山梨県立美術館

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 この美術館に来るのは4度目。今年は5月にも一度来ている。その時は風力で自走する不思議なオブジェ、ストランドビーストを制作する彫刻家かつ物理学者テオ・ヤンセンの企画展が行われていた。

山梨県立美術館再訪 - トムジィの日常雑記

 ここではこれまで「夜の画家展」、「ミレー展」などを観ているが、ミレーを中心としたバルビゾン派のコレクションが充実しているので、特に企画展がなくても常設展示だけで楽しめる。

 今回も常設展示は「ジャン=フランソワ・ミレー 生涯と作品」(9/7~12/5)、「自然を描いた画家たち バルビゾン派を中心に」(9/7~12/5)が開かれていた。

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『種まく人』(ミレー)

 やはりここの目玉的作品はこれでしょう。『種まく人』をミレーは2点制作し、1点は山梨、もう1点はボストン美術館に所蔵されている。この絵は1967年に県知事となった田邊圀男は美術館開設を決め、美術館開館(1978年)に先駆けて1977年にオークションで購入したものだとか。落札金額は当時で1億7千万円したという。当時は税金の無駄遣いといった声もあったということだが、良い買い物をしたのではないかと思う。山梨のある種のウリでもあるし、大きな観光資源でもあると思う。

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『海景』(ジュール・デュプレ)

 バルビゾン派の画家ジュール・デュプレの海景画だ。オランダ風景画の影響もあるかとも思うし、ブーダンにもこういう題材の作品があったようにも思う。空の表現がちょっと違うかなとも思ったりもするが。

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『朝』(ジュール・ブルトン

 大好きな作品である。最初に訪れた時に額絵を買って、今でもリビングに飾っている。ブルトンは農民や農作業など田舎の生活を描いた画家だが、ミレーのような労働賛歌とは趣が異なる。当時のパリの上流階級の人々からすると田舎の風俗などにはあまり触れる機会がなく、こういう素朴な農民の生活を描いた作品にはそれなりの需要があったということらしい。ようは田舎の風俗を活写したものだ。ミレーやバルビゾン派の絵も実はそういう需要で売れたというようなことを、何かで読んだ記憶がある。

 ブルトンは、バルビゾン派のように田舎に出向いて写生をするのではなく、主にアトリエでこうした絵を描いたといわれる。この絵もブルトンお気に入りのモデル、カトリーヌ・ビビが農民服を着てポーズをとっている。確かに農婦にしては美人過ぎるようだ。

 

  山梨県立美術館は芸術の森公園の中にあり、対面して山梨県立文学館がある。最初に訪れたときに文学館も短時間寄ったが、それ以降は一度も行っていない。いつも昼過ぎに美術館に行くので、たいてい終了までそこに滞在みたいなことで時間が足りない。朝早くに家を出て、午前中からくれば両方を見学できるのだろうけど。

 ただし芸術の森公園を散策するのは短時間でも気持ちがいい。日が暮れるのも早い時期なので、のんびりと回るということは出来なかったけど、妻の車椅子を押してざっと一周してみた。バルビゾンの庭の奥にあるバラ園には秋バラが健気に咲いていた。

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