくか。

 そして東照宮に。右側にある窓口で拝観料金を払う。そして事務所の隣にある大きな灯篭の後ろに車椅子を畳んで置かせてもらう。ここからは妻も歩きで階段を登る。病気になってからも多分2~3階は階段を登って表門から陽明門、そして本殿のあたりまでは行ったことがある。2005年に発症し、その翌年にここを訪れたときは恐る恐るだったが、なんとか4点杖や自分が手を引いて登り切った。あのときはリハビリの成果や回復具合にちょっとした感動さえあった。

 その頃に比べるとかなり太ってしまったし、年齢も重ねた。今回の階段上りはちょっときつい感じで、自分の肩に腕を回してゆっくりゆっくりと登った。最初に来たときは40代、今は60代だ。そりゃ衰えもでてくるなとは思う。

 多分、東照宮の本殿に行くのはこれが最後かもしれない。介護者の自分も歳をとったし、妻も支える健常な右半身の筋力も以前に比べて衰えている。階段でもしもコケたりすれば大惨事になる。妻にこれが最後といえば、「大丈夫」という返事が戻ってくるかもしれないが、なんとなくそんな気がしている。

 表門をくぐると右手に三社庫、左に三猿の神厩舎、そこを通り過ぎて陽明門、さらに本殿へと、妻の手を引いてゆっくりと歩く。いつもの日光、いつもの東照宮である。ここは小学校の修学旅行で来たところだが、ある意味まったく変わっていないかもしれない。50数年前の記憶、その時に撮った写真のモノクロの景色とほぼ同じである。

 すっと変わらないものっていうのはあるんだなと思う。どんなに観光地化してもだ。

 自分たちのような参拝者、超高齢化社会ということでいえば、いずれはエレベーターやスロープの設置などもあるかもしれない。でもここは変わらないかもしれない。

 本殿で手を合わせ初詣、妻と子どもの健康を祈った。