せっかく都内に出てきて、まるまる午後が空いたので、東京国立近代美術館(MOMAT)にまた来てしまった。14日に来ているので5日ぶりである。鏑木清方展は今回で三度目となる。
公式HPにも作品保護のため展示替えがあると明記してあるし、自分でも作品リストを会期順に並びかえてみたりもしている。
17日で展示が終わったものが6点。あの美しい「朝涼」も早々に展示終了してしまった。そして19日の今日より展示が始まったものが4点である。
「若き人々」 (二階堂美術館)
「露の干ぬ間」 (名都美術館)
「にごりえ」 (株瀧清方記念美術館)
「『苦楽』表紙原画 名作絵物語「金色夜叉」(東京国立近代美術館)
これが最後の展示替えということになるようだ。そして多分、これで今回の東京会場で展示された作品が、多分すべて観ることができたはずである(多分)。
そして実際に観てみたいと思っていたのは「若き人々」である。
清方34歳の時の作品。図録にも解説文がなく、出展情報が掲載されているだけである。
初出:巽画会十二会展(上野公園・竹之台陳列館 4月3日~19日、大阪・箕面公会堂 5月11日~19日) 二等銀杯
巽画会の会誌(?)には簡単な解説文があり、人物の風姿には桃山時代のものがあるが、作者の意気は現代的であり、新しき趣味あるを覚えるとある。
この他では名都美術館の「露の干ぬ間」もなかなか美しい六曲一双の作品である。こちらは確か去年、高崎市タワー美術館で観ていると思う。
多分、今回で鏑木清方は見納めだと思う。そう思うと愛しさも募るようで前回も観た「讃春」をじっくり観た。そして最後に「築地明石町」の前でしばし立ち止まり、見惚れていた。いや、この作品は近代美人画の代表的な作品と紹介されることが多いが、自分的には最高傑作ではないかと思う。この美しさは他に代え難いものがある。明治を回顧する美人画が中年の女性をモデルにしているというところも素晴らしいと思う。
勝手な思い込みだけど、一葉女史が生きていたら、きっとこんな美しい中年女性になっていたのではないかと、そんなことを適当に思ってみた。