日光旅行~中禅寺湖周遊 (8月19日)

 今回はノープランだったので、ポピュラーな割に行ったこと、やったことないことを。

明智平ロープウェイ

 だいぶ前に強風で宙づりになったこと、その後しばらく運休停止してたとか、そんなニュースみたことあるな。以前行ったときも強風で運行してなかったとかあったようなないような。いろは坂の途中にある駐車場とそのはじっこにロープウェイ乗り場がある。ロープウェイ利用すると駐車代は無料になるとか。

 ロープウェイ自体は小ぶり展望台までは約3分。だいたい10分おきくらいで運行している。でもって展望台まで行ってみると中禅寺湖華厳の滝が望める。これはなかなかの絶景。

 う~む、素晴らしい景色である。中禅寺湖からうっそうとした林の中をさまよい、一本の木に遺文を彫りつけて華厳の滝に身を投げた学生がいたことなど、ちょっと思い出してみる。1903年明治36年)のことで、投身自殺を遂げたのは一高の学生藤村操。漱石の授業で、不勉強を理由に漱石から叱責を受けたとか、同窓生に岩波書店創業者岩波茂雄がいたとか、その岩波の盟友でのちに一高校長、学習院院長、文部大臣など歴任した哲学者安倍能成の夫人は藤村操の妹だったとか、まあどうでもいいことが頭に浮かんでくる。

 形而上学的な煩悶から身を投げた学生がいた。戦前はそういうイメージがつきまとっていた場所でもあったんだな、華厳の滝は。

中禅寺湖遊覧船

 奥日光というと中禅寺湖の湖畔を車で通り滝巡りというのがパターン。なのでちょこっと湖畔周辺をブラブラしてみようかと思った。いつもは華厳の滝近くの駐車場に止めるのだが、今回は県営中禅寺湖第一駐車場に止めてみた。ここはけっこう整備されているのだが、湖畔からは少し登ったところにある。見晴らしはいいのだが、湖畔までは急な坂道を下る。下れば当然戻るときは上ることになる。健常者なら特に問題はないのだけど、車椅子だとけっこうきつい。下りもブレーキかけながら注意して降りる。上りは延々坂道を登る。還暦過ぎてこの坂、車椅子押してはキツイ。とまあ、あとからそれは思ったこと。

 駐車場から降りるとすぐ真ん前に中禅寺湖中禅寺湖遊覧船の乗り場がある。そういえば箱根芦ノ湖の遊覧船は何度も乗っているけど、中禅寺湖では一度もなかったな。ということで湖上からの周遊を楽しむことにする。

中禅寺湖遊覧船クルージング│公式サイト

 午前中はやや曇りだったのだが、明智平に行ったあたりから晴れだして、駐車場に止めた頃にはほぼ快晴という状況で湖上からの景色もなかなか良かった。最初、男体山の頂上付近に雲がかかっていたのだが、船が進みだして少しすると雲も流れて頂上付近もくっきりしてくる。

 そして湖上から景色。


日光自然博物館

日光自然博物館

 国道120号-いろは坂を登り切ってT字路を左折すると中禅寺湖方面、右折すると華厳の滝の駐車場に行く。その華厳の滝駐車場の手前にあるのが日光自然博物館。前から知ってはいたけど、まさか日光観光に来て博物館もないだろうということで一度も足を運んだことがない。

 もっとも美術館は日光美術館に何度も行っているので、博物館だって行ってもいいかもしれない。車椅子を押して移動しているのだが、中禅寺湖周辺の道路は一応歩道があるのだが、けっこう凹凸がありいきなり狭くなったり、道路を渡るのに段差があったりで、今一つ整備が行き届いていない。そんなこともあり、あとちょっと涼もうかと思って入ってみた。

 展示スペースが二階にあるのだが、いきなり昆虫ドアップオブジェがお出迎えしてくれる。

 けっこうインパクトがあり人によっては閲覧注意かもしれない。

 その他展示物は中禅寺湖の自然史や文化史みたいなものが展示してあった。ちょっと興味を覚えたのは、中禅寺湖がもともと魚の棲まない湖だったこと。男体山の噴火で堰き止められた湖であり、華厳の滝が魚の遡上を阻んでいためだったとか。明治の初年に星野定五郎という人がイワナを放流してそれが繁殖。その後漁業組合が出来、魚の採卵、養殖が盛んになった。さらに当時、外国人が避暑地としてさかんに訪れるようになり、フライフィッシング用に川鱒が放流されたのだとか。特にそうしたスポーツフィッシングに熱心だったのが、長崎のグラバー邸で有名なトーマス・グラバーだったとか。

 なにやらえらくためになる知識ではあるのだが、すぐに忘れてしまいそうでもある。ウィキペディアの記述などによると、2011年の3.11原発震災の影響は中禅寺湖周辺にもかなり影響が出て、中禅寺湖で取れる魚も放射能汚染が広範囲にあったという。多分、3月14日から15日に放出された放射性物質が風向きが変わったことで栃木県北部に流れたものらしい。

 汚染は深刻なようで、ずっと全魚種の持ち帰りは禁止されていたのだが、2017年にヒメマスが解禁、2021年にニジマスの持ち帰りも解禁となったのだとか。原発事故はまだまだ各地に影響を与え続けているんだということを、ちょっとだけ再認識した。