先日、朝日の夕刊を見ていたらこんな記事が目にとまった。
つじあやの、感情のままに歌う 2010年以来のアルバム:朝日新聞デジタル
つじあやの、ウクレレの弾き語りで歌うシンガーか。そういえば最近見ないなと思っていたら11年ぶりの新アルバムが出たのか。ググるとこれだ。
YouTubeでも収録曲聴けるみたいなので聴いてみる。なんていうか相変わらずのつじあやのだ。しかもウクレレ一本でクイーンのカバーまでやってる。
鼻歌のような感じで、しかも英語の発音がなんていうかカタカナっぽいけど、きちんと自分の歌にしている。こういうのもアリか。
もともときちんと彼女の曲を聴いているわけではない。デビューしたては三つ編みおさげ髪がトレードマークだったらしいが、ある時期からショートヘアーの今のスタイル。細身でベリーショートにメガネで歌うのはウクレレ弾き語りのフォーク調。全体としてどこかナチュラルな不思議系的雰囲気を醸し出してる。
こういう人って、なんか昔的にいうと、『クロワッサン』とかに出てくる意識高い系のナチュラルライフ実践してますみたいな感じで沢山いたように思う。いや今でもけっこういるかもしれない。けっして見た目で揶揄してるつもりはないけど、ある種の類型みたいな感じがする。実際、数少ない女友だちの一人二人いたような気がする。
さらに適当な思い込みみたいなことをいうと、こういう人って花屋さんや自然食品の個人店とかをやっている人とか、書店のカリスマ店員さんとかにもいたような気がする。人を見た目で判断するなと怒られそうだけど、こういうタイプはなんていうか阿佐ヶ谷姉妹の登場で株価が暴落してしまったかもしれない。なんか酷いこといってるみたいで申し訳ない。
つじあやのに話を戻す。自分は熱心なリスナーではない。持ってるアルバムは1枚、それもカバー曲集だ。タイトルもそのものずばり「COVER GIRL」。2004年の作品なんだな。このアルバムに出会ったのは収録されている「Never can say goodbye」をなにかで聴いてけっこう気に入ったから。
Never Can Say Goodbye - Wikipedia
いわばソウル系のスタンダードをつじあやのは、ボサノバ風に少しウィスパーっぽく歌っている。アレンジが秀逸でボサノバっぽいけど、オルガンを効果的に使っていてソウル風味もきちんと残している。このカバーを聴いて、つじあやのって誰みたいなことでこのアルバムを買ったんだと思う。
もっともこのカバー集はレコード的にいうとA面がスタジオ録音、B面がウクレレ一本による弾き語りライブ録音で、「お世話になりました」「別れても好きな人」などなどが収録されている。つじあやのらしさは出ているけど、個人的にはちょっとみたいな感じで、結局気に入ったのはこの「Never can say goodbye」だけだったかもしれない。多分、今iTunesに入れているのもこの1曲だと思う。
とはいえもともと「Never can say goodbye」は大好きな曲なんだけど、数あるカバーの中でもつじあやののカバーはベスト3に入るくらいに愛聴し続けている。つじあやのの歌、世界って基本はナチュラルなフォーク調の曲と歌い方なんだけど、もともと歌は上手いと思うし、彼女はウイスパーな感じでボサノバやジャズスタンダードやっていたら、もっと違う世界が拓けたんじゃないかと、まあ適当に思っている。
でも彼女のカバー集を聴いてそこに収録の「黄金の月」でスガシカオを知ったとか、けっこう思い出深いアルバムであったことはたしか。それからしばらくはスガシカオもけっこう聴いていて、アルバムも数枚集めたように記憶している。いずれも2010年以前の話だ。
ということで今回のつじあやのの新譜を購入するかどうかというと、ちょっと微妙というか検討中だ。音楽的趣向がどんどん退行しつつあるので、大人しく昔の曲を聴いているかもしれない。ということで「Never can say goodbye」の名演を幾つか。
まずは本家ジャクソン5。マイケル・ジャクソンが少年からカッコいいマイケルに変貌する中間地点みたいな感じがする。
ディスコで流行ったグロリア・ゲイナーのバージョン。しかしこの時代の男性ダンサーが妙にゲイっぽいというか、当時のゲイカルチャーっぽくて笑える
そして多分一番好きなのはデニス・コフィーのインストルメンタル。このバージョンを多分17くらいの時に聴いたんだと思う。FM放送で女性DJが詩の朗読をしていて、そのバックに流れたのをずっと覚えていて、この演奏を探し続けたんだったか。デニス・コフィーの演奏と知ったのはおそらく21世紀に入ってから。30年くらい年月が経っていたと思う。
ちなみにデニス・コフィーは知る人ぞ知るモータウン系のスタジオ・ミュージシャン。多数の名曲でギターを弾いている。