フランスの風景〜樹をめぐる物語−コローからモネ、ピサロ、マティスまで−

SOMPO美術館(旧館名:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)ゴッホ《ひまわり》を収蔵。新宿駅 徒歩5分
 損保ジャパン日本興亜美術館で観る。子どもが大学の授業で勧められたという映画をレイトショーで観るというのに付き合わされる。映画は9時からで時間があるというので、新宿で行ける最寄りの美術館ということで一緒に行ってみる。子どもは新宿から15分くらいのところにある大学へ通い始めたので、できれば時間があるときにでも行って欲しい美術館でもある。都会の高層ビルの中にある美術館としては、けっこう個人まりとして落ち着けるところなので自分的には推奨したい美術館ではあるのだが、さほど絵に興味のある子どもではないのでどうなることやら。とはいえ専攻が芸術なので、一応勉強という部分もあるにはあるのだが。
 さらにいえば、ここは東郷青児のコレクションとしても有名だし、ゴッホの「ひまわり」を収蔵していることでも有名。さらに最近はグランマ・モーゼスの収蔵にも力を入れている。親が都内通勤なら月に何度か足を運びたいくらいなのだが。
 今回のテーマは「樹をめぐる物語」ということで、「『樹木』というモティーフを通して、印象派を中心とするフランス近代風景画の進展を探る展覧会」だという。図録の解説によれば樹木は「生命の木」「知恵の木」といった想像が付託する様々なメタファー、象徴の源となってきたのだという。それらがバルビゾン派の画家たちが森林を題材として取り上げた頃より、自然の描写そのものと同時に新しい想像を付託する存在に変化してきた。そこには緻密な描写から光や風景に溶け込む描写など表現方法の改革と対になっているのだという。まあいい、そういうテーマをもとにギャンバスに映し出された樹木という題材がどうな風に表現的進展を遂げたかを、集められたコレクションで辿るということだ。
 知らない画家の名前も多数あるし、ジョルジュ・サンドの絵とかにも遭遇できる。さらには新印象派のマクシミリアン・リュス(リュースと解説されていた)やこれもほとんど初めてかもしれないレオ・ゴーソン、さらにナビ派のセリジュやドニなどたくさんの画家の絵を楽しめ、最後に「ひまわり」と東郷青児を堪能し、さらにグランマ・モーゼスで癒される。なかなか楽しい企画展ではあった。
 気になった絵を数枚。
<ドービニー「ヴァルモンドワの下草>

<キュスターヴ・ドレ「嵐の後、スコットランドの急流」>