睡眠時間の話

  一昨日だったか、Twitterでこんなツィートを見たのがずっと気になっている。

   そして睡眠時間の話となると、水木しげるのこの漫画のことを思い出す。

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 水木しげるは長命で93歳まで生きた。大正11年(1922年)生まれだったから、生きていればもう98歳になる。亡くなったのは2015年の11月、もう4年以上前のことになるのだ。

 自分の父母が大正12年生まれで水木と同世代ということもあり、ある時期から水木しげるは自分の親の世代ということで妙に親近感を持っていた。そう、30年以上前に亡くなった父親が生きていれば96とか97とかそういう年齢になるのだ。母親とは自分が5歳くらいの時に生き別れている。その後なんどか会っているのかもしれないのだけど、母親の記憶というのがまったくない。もし生きていればそういう年齢なのだ。まあそれはどうでもいい話だ。

 貼り付けた漫画のとおり、水木しげるは忙しくても一日10時間睡眠をとっていた。あれだけの売れっ子漫画家であって睡眠をきちんと取るというのはたいへんなことだったとは思う。そしてこの漫画にあるとおり、同じく超売れっ子漫画家であった手塚治虫石ノ森章太郎は共に60歳で亡くなっている。

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人間は寝ることによってかなりの病が治る。

私は”睡眠力”によって傷とか病気をひそかに治し

今日まで”無傷”である。

私は”睡眠力”は”幸福力”ではないか、と思っている 

  この水木の言葉もまた心のどこかに残っている。

 とはいえ、私もまた「睡眠時間が短い自慢」をしてきた人間である。もともと十代の頃から、深夜勉強もといラジオの深夜放送を愛聴し、明け方近くまで起きていてそのまま学校へ行くみたいなことをしていた。そういうのが習慣になっているせいか、夜には強いが朝には弱い。平均睡眠時間は5時間程度と、ずっとそんなことでやってきた。

 30代の頃だったか、出版社勤務でもっとも忙しかった頃には、週に1、2回は会社に泊まることを繰り返していた。日中は営業に出て、貴社後は会議やら売上の集計とか。そして夜遅くになってから様々な報告書やら取次との交渉のための資料を作ったり。出版社団体の会合のための資料を作ったりとか。

 当然、そうした仕事ではストレスが溜まることもあり、夜10時くらいから飲んだくれたこともある。そしてサウナで仮眠してまた会社へみたいなこともたびたびあったか。まさに24時間戦えますかみたいなことを粋がっていた。

 年齢がいっても40代くらいまでは、けっこう無理がきいた。睡眠時間が3時間程度でも翌日の仕事に影響することはなかったように思う。さすがに50代も後半になると睡眠不足は如実に仕事に影響するようになった。「さすがに年だ、無理がきかない」と自嘲するようになった。

 ただし幸か不幸か睡眠不足で健康を大きく崩すようなことはなかった。還暦を過ぎた今に至るもまだ入院するような大病をしていない。もっとも50代半ばで妻の介護や子育て、家事と仕事の両立を図るため、職場から徒歩10分以内の住まいを得たことは大きかったかもしれない。夜2時近くまで起きていても7時過ぎまで寝ていることができる。通勤時間がないということに救われているということ。

 とはいえ慢性的な睡眠不足な生活を40年近く続けてきている身である。蓄積された疲労はきっとどこかで一挙に噴出するかもしれない。現に今の自分は成人病のデパート状態になりつつあり、毎回の健康診断でも要検査といわれることが多くなっている。

 ”睡眠力”は”幸福力”だとすれば、自分はかなり不幸な人生を送ってきているのかもしれない。障害をもつ妻や兄のことを思うと、まだまだそう簡単には病に倒れるみたいな訳にはいかない。でも、こればかりはわからない。ただし、冒頭のツィートにもあるとおりに、寝ないことによって何かを犠牲にしてきたのかもしれない。それがこれからの健康に関わってくるかもしれない。それを思うと、ちょっと恐怖を覚えるような、とても気になるツィートではある。

 水木しげるのような長命を望む気はさらさらないが、もうしばらく大病とは無縁であり続けたいとしんみり思っている。