小田嶋隆死去

小田嶋隆さんが死去、65歳 反権力の論客、コラムニスト 雑誌「噂の真相」で執筆:東京新聞 TOKYO Web

 小田嶋隆が死んだ。24日Twitterのタイムラインに流れてきた。かなりヤバイ病気だという話はなんとなく知っていた。そう遅くない時期に訃報に触れることになるのだろうと、そんな予感があった。でも実際そうなると淋しいね。

 1956年生まれ、同い年である。テクニカル・ライター出身だったこと、彼がコラムを書き始めた頃、自分もそういう業界の端くれにいたこともあり、なんとなく親近感もあった。そしてその辛辣にして的を得たコラム、多分信頼を寄せていたライターの一人だった。

 小田嶋隆は最初『噂の真相』に連載を持っていた。確か同じ時期に消しゴム版画のナンシー関も連載を持っていたように思う。思えば二人ともサブカルメディアが出発点だった。でも二人のコラムは面白く、それを読むために『噂の真相』を毎号買っていた。

 小田嶋の着眼点は意外性があり、そして対象の本質を射抜く天性の批評性があった。ある時期から小田嶋は、自分にとってリテラシーの鏡みたいな感じで信頼を寄せていたような気がする。さまざま事象に対して、小田嶋はどういっているだろう、どう捉えるだろうみたいなことを思った時期もあった。メディアを賑やかす事象に対して、なんとなく胡散臭さみたいなものを感じたとき、それをきちんと言語化してくれる稀有な存在だったような気がする。

 Twitter中川淳一郎が小田嶋が難病で余命がわずかであることを暴露したことにより、彼の病気は一般にも知られるようになってしまった。入退院を繰り返していて、時折公表されるポートレイトはかってのやや肥満体の体形、顔つきとはあまりにもかけ離れていた。それでも連載コラムは続け、時折連ツィされるツィートもそこそこに的を射た諧謔まじえたもので、まだまだ小田嶋は健在だと思ってもいた。

 時代は変わっていく。若い新しいライターがどんどん出てきている。多分。そうに違いない。「もう信頼できるコラムニストが失われた」とツィートすると、友人は武田あたりがいるのではとツィートしてくれる。武田砂鉄のことだ。時折、彼のコラムを読むこともある。なかなか読ませるものもある。多分、自分が知らないだけで新しい書き手は次々と現れてくるのだろう。

And when He dies, and when He is gone
There'll be, one child born
In this world
To carry on, to carry on

 小田嶋隆の冥福を祈る。