Sleep walk

 Sleep walk、直訳すれば夢中歩行、夢遊病みたいな意味か。昨日、YouTubeをつらつら眺めていてこの曲の演奏を見つけた。まったくいい年して夜中にYouTube三昧とか、どうなんだろうね。世のリタイア、隠棲老人はこんなことしてるんだろうか。

Sleep Walk - Wikipedia


www.youtube.com

 サント&ジョニーによって書かれ演奏されたインストルメンタル・ナンバーだ。こういう曲あるよな、よく聴くよ。メローなナンバーで例えばシャドーズの『春がいっぱい』とかもその系統だ。


www.youtube.com

 でも、シャドウズのこの曲はたしか1962年にリリースされたアルバム『Out of the Shadows』に収録された曲。まあどうでもいいけどこの曲は名曲中の名曲だと思っている。邦題は『春がいっぱい』だけど原題的には「春がすぐそこに」くらいの感じだろうか。

 これに対してサント&ジョニーの『Sleep walk』は1959年、しかもこの曲はビルボードのチャート40入りしている。万人の心に響くものがあるんだろうね。いや本当に。

 多分、ヒットしたインストルメンタル・ナンバーとして、アメリカやイギリスではけっこう有名なんだろうねこの曲。そしてギタリストは一度はこの曲を奏ってみたいと思ったのではないかと思う。実際のところ、自分もうんと若い頃に『春がいっぱい』は弾いたことがあるし、もし若い頃に『Sleep waik』を知っていたなら、一度は弾いてみたかもしれない。エモーショナルなスローナンバーは心に訴えるものがある。 

 シャドウズも早速ジョニー&サントの翌年にカバーしている。シャドウズ自体はイギリスでクリフ・リチャードのバックバンドから独立したインストルメンタル・バンドだったか。ジョニー&サントの曲を聴いたときに、これは自分たちのサウンドだと小躍りしたんじゃないかと思ったりもする。


www.youtube.com

 しかし50年代後半から60年代にかけてはこうしたエレキ・ギターを前面にフィーチャーしたインストルメンタル・バンドがけっこうあったように思う。日本でも寺内タケシのブルージーンズとかも。そして一番人気があったのは多分ベンチャーズだったと思う。そのベンチャーズも当然のごとくこの『Sleep walk』をカバーしている。聴いている感じだと原曲に寄せてスティール・ギター使っているような気もする。

www.youtube.com

 

 検索しているとこの曲は他にも有名どころがけっこうカバーしている。まずはラリー・カールトン


www.youtube.com

 

 そしてジェフ・ベックも。


www.youtube.com

 

 そして比較的最近(といっても多分20年以上前だけど)のもので、ブライアン・セッツァーのもの。ブライアン・セッツァーはもちろんストレイ・キャッツのギタリストだけど、解散後にジャズ・バンドを結成、ブライアン・セッツァー・オーケストラを結成して勢力的にライブを行なっていた。多分その時期の録音はグラミー賞をとっているのでは。セッツァーは多分この曲お気に入りでストレイ・キャッツ時代にも演奏しているが、ジャズ・バンド率いてのライブ映像はけっこうごきげんだ。自分が今回最初に見つけたのは実はこのカバー。


www.youtube.com

 小編成でしみじみ演奏するのもいいけど、フルバンドをバックにというのもいいね。ジャズ・バンドはだいたいスター奏者が率いること多い。カウント・ベイシーデューク・エリントンはピアノだし、ハリー・ジェームスはトランペット、グレン・ミラートロンボーンベニー・グッドマンクラリネットバディ・リッチはドラムなどなど。まあ出てくるのが古い古い。しかし、ギタリストが率いるジャズバンドっていうのはあまり聞いたことがない。それを考えるとブライアン・セッツァーのこのオーケストラは当たりだったなと思う。

 

 『Sleep walk』に戻そう。この他にもジョー・サトリアーニなんかもカバーしている。レス・ポールもやっている。チェット・ワトキンスもやっている。本当にギタリストにとっては一度はやってみたいスタンダードとして定着しているようだ。

 しかし原曲がスティール・ギターによる演奏だけに、スライド・ギターによる演奏ってないのかなと思ったりもする。ボトルネックのスライド・ギターというとまず頭に浮かぶのはやっぱりライ・クーダーだ。試しに検索してみるとやっぱりやってました。ライブ音源らしいがいかにもライ・クーダーっていう感じで渋い、渋すぎる。


www.youtube.com

 それじゃっていうことで、現在最高のスライド・ギターの名手デレク・トラックスはどうか。これはどうかなと思ったんだがやっぱりやってました。


www.youtube.com

 当然、デレク・トラックスなんでブルージーな方向にふっている感じ。しかしこれ1996年の演奏で、彼多分17歳くらいの時なんだよね。恐るべき神童、恐るべきギター小僧という感じだ。

 スライド・ギターで女性といったらやっぱりボニー・レイットなんでこれも試しに検索してみたけど、さすがに彼女のカバーの動画は見つからなかった。でも多分どこかで絶対やってるような気もする。

 『Sleep walk』はカバーだけにとどまらず、いろいろなアーチストにインスピレーション与えているようだ。けっこう有名なのは初期のフリートウッド・マックの『アルバレス』。ピーター・グリーンがいたブルース・バンドだった頃のインストナンバーだ。

www.youtube.com

 

  これはちょっと違うかもしれあいけど、ビートルズの『ヤアヤアヤア』で『リンゴのテーマ』として使われた『This boy』のインストルメンタル・バージョン。これはジョージ・マーティンのオーケストラアレンジだが、アップテンポだけどどことなく『Sleep walk』的な雰囲気がある。まあこれはいつもの思い込みかもしれない。


www.youtube.com

 こんな風に数珠繋ぎに動画を検索しては見てみたいなことを続けるとたちまち時間が経って、いつものとおりに寝不足になってしまう。基本、無趣味な人間だけど、夜な夜なYouTubeで昔の動画を観るのが趣味といえば趣味かもしれないなと思ったりもする。